誰でも知っているカメラじゃなくて、評価されずに埋もれてしまった機種が好きなわけです。珍品の魅力とは少し異なります。
その多くが最上級機の機能を省いた、お安い普及機でありますね。そんなカメラを紹介して、何が面白いのかと言われても困りますが、面白いわけです。こればかりは変態ですから仕方ありませんね。カメラ好きは見向きもしませんが、時として、上級機には見られない、おっ、という機能もあるわけで。
はい今回はミノルタX-700から機能を省いた、X-500を今回紹介します。いらねえって、まあまあそう言わずに。
正面からのぱっと見はX-700と大きな変化がないわけですね。金型は同じではないのか。角ばった感じがよく、きちんとしてますね。
省いた機能って、P(プログラムAE)ですね。人生はA(絞り優先AE)とM(マニュアル)モードがあれば生きていくことができることをエンジニアは知ったわけです。もちろん筆者もです。で、本機がすばらしいのは、Mモード時に適正シャッタースピードが点灯表示され、設定したシャッタースピードが点滅表示されます。
「P」位置がないとなんだか寂しいと思えるくらい、X-700の印象強いんだけど、不当なほど「A」ポジションの表示も大きいよね。巻き上げレバーに指当てがなく一体化しているのは、安いカメラという印象を与えます。
これを合致すれば適正露出として使用できる理屈です。
これね、以前ミノルタCLEでMモードの時にメーター表示が出ねえぜと書いたら、Mモードの時にAEと同じ露出で撮るなら、メーター表示なんかいらねえじゃねえかよ。そのままAEのまま撮ればいいじゃねえかよ、というケチがついたわけです。
AE露出が気に食わないから、Mモード設定で露出調整して撮るわけであり、被写体の光の状態が変化しても同じ露出で撮りたい場合なんてヤマのようにあるぜと。白い服を着た人が画面内にいたら、露出が変わるとか困るわけです。これ、黒い服でもいいんだけどさ。
こんな説明は、本誌読者には要らないと思うのですがね。X-700はMモードのときにいわゆる適正露出読み取り方式を採用しているのでありまして。
メインスイッチはボディ左側のスライドスイッチになり。セルフタイマーの音も出せるんですが、うるさいですね。
つまり設定絞り値に対する、適正なシャッタースピードをファインダー内の表示で読み取り、シャッタースピードダイヤルを回して、同じ値を設定するという方式ですよね。
あるいはダイヤルでの設定シャッタースピードを覚えておいて、絞りを調整しつつ、シャッターダイヤルと同じ値にもってゆけばいいわけですね。でもね、面倒だよね。
つまりX-500はMモードで使う場合はアニキ分のX-700よりも優秀ということになるわけであります。これはえらいぞ。ほら、買う意味が出てきました。
そのトレードオフかどうかわかりませんが、なぜか露光補正ダイヤルがありませんねえ。X-500にはAEロックも標準装備ですからMモードなんか使わずにAEロックせよということみたいですが、露光補正ダイヤルがないと暴れたくなりませんかね?どなたですか?こういう設計をした人は。
AEロックはX-700方式を踏襲しておりますが、使いやすくはないですよね。露光補正のときはいさぎよく「M」モードにしようじゃないですか。
早い話が露光補正するならMモードを使えということなんだろうなと思うわけです。わかります。少し生意気ですよね。いや、筆者はAEロックを使わないので誉めなければいけません、誉めているつもりだけど。
デザインはまんまX-700ですねえ。安っぽいプラカバーも同じです。形は良いですが、萎えます。光沢があり、つるつるしています。シリコンクロスで拭きますと、ツヤっぽさが倍増して、すごく安いカメラにみえます。
横走り布幕のクラシックなフォーカルプレーンシャッターはX-700と同じでワインダーも使えますが、なんだかまったりした印象のカメラですが、筆者はシャッターの動作音、小さくはないのですが、音質を含めてわりと好きですねえ。大きい音のわりにはショックも気にならないですね。
メモホルダーはちゃんとありますね。便利かどうかは別の話ですけどね。
もともと筆者はPモードを使わねえんだからX-500でいいわけで。Mモードでメーターが動き、合致式で使えば、すべて解決するわけです。
だからX-700でシノラマやるよりX-500を複数台用意して、Mモード設定を行い、TTLのメーター・ド・マニュアルで露光値を設定して、露出を固定したままの撮影したほうがうまくいくんじゃねえのかと。
はい、大きなお世話ですね。篠山紀信さんには優秀なアシスタントさんがたくさんいますから、露出の心配なんかしなくていいわけですけどね、いちおう書いておきますけどね。
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