筆者のカメラの選択基準というのは、アサインメントに使う、いわゆる仕事カメラ以外、とくに生活の糧として役に立たない(笑)フィルムカメラの場合は、デザインを基準にしています。
こちらも年寄りですから、プライベートな時間に我慢してまでブサイクなカメラと付き合う時間は残されていないわけです。人間関係に近いかもしれません。
とはいえ、カメラ美学として確固たる基準を持っているわけでもないので、「アカギはけっこうブスカメラ好き」なんじゃねえのかと、同好の士が集まる酒席でからかわれたことがあります。
「醜女の深情け」と、つかこうへいさんも言っていますから、年寄りですから情には弱いわけです。カメラの背景に知恵と苦労が見えたりしますと、外見はブサイクでもグラグラきて、お越しいただく羽目になります。
ミノルタSR-T101なんか正面からみると鬼瓦みたいな顔つきしてますけど、見慣れてくると以外とイケるんじゃないかと思ったりもするわけです。ええ、優柔不断ですね、ついカメラ博愛主義者になってしまうのです。
で、例の如く前置きが長いのですが、フィルムカメラ、とくにAFになる前のミノルタのコンパクトカメラって、デザイン的には好きな筆者です。
今回紹介します「ミノルタハイマチックF」はいま、うちにあるので二代目かな?前機種はサブカメラとして仕事にも持ち出したこともあり、酷使したせいか、数年前にお亡くなりになりました。二代めは元気に暮らしております。
ご存知のとおり筆者は「フード病」ですから、本機にあうフードを探しました。カブセ式ですが、これ、合っているのかどなたか教えてください。
ハイマチックFは、前年登場したハイマチックEを一回りコンパクトにまとめた機種です。搭載レンズはロッコール40mm F1.7から、ロッコール 38mm F2.7へとコストダウンがおこなわれました。もうF値が一段暗いだけで大騒ぎしてたんですかね、当時は。
本機は1971年登場とのことですが、その登場の経緯はコニカC35の対抗馬として生み出されたと聞いています。そうです、井上順さんがCMをしていたジャーニーコニカでありますね。つまり、小型軽量路線がウケたわけで、ミノルタもそれに対抗しようと考えたわけです。
搭載のロッコール38mm F2.7レンズは、ジャーニーコニカよりもFナンバーが0.1だけ明るくするとか涙ぐましい対抗策を打ち出しております。でも筆者が感動したのがその動作フィーリングなわけです。
ファインダーアイピース部分。小さいですが、見やすい位置とカタチ。手抜きなしですね。
フィルム巻き上げなんかSR-T101よりも軽く、シャッターストロークがすばらしく浅いわけです。しかもシャキっとキレがいい。電子シャッターの賜物ですかねえ。
うちにある二代目はいわゆる「ネオブラック」の仕様っぽいから、後に出てくる、ミノルタXDのブラックボディに似ています。いまはペイントのほうがもてはやされるのかもしれないけど、当時は傷がつきにくく、とても美しくみえたわけです。
距離計のコントラストはうちにあるスクリューマウントライカのどの機種よりも濃いくらいで見やすく、フォーカシングのスピードも素早く行うことが可能です。ただ、フォーカシング時にレンズが回るから前玉回転式ですかね。このあたりはレンズに性能にうるさい人には嫌われるのかなあ、仕様的にはやむを得ないですね。嫌な人は使わねばいいだけです。
フィルムカメラビギナーにとって、最大の難関はフィルム装填です。筆者は目をつぶってもできますけど、それなりに面倒な感じです。
当時は中庸感度のフィルムを装填しても室内でも上手く撮れるかということが重要だったようで、大口径レンズ搭載のコンパクトってけっこう当たり前のように多かったのですが、本機のレンズはフツーすぎる仕様です。でもプリントをみたらバッチリシャープでした。
バッテリーの形状が独自なのでアダプターを必要とするとか面倒な面もあるのですが、その使い勝手の良さから、出がけに持ってゆくフィルムコンパクトを選ぶときについ手が延びます。小さいのはやはり正義なんですよね。
PCT Membersは、Photo & Culture, Tokyoのウェブ会員制度です。
ご登録いただくと、最新の記事更新情報・ニュースをメールマガジンでお届け、また会員限定の読者プレゼントなども実施します。
今後はさらにサービスの拡充をはかり、より魅力的でお得な内容をご提供していく予定です。