top コラム推すぜ!ミノルタ第7回 絞り優先AEを搭載した! 1974年発売の一眼レフカメラ「ミノルタXE」

推すぜ!ミノルタ

第7回 絞り優先AEを搭載した! 1974年発売の一眼レフカメラ「ミノルタXE」

2024/08/23
赤城耕一

ミノルタSR-T SUPERのテレビCMの話は以前しましたよね、もうひとつ筆者がテレビCMで強く意識したのがミノルタXEであります。そうです。篠山紀信さんが出演されていました。
 

ミノルタXEを手に「ハッと感じたらグッと寄る」そうです。なるほど、撮り方の基本として。たしかワイドレンズの場合は「グッと寄ったらもっとグッと寄って撮る」ってパターンもありました。望遠レンズはあったのかな。これは記憶がないですが。
 

写真少年だった筆者はXEも感動したけど、写真家は裏方というか、作品は表に出ても、その後ろにいるものとばかり思っていましたので、篠山さん、有名だったけど、アフロヘアで登場してきたこともインパクトありました。スーパースターですねえ。今でいえばタレントの副島淳さんみたいな感じでしたね。有名写真家はみんなこういうヘアスタイルにしているのしらと少年は思いましたけどね。

 

シャッターダイヤルですね。AUTO位置はロックされます。解除するには側面のピンを押します。時代的に1/1000秒が最高速ですが、問題は感じないのです。シャッターの精度は高いですね。

 

で、XEはミドルクラスの絞り優先AEを搭載した一眼レフでありました。スタイリングはなかなか素敵なんです。ペンタ部の処理とかね。表面の仕上げもいいですね。ただね、真鍮外装なんで重たいですね。それなりに大きいし。機能的には地味ではありますけど、中は詰まっている感じがしました。
 

シャッターはライツとコパルが共同で開発した「コパルライツシャッター」を採用してましたけど、どこが共同なのかは、もちろん素人にはよくわかりません。なぜライツなのかとか。ま、これはそのうちに判明しますけど。でも縦走り金属のシャッターはニコマートFTNあたりでは経験ありましたけど、とても優しいい良い音でした。シンクロ速度は1/125秒だし。
 

カメラ雑誌の広告で記憶しているミノルタXEのコピーは「今日的カメラ」というもの。これも篠山紀信さんの発言ということになっているけど、記憶によれば「シャッタースピードや絞りを合わせることから開放された」から、「今日的カメラ」ということになるわけです。今日的には先進ということですが、当時はプロやアドバンストアマチュアが使う一眼レフが、コンパクトカメラみたいにAE化をウリにしちゃうのかよ、という残念感がありました。素直じゃないですね。篠山紀信さんもAEで撮影していたとは思えないし。
 

もうひとつ感動したのはXEのシャッターと巻き上げのフィーリングが素晴らしく良いことです。官能的と言ってよいほどであります。

 


問題の巻き上げレバーです。完調のモデルは感動の滑らかさであります。指が痛くならないように黒色のプラスチック指当てがあります。

 

先ほども申し上げましたが、シャッター音は小さな音で、フィルム巻き上げは感動的なトルク感で動作しました。フィルム装填の有無がわからないほど、スムーズだったのです。すげー。一言で言うと品格がいいわけです。残念なのは小刻み巻き上げができないことくらいですかねえ。
 

筆者はこのXEが大好きで、およそこの40年のうちに購入したものは1ダースはくだらないと思います。なぜ、そんなに買ったのかと。
 

はい、いま説明しますから落ち着いて聞いてください。単純なんですよ、TTLメーターは経年でダメになっている個体が多いからです。
 


ASA(ISO)感度設定と露光補正は同じダイヤルを使います。XEはAEロックがありませんね。でも露光補正は1段づつだから粗いです。露光補正が必要とならばマニュアルに切り替えたほうがいいように思いますけどね。

 

同年代のモデル、ニコマートELあたりと比較すると、どうにもXEはヤレるのが早い感じがしたからです。受光素子はCdsなんですが、長く使用していると、ものすごく不安定な動きになります。指針がびくびく動いたりするし。これはCdsのヤレというよりも摺動抵抗の汚れなんですかねえ。どうなんだろう。

 

筆者はAEで撮影することは少ないんですが、この指針のビクつきをみるとAEでもマニュアルでも撮影するのがイヤになります。もちろんマニュアル露出で使用するにはなんら問題はないのですが、バッテリーは必ず入れないとシャッターは動作しないので、イヤでも指針を見ることになります。マニュアルだけで使用するとなればSR-T101でも良かったんじゃね?とも思うのですが、なんかね気持ちが違うんですよね。ちなみにマニュアル露出の場合は定点合致とかをするわけではないので、設定絞りに対する、適正露出読み取り方式になります。
 


メインスイッチと、フィルムカウンターです。スイッチがONのままだとバッテリーの消耗は早いですね。マメに切ったほうがいいと思うけど、スナップ撮影などでOFFになっていて、シャッターが切れなかったりすると死にたくなります。

 

感動的な感触で動作するフィルム巻き上げレバーも、使い始めて数年を経ると、引っかかりが出てくる個体が増えてゆきます。この引っかかり方というのは、古い家の建てつけの悪い、雨戸を開ける時のよう(あまり例が見つからないんですが)なかなり気分悪いものなんですよ。
 

いずれも修理しても、満足に直らないので、買い増してしまうわけです。指がその感触を覚えているので、XEが手元にないと禁断症状になるわけで、総計するとこれまでで1ダースになるわけです。かなりアブない人みたいですね。

 

バッテリーチェックランプですね。側面のレバーを回すと、問題ない場合は赤色のLEDが点灯します。

 

レンズ着脱ボタンはSR系のカメラと異なり、エプロン部脇のボタンを押します。圧倒的にこのほうがスマートですね。

 

個体にもよるのですが、ミノルタXEはランチ代よりも安く売られていることもよくあります。だから次々と手を出してしまうわけであります。良い子は真似しないように。そんなことしないよね。
 

代わりになる感触のカメラが存在しないという意味では、XEの存在は大きいわけです。みなさんは手に触れないほうがいいと思います。

 

関連記事

PCT Members

PCT Membersは、Photo & Culture, Tokyoのウェブ会員制度です。
ご登録いただくと、最新の記事更新情報・ニュースをメールマガジンでお届け、また会員限定の読者プレゼントなども実施します。
今後はさらにサービスの拡充をはかり、より魅力的でお得な内容をご提供していく予定です。

特典1「Photo & Culture, Tokyo」最新の更新情報や、ニュースなどをお届けメールマガジンのお届け
特典2書籍、写真グッズなど会員限定の読者プレゼントを実施会員限定プレゼント
今後もさらに充実したサービスを拡充予定! PCT Membersに登録する