神隠しになっていたミノルタSR-1をついに仕事場から発掘しました。残念ながら当時のレンズを発見できず、MCロッコール58mmF1.4をつけています。
発掘場所は写真集を入れている書架の奥でありまして、石元泰博さんの写真集の近くから出てきました。ミノルタから援護射撃を受けていた石元さん関連づけて、筆者はなにかネタにしようと企んだ形跡があるわけです。どの媒体は覚えていませんけどね。そのうち学会に発表しますが、その前に今回ネタバレをしたわけです。だから感謝してください。誰もしないか。
SR-1の発売は1959年発売ですから筆者よりも少し年上であります。前にも書きましたが、ミノルタSRシリーズのアニキは1958年の「SR-2」になります。混乱しますねえ。番号順にする必要はないんじゃないかとか、素直じゃない人が当時いたのしょうか。それとも社長命令なのでしょうか。
ちなみにSR-2の最高速シャッタースピードは1/1000秒に対して、本機では1/500秒です。つまり、SR-2がフラッグシップ扱いだったのかもしれません。実際そうなんでしょうね。
フィルム巻き上げレバーは細くて指が痛くなりますね。フィルムが進むにつれ、トルクは重くなります。SR-1発売時は千代田光学精工株式会社でしたので、「CHIYODA KOGAKU」の刻印があります。
でもね、最高速が1/500秒だとしてセットして、ISO400フィルムを装填した場合、日中晴天下なら、絞りはF16となる計算ですなあ。
広角レンズを使い、パンフォーカスのスナップ撮影するのならいいけど、少々厳しいですね。この当時は今でいうISO100あたりの中庸感度でも高感度フィルムの扱いだったんだろうなと。
いろいろと調べてみますとですね、本機は内部とか外装とかマイナーチェンジされたバリエーションモデルがたくさんあるそうです。これはメンテの時に困るけど、部品取り用の怪しい個体は、中古カメラ店のジャンクコーナーでけっこう見かけます。
フィルムカウンター窓がボディ左にあるのが不自然ですね。でもレンズが仕込んであって拡大鏡の代わりになり、数字は見やすいですね。
SR-1前期型はレリーズ直後は、絞りが絞りこまれたままの状態となり、ファインダーも当然暗くなります。巻き上げをおこなうことで絞りが開放になる「オートプリセット絞り」を採用しています。これは不便だよなあ。
後のモデルでは、当時の言い方だと「完全自動絞り」が実現されています。これね両者は全然、違うカメラだと思うんですけどねえ。「1の称号」はそう簡単には譲れないということでしょうか。
ちなみに仕事場で発掘された個体は後期モデルのブラックのようですね。別にブラックでなくてもいいんですけど、なじみの中古カメラ店の人が、「へへっ、ダンナ、SR-1ブラックが入荷しましたぜ」と手をモミモミしながら教えてくれたので、成り行き上入手しなければならなくなりました。筆者は頼んでないと思うけどね。「黒いカメラ欲しいよ病」が知られていたのかもしれません。
フィルム感度セット尺。この頃からあったんですが、フィルムの種類はわからないですからね、注意は必要ですね。
入手したのはずいぶん昔なのですが、筆者が購入できたくらいですから、高価ではなかったかと思われます。いまはもっと価値が下落しているのではないですかね。調べていませんが。まあ、カメラ歴史評論でもしない限りはイラないと思います。
デザイン面では全体からおにぎりみたいな印象をうけて、筆者の美学からは、かなり大きく逸脱したものです。でも、シルバークロームよりはマシかなあ。
ミノルタバヨネットマウント。色気ないですね。新旧の相互互換に優れています。新しいMDレンズも装着できますぜ。
ウチの個体は購入後にオーバーホールした記憶がありますが、それから放置プレイしていましたが、今回操作してみたらシャッターも快調に動作しました。機構構造的には優れているのかもしれません。
先に紹介をしてしまいましたSR-1Sだと、表現者のための道具として、常に共にいてもいいぞと思わせるスタイリングだと思うのですが、このSR-1は鈍重であり、携行しているとマジメに写真を撮ることはない単なる古いカメラ好きなジジイにしか見えないわけです。
専用の外部メーター装着用のガイドですね。しっかり作ってあります。絶対に使わないと思うけど。
専用の速写ケースを探し出して、撮影する時だけペロンと前蓋を垂らして撮るのもいいね。朝ドラに出てくる松山ケンイチみたいに眉間に皺をよせつつ、撮影するパフォーマンスを行えば、街ゆく人から不審な目で見られることもなくなるんじゃなですかねえ。
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