全体的にまとまりのある、好感のもてる一眼レフだと思います。個人的にはとくにペンタプリズムのデザインが好印象であります。絞り値直読式なのにまとまりがいいですね。これで上下カバーが金属製だったらなあ、うれしかったのですが。重たくなるかー。
ミノルタXDと当時に発表されたカメラにミノルタXG-Eがあります。
Aモード(絞り優先AE)のみとしたエントリー機です。だから無理してMDロッコールレンズを装着しなくても機能的にはなんら問題ありません。
ちなみにXDは縦走りの金属シャッターに対して、こちらは横走りの布幕のものが採用されました。時代的には逆戻り的な感じもしましたけど。だからシンクロ速度はいつもの1/60秒以下となり。
どこからみてもミノルタCLEの上部カバーですねえ。兄弟機と言ってもよいくらいです。露光制御関連は、本機より前のXG-Eをそのまま踏襲していると思われます。露光補正のステップが1EV刻みと粗いですな。
また電源スイッチはシャッターボタンは指を載せて、通電することでメーターがオンになるタイプのものが採用されており、メーターの情報をみるために、シャッターボタンを半押しする必要はありません。でもこの方式は手袋をしていると通電しないなどの欠点があります。
また絶望的なのは、Mモード(マニュアル露出)に切り替えると、シャッターや絞り制御はなんら問題ありませんがメーターが動かないことです。
シンプルな電源スイッチです。バッテリーチェックとセルフタイマーダイヤルを兼ねております。
ここは漢らしく人間露出計に頼るか、単独露出計を使うか、Aモードにしておき、直前の露出値を覚えておいて、それを参考に設定するしかないわけです。
シャッターボタン周り、シャッターダイヤルのデザインをみると既視感があるわけですが、これはミノルタCLEをよく使っていたからで、CLEにも同様の機能が採用されているからであります。
コシナ・フォクトレンダーが一眼レフをベースにしたレンジファインダー機であることは有名ですが、実は、シャッターユニットまわりのみだけをみてみるとCLEも同じ方向性だったというわけであります。
セルフタイマーの赤色LEDですね。なんだかボディサイズからみるとえらくデカいんですよ。視認性はいいけど、パーマセル貼りたくなります。CLEにもデカいものがついていてデザインを乱しています。
素人考えでもコストが大きく下げられることを想像することができますが、CLEでもMモードでメーターが動作しないことを思い切り叩かれましたからねえ、当時のミノルタはまったく改良する気がなかった雰囲気が漂ってまいりました。
そういえば前回書き忘れたのですが、XDには専用のワインダーDが用意され、連写時代に対応しようとしたのだけれど、XG-Eにも専用のワインダーGがありました。XDと互換性がないところが笑えますけど。コマ速度は2コマ/秒くらいですから冗談みたいな速度ですが、これは連写というよりもファインダーから目を離さずに撮影するために使うということが正しいわけですね。
裏蓋にはこのころ流行りのホルダーあります。ミノルタはASA/DINの換算表好きですよねえ。
今回はXG-EのファインダーをXDと同様のアキュートマットタイプとし、ファインダー内に、絞り値表示窓を加えたXG-Sを取り上げますがこれにもXG-Eと同じワインダーを装着することができます。
シャッターは布幕横走りですから小刻み巻き上げができるのかなあと期待しましたが一作動式です。
XG-Sは写真家の大倉舜二さんの愛機で、大倉さんが実際にXG-Sで撮影しているところに遭遇したこともあるのです。2000年代のはじめくらいだと思います。おそらく武蔵野シリーズの制作のためだったのでしょう。ワインダーは装着せず、さくさく撮影していた印象でした。
撮影風景がとてもよい感じだったので、のちに新宿界隈で大倉さんにお会いしたときに「先生の真似をしてXG-Sを購入しようと思います」と話をしたら、「もうないだろう。このあたりにある程度のいい中古はぜんぶオレが買ったから」と言われてしまいました。
カメラ底面。ワインダー連結部です。単純です。それにしても当時のミノルタはホントにモータードライブやワインダー関連に弱いですよね。なにか理由あったんですかねえ。
すでにメンテが終了していたXG-Sですから予備もふくめて複数台を用意しておこうという考え方ですね。そういえば、ペンタックスMXも製造中止が発表された時にも大倉さん、半ダースをまとめ買いしていたぜと言っていたことを思い出しました。すばらしいオトナ買いですね。ちょっとカッコいいよね。
たしかにね当時の新宿界隈の中古カメラ店でXG-Sを入手するのは困難でした。大倉先生もXG-Sが現行品の現行品のときは買わなかったのかしら。訊いておけばよかったです(笑)。
実際、XG-Sを入手してみるとですね、そんなには萌えないんですよね、これがね。大倉先生すみません。
たしかに軽くて小さいボディでいいんですよ、年寄りには。筆者の手の大きさにも合います。
でもね、外装のプラスチッキー感がどうにもね、気持ちの盛り上がりに欠けるところがあります。このあたりは小型軽量化とバーターということでありますね。
シャッター音は大きくはないし個性的ですが、XDのそれとは異なり、少々安っぽくて、これも官能性には欠けますね。
アキュートマットスクリーンの効能はかなり大きいです。XG-Eの時はXDと比べられたかもしれませんがファインダー暗く感じました。ただ、フォーカスの頂点が見極めやすいので、全面マットタイプのファインダースクリーンが欲しかったですね。
ミノルタXG-SEといいます。XG-Sの兄弟機ですが、廉価にすることを目標とした輸出専用機ですね。ボディカバー上面側面がなで肩。デザインはXG-Eに近いですね。絞り値の読み取り窓がなくすっきりしています。プレビューレバーもなく、シンクロターミナルがあります。ファインダーはアキュートマットのようですが、ファインダー内のシャッタースピードを示す表示が1/30以下は省略してありますが、これだけでもコスト下げられるんですかね。
ファインダー内の絞り値表示とかプレビューの装備も、正直どうでもいいんですが、往時のミノルタの真面目な方向性みたいなものは伝わってきます。
先に述べたワインダーGは入手していないので動作音とか使い心地とかはわかりませんが、2コマ/秒くらいの機能なら、ムリして探さなくてもいいんじゃないかなあ。まあでも、先に述べたように、ワインダーの効用は連続撮影のためではないからね。いちおう用意していると安心感があるかもしれません。
それにしても、キヤノンAE-1なんかでもそうなんだけど、この当時の羊羹みたいな形のワインダーは装着するとグリップ感が弱くて、とくに長焦点レンズをつけると困ることがあります。指がかりがないというか。夏など汗かいている時なんかマジで滑りやすくなりますからね。それに、どうしても小型軽量のカメラなのに重たくしてどうするんだという気持ちがつきまとうわけであります。
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