top コラムもう単焦点レンズは捨てなさ、い?第7局 「シャバいワタシにゃ、浸れば天国ハマれば地獄の楽園に踏み込む勇気、なし!」

もう単焦点レンズは捨てなさ、い?

第7局 「シャバいワタシにゃ、浸れば天国ハマれば地獄の楽園に踏み込む勇気、なし!」

2022/07/31
落合憲弘

ある程度、経験を積んでくると、撮りたいと思う被写体に出会った瞬間、その存在をどのように「写真」に繋げるかを「撮る前に」判断するようになる。「この被写体はこのように撮りたい」との思いが具体的な絵柄として脳裏にひらめくのだ。


この場合の「ひらめき」には、レンズの焦点距離も含まれる。つまり、「欲しい絵」を得るには「何mmのレンズが必要なのか」が瞬時に判断されるということだ。まだズームレンズが一般的ではなかった頃、交換レンズを複数、所有する、写真を生業としている、あるいは趣味としている人々は、誰もがこのようなアプローチで写真を撮っていたように思う。撮る前に条件反射のごとくレンズ交換をするという、ごくアタリマエな行動は、しかし「撮りたい絵」が自分の中で明確に固まっていなければ実行できないからだ。
 

翻って、便利で優秀なズームレンズが多数、存在するステキな現代。単焦点レンズを好んで使う嗜好や場面においては、かつてほど頻繁なレンズ交換は行われなくなっているようにお見受けするのだがいかがだろう? ひょっとして「撮りたい写真」ではなく「そのレンズで撮れる写真」ばかりを撮るようになっている…? いや、でも、自分の目や感性が特定の焦点距離に毒されているのなら、それもまた写真人生に存在する底なしの楽園の一角。浸れば天国、ハマれば地獄の世界には、正直お近づきになりたくないというのが個人的なホンネではあるのだが(笑)。
 

「そのレンズで写真を撮る」ことが目的化しがちな名ダマ単焦点。「撮りたい写真を撮るための道具」になりきることのできる高倍率ズームレンズ。優劣じゃなく、これは互いの立ち位置がハッキリしているってこと。それを前提にワタシは、「レンズが」ではなく「自分が」描きたい絵を残すためのシャッターレリーズに対し、今日も明日もあさっても、演出なく存在する撮りたいと思った瞬間を、撮りたい画角と構図でその都度、撮ることを繰り返す。理由は簡単。シャバ憎のワタシには、それしかできないからだ。

 

24mmで撮影

 

600mmで撮影

 

そういえば最近、空飛ぶ夢を見なくなった。上昇志向が減退しているんだろうか…。クルマでゆっくりバックしているときにブレーキが効かない夢はタマに見るんスけどね。なんでゆっくり? どうしてバック? 疑問は尽きぬが、高倍率ズームコンデジの万能性には、いささかの揺るぎも生じさせないのであった。

 

(上)ソニーRX10M4・8.8mm(35mm判換算24mm)で撮影・絞りF4・1/1000秒・+1EV補正・ISO100

(下)ソニーRX10M4・220mm(35mm判換算600mm)で撮影・絞りF4・1/4000秒・ISO1250

 

 

 

  • ソニーサイバーショットDSC-RX10M4(RX10 IV)SPECS

  • ◉イメージセンサー
    センサータイプ=1.0型(13.2×8.8mm) Exmor RS CMOSセンサー、アスペクト比3:2
    有効画素数=約2010万画素(総画素数 約2100万画素)

  • ◉レンズ
    レンズタイプ=ZEISSバリオ・ゾナーT*レンズ
    レンズ構成=13群18枚(AAレンズを含む非球面レンズ6枚))
    F値(開放)=F2.4(ワイド端時) -4.0(テレ端時)
    焦点距離=8.8〜220mm(35mm判換算24〜600mm相当)
    撮影距離(レンズ先端から) =AF約3cm-∞(W端時)、約72cm-∞(T端時)、約140cm-∞(35mm換算f=250mm時)
    光学ズーム=25倍(動画記録中光学ズーム対応)

  • ◉モニター
    モニタータイプ=3.0型(4:3)・1,440,000ドット
    角度調節機能=上に約109度、下に約41度

  • ◉ビューファインダー
    型式/総ドット数=0.39型 電子式ビューファインダー(OLED)、2,359,296ドット
    視野率・倍率=100%・約0.70倍(35mm判換算、50mmレンズ)
    アイポイント 最終光学面から約23mm(CIPA規格準拠)
    視度調整=-4.0〜+3.0ディオプトリ−

  • ◉カメラ
    手ブレ補正機能=光学式
    フォーカスモード=オートフォーカス(AF-S)、オートフォーカス(AF-A)、オートフォーカス(AF-C)、ダイレクトマニュアルフォーカス、マニュアルフォーカス
    フォーカスエリア=ワイド(315点(位相差検出方式)/25点(コントラスト検出方式))、中央、フレキシブルスポット(S/M/L)、拡張フレキシブルスポット、ロックオンAF(ワイド/中央/フレキシブルスポット(S/M/L)/拡張フレキシブルスポット)
    測光モード=マルチパターン、中央重点、スポット(標準/大)、画面全体平均、ハイライト重点
    露出補正=±3.0EV、1/3EVステップ

  • ◉露出制御 ●
    ISO感度=Auto(ISO100-12800)、100〜12800(拡張ISO64/80)、マルチショットNR:Auto(ISO100-12800)、100〜25600
    ホワイトバランス設定=オートホワイトバランス、太陽光、日陰、曇天、電球、蛍光灯(温白色)、蛍光灯(白色)、蛍光灯(昼白色)、蛍光灯(昼光色)、フラッシュ、色温度&カラーフィルター、カスタムWB
  • シャッタースピード=メカ時:30-1/2000秒 ※F8以上に絞った場合。開放時の上限は1/1000秒、電子時:30-1/32000秒
  • 撮影モード=AUTO(おまかせオート/プレミアムおまかせオート)、プログラムオート、絞り優先、シャッタースピード優先、マニュアル露出、MR(メモリーリコール)、動画、HFR、パノラマ撮影、シーンセレクション
  • 連写(最大画素数時) =Hi:最高約24コマ/秒、Mid: 最高約10コマ/秒、Low: 最高約3.5コマ/秒 
  • ドライブモード=1枚撮影、連続撮影(Hi/Mid/Lo切り替え可)、セルフタイマ-、セルフタイマー(連続)、連続ブラケット、1枚ブラケット、ホワイトバランスブラケット、DROブラケット、パノラマ、スイングパノラマ

  • ◉記録
    記録メディア=メモリースティック デュオ、PRO デュオ、PROデュオ(High Speed)、PRO-HG デュオ、メモリースティック マイクロ、マイクロ (Mark2)、SD、SDHC(UHS-I対応)、SDXCカード(UHS-I対応)、microSD、microSDHC、microSDXCカード
    記録フォーマット(静止画)=JPEG、RAW
    記録フォーマット(動画)=XAVC S、AVCHD規格 Ver.2.0準拠
    動画撮影モード=AVCHD: 24M FX(1,920x1,080/60i)ほか 、XAVC S 4K: 30p 100M(3,840x2,160/30p)ほかXAVC S HD:60p 50M(1,920x1,080/60p) ほか 120p 100M(1,920x1,080/120p)ほかHFR(ハイフレームレート) =<記録>XAVC S HD:60p 50M(1,920x1,080/240fps)ほか
  •  
  • ◉インターフェース
    NFC対応=◯(NFCフォーラム Type 3 Tag に準拠)
    Wi-Fi対応=◯(IEEE802.11b/g/n(2.4GHz帯))

  • ◉電源
    電源=NP-FW50
    USB充電・給電機能=◯(撮影、再生)
    電池寿命=静止画撮影時(CIPA準拠) :液晶モニタ使用時:約400枚、ファインダー使用時:約370枚

  • ◉その他
    大きさ・重さ=幅132.5×高さ94.0×奥行145.0mm(レンズ先端からファインダーまで)、幅132.5×高さ94.0×奥行127.4mm(レンズ先端からモニターまで)約1095g(バッテリー、SDXCカード含む)/約1050g(本体のみ)
    発売=2017年10月6日
    価格=オープンプライス(実売218,180円前後・税込)

 

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