top コラムもう単焦点レンズは捨てなさ、い?第9局 「M.ZUIKO DIGITAL ED 12-100mmF4.0 IS PRO」の前と後

もう単焦点レンズは捨てなさ、い?

第9局 「M.ZUIKO DIGITAL ED 12-100mmF4.0 IS PRO」の前と後

2022/10/05
落合憲弘

玄関を開け外に出ると、風がちゃんと秋色になっていた。思わず頬が緩むのは、四季が身近にあることのありがたさが秋風に乗ってスッと我が身に沁みてくるからだろう。このときばかりは、日本に住んでいて本当に良かったと思う。人の体型やレンズ鏡筒のシルエットと同様、気候にもメリハリってもんが必要なのだ。
 

2022年は夏になるのがやたらに早かったぶん、秋に転がるスピードも速かったような気がするのだが、ワタクシゴトながら、秋の風を感じる直前に、やっとのことでOMシステムの「OM-1」が入手できた。一時は、すぐに欲しくてもンヶ月待ちとかいわれ、購買意欲がヘナヘナになるも、供給が復活しそうなタイミングを見計らい短期間の待ちでガッチリ確保。E-M1シリーズとの比較で、明らかなる進化を遂げている魅惑の仕上がりに、溺れまくりの秋の頃なのである。
 

そして、マイクロフォーサーズの最新ボディそのものを使えることのみならず、実はそれ以上に標準系高倍率ズームレンズの雄「M.ZUIKO DIGITAL ED 12-100mmF4.0 IS PRO」を最新のボディで使えることが嬉しいというのが偽らざる現実。このレンズは、高倍率ズームレンズ全般の高性能化を誘発、牽引してきた存在であると個人的には認識しているところだ。発売は2016年11月。もう6年も前なのだけど、その卓越した利便性と描写力は、未だトップレベルにある。間違いなく傑作レンズだ。
 

なにせ、とにかくよく写る。そして、ビックリするほど寄れる。「人をダメにするソファー」以上に使う者を骨抜きにする超キケンな万能性。それを実感したら危険度はMAXだ。いつの間にやら、他のレンズを買う気が失せている。愚かなことに、コレ1本で何でもできると思い込んでしまうのだ。まぁ、ぶっちゃけ、コレ1本でほぼナンでもできちゃうんだけど。いや、こりゃ困ったね(笑)。
 

高倍率ズームレンズの歴史は、将来的には「M.ZUIKO DIGITAL ED 12-100mmF4.0 IS PRO以前」と「M.ZUIKO DIGITAL ED 12-100mmF4.0 IS PRO以後」で分類されることになるんじゃないかなんてことまで思う始末。それほどまでに、高倍率ズームの在り方に与えた影響は大きかったと感じている。繰り返しになるけれど、このレンズ以降だからね、各社の高倍率ズームレンズがグンと実力アップを見せる、今のようなステキな時代になったのって。
 

しかし、初代がここまで良くできていると、モデルチェンジしにくいんじゃないかなんて余計な心配もしたくなる。世の中の流れでいえば、性能を維持しながらさらなる小型軽量化ということになるのだろうけど、もろもろ考えると、モデルチェンジに踏み切ることそのものが難しそうな気も…。予備でもう1本、買っておくかぁ!?

 

 

風が涼しさをたたえ始めても、降り注ぐ太陽の光には未だ強めの紫外線を感じる初秋の頃。目に眩しい白黒のコントラストをテレ端200mm相当の画角で切り撮る。

OM SYSTEM OM-1・M.ZUIKO DIGITAL ED 12−100mm F4.0 IS PRO・100mm(35mm判換算200mm)で撮影・絞りF4・1/1000秒・ISO250・WBオート・JPEG

 

 

足下に視線を落とせば小さな秋。カメラを肩に提げていても、不用意に自重で伸びることのないズームリングを少しだけ回し、35mmに近い画角で撮った。

OM SYSTEM OM-1・M.ZUIKO DIGITAL ED 12−100mm F4.0 IS PRO・18mm(35mm判換算36mm)で撮影・絞りF7.1・1/320秒・−0.7EV補正・ISO200・WBオート・JPEG

 

 

 

 

 

  • M.ZUIKO DIGITAL ED 12−100mm F4.0 IS PRO SPECS
  •  
  • 焦点距離=12−100mm(35mm判換算24−200mm相当)
    レンズ構成=11群17枚(DSAレンズ1枚、非球面レンズ3枚、EDレンズ5枚、スーパーHRレンズ2枚、HRレンズ 1枚)
  • 防滴性能/防塵機構=IP53相当/防塵機構
    画角=84°(Wide) 〜 12°(Tele)
    最短撮影距離=0.15m(Wide)/ 0.45m(Tele)
    最大撮影倍率=0.3倍(Wide)/0.21倍(Tele)
    35mm判換算最大撮影倍率=0.6倍相当(Wide)/0.42倍相当(Tele)
    最近接撮影範囲=57.7 x 43.3mm(Wide)/82.4 x 61.9mm(Tele)
    絞り羽枚数=7枚(円形絞り)
    最小口径比=F22
    レンズ内手ぶれ補正機構=あり(VCM機構)
    手ぶれ補正性能=5軸シンクロ手ぶれ補正時 6.5段補正、レンズ手ぶれ補正時 5段 ※焦点距離 100mm時
    フィルターサイズ=Ø72mm
    最大径×全長=Ø77.5×116.5mm
    質量=561g
    発売=2016年11月18日
    価格=233,750円(税込)、OM SYSTEM STORE販売価格 187,000円(税込)

 

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