指先から冬を感じるようになったのは、いつのころからだっただろう? 2016年、オリンパスのM.ZUIKO DIGITAL ED 12-100mmF4.0 IS PROを使うようになってからだ(自己解決)。金属削り出しのズームリングに高級感があふれるオリンパスのプロレンズ。その卓越した描写力は、春夏秋冬いつでも不変であり、しかも防塵・防滴性能にも優れることから、雨あられ豪雪の中でも撮影行為に躊躇を生じさせることなど皆無なのだが、冬は凍てつくような冷たさに襲われることになりがちだ。指先が、である。
金属丸出しであるが故に、ズームリングがキンキンの冷え冷えになるのだ。AF全盛の今、マニュアルフォーカスにことさらにこだわっていない限り、そして単焦点レンズを使っている限り、撮影時に「レンズに備わるリングを操作する」ことはほとんどなくなっているようにも思うのだが、ズームレンズを使うとなるとそうはいかない。しかも、高倍率ズームともなれば、ズームリングの回転角は相応に大きく、また操作するのにチョイとしたトルクが必要であることも相まって、リングと指先はいやが上にも長時間の密な接触を余儀なくされる。いわば負の連鎖だ。
「冬の金属リング」にまつわる問題は、それだけにとどまらない。加齢ゆえの退化なのだろうけれど、やたらに乾燥しがちな我が指先と金属リングとの相性が、これまた最悪なのだ。むっちゃ滑るのである。足下は濡れて滑ることが多いのに指先は乾いて滑る… それを知ることができるのはオトナの特権、かどうかは知らんが、まさか冬場にプラ外装とかゴム引きリングが恋しくなるような無残なオトナになるとはねぇ…。
まぁ、グローブ(手袋)をすれば、ほぼ解決できるちっぽけなお悩みではある。でも、ピントリングと同じくズームリングにも、直接触れて操作することでのみ得られるダイレクト感みたいなモノが欲しいという思いも捨てきれない。とかナンとか言っている一方で、冬はパワーズームが便利(片手をポケットに突っ込んだままの片手撮りも簡単だしぃ〜)とか思っている軟弱な自分もいたりするわけで、やっぱり冬はチョイと苦手なのかも知れないな。
所有するM.ZUIKO DIGITAL ED 12-100mmF4.0 IS PROは、小さな角角の塗装が剥げ落ち使用感バツグンのテイ。まるで白髪が増えるかのようにハゲが目立ってくるのは、金属外装であるがゆえの宿命か。冬場、幅広のズームリングは、いつでも飲み頃といわんばかりに、いつでもキンキンに冷えている。
かつて愛用していたパナソニックのFZ1000は、ネオ一眼とも呼ばれたレンズ一体型高倍率ズーム搭載機。片手をポケットに突っ込んだまま、もう一方の片手操作で自在にズーミングをキメて撮影をするなんていう、ナメきった態度も余裕で受け入れてくれる万能機だった。現在、当方においては、その任をソニーRX10 Ⅳが担うことになっている。
AF-S NIKKOR 28-300mmf/3.5-5.6G ED VRとのコンビで雪の中、頑張ってくれたニコンDf。当時のフラッグシップ機「D4」と同じセンサーを搭載するDfは、実は高倍率ズームレンズとの相性も悪くなかった。っていうか、ワタシは28-300mmを使うためにDfを手に入れていたのだった。ステキな外観を持つDfには申し訳ないことをしたと思っている(笑)
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