カメラガガ、カメラ愛。
ああカメラですか、カメラね、写真じゃないんですね。
いえいえ写真です、写真です。カメラでね、写真を撮るんですよ。
カメラ好き、カメラ愛好家、と書くと、写真に興味がないよう思われ、写真好き、写真愛好家、と書くと、カメラに興味がないように思われる。とかくに人の世は住みにくい。
カメラ好きといっても、いろいろある。
ああカメラがお好きですが、カメラ道楽ですね、とあらためていわれると、ほんとうに好きだったかな、好きなのかといわれると、そうでもないな、と思ったりする。
カメラは好きではないけれど、撮るのが好き、という場合もある。
撮るのも好きではないけれど、誰よりも撮っている、ということもある。
撮るのも好きではないけれど、誰よりも撮っていない、という写真家もいる。
厄介である。
カメラなんてなんでもいい、興味がない、という人に、どうでもいいようなカメラで撮っているんですね、というと、ムッとされたりする。
カメラなんてなんでもいいという方が、ライカを使っていたりすると、ちょっと嫌味である。グッバイしたくなる。
ニコンを使っていたらどうだろう。なんでもいいけど、たまたまニコン。そんなことありえるだろうか。
ほんとうに、たまたまこのカメラを使っているだけ、という場合は、機種名はもちろん、メーカー名も知らなかったりする。
そんな人が持っていたのがライカだった、ということもあるかもしれない。そんな場合には、物語がはじまるだろう。
物語といえば、かつてオークションでカメラを売ったとき、こんなやりとりをしたことがある。
私は外科医をやっていまして、静かな夜にカメラのシャッターを切り、巻き上げ、シャッターを切り、機械の音を聴いていると落ち着くのです。お譲りいただきありがとうございました。
いい方に買っていただき、私も嬉しいです。
こんなカメラ愛もあるし、オークションにもこんな牧歌的な時代があったのだ。
すべてのカメラが独自の音を奏でるわけではないように、すべてのカメラが物語を紡ぐわけではない。
モノがカタルと書いて物語。カメラもモノなのだろうか。写真はモノなのだろうか。あるいは、カメラも写真もコトなのだろうか。
モノとコトと書いて物事。そんなことはどちらでもいいのかもしれない。
そう、どちらでもいい。
カメラ blah blah、カメラの戯言
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