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時評

5 うつろう気分

2022/04/11
上野修

それにしてもコロナ禍である。

 

1月19日、政府は、まん延防止等重点措置を適用する地域に、首都圏の1都3県など合わせて13都県を追加、期間は1月21日から2月13日までと決定した。1月22日、東京都の感染者がはじめて1万人を超え、国内の感染者がはじめて5万人を超えた。
 

2月2日、東京都の感染者がはじめて2万人を超えた。2月4日、北京オリンピック2022が開幕した。2月10日、政府は、東京など13都県に適用しているまん延防止等重点措置について、2月13日までの期限を3月6日まで延長することを決定した。2月20日、北京オリンピック2022が閉幕した。24日、ロシアによるウクライナに対する軍事侵攻がはじまった。
 

3月3日、国際パラリンピック委員会は、4日に開幕する北京パラリンピックに、RPC(ロシアパラリンピック委員会)とベラルーシの選手の出場を認めないことを決定した。3月4日、北京パラリンピック2022が開幕した。3月6日、2021年3月から10月、さらに2022年3月へと延期された東京マラソン2021が開催された。3月13日、北京パラリンピック2022が閉幕した。3月16日、午後11時36分頃、福島県沖を震源とするマグニチュード7.4の地震が発生、宮城県と福島県で震度6強の揺れを観測した。3月17日、政府は、18都道府県に適用されている新型コロナ対策のまん延防止等重点措置について、すべての地域で3月21日の期限をもって解除することを決定した。
 

写真関連のできごととしては、1月20日、雑誌『写真』(年2回、1月・7月刊)が、ふげん社より創刊された。2月3日より、オリンパスプラザ東京がOM SYSTEM PLAZAに、オリンパスギャラリー東京がOM SYSTEM GALLERYに、名称変更された。2月22日から23日、オンライン単独開催となったCP+2022のプレ・イベントが開催、24日から27日、メイン・イベントが開催された。3月7日、ガーディアン・ガーデンが開催してきたコンペティション1_WALLが、募集中の第25回をもって終了することが発表された。3月18日、コロナ禍で一昨年と昨年、2年分の作品を対象とした、第46回木村伊兵衛写真賞の受賞者が発表された。3月25日、富士フイルムが、写真フィルムの20〜60%値上げなど、写真関連製品の一部を価格改定すると発表した。3月28日、リコーイメージングスクエア東京・大阪が、ギャラリーとショールームの営業を終了した。
 

こうしてできごとを書き連ねたところで、なにかが浮かび上がるわけではないだろうが、なにも浮かび上がらないというわけでもないだろう。たとえば、東京都の感染者がはじめて1万人を超えた、はじめて2万人を超えた、というできごとを読めば、その時の気分を思い出すかもしれないし、その時の気分をすでに思い出せないことに気づくかもしれない。
 

コロナ禍でも気分はうつろい、うつろう気分が日常を描いていく。コロナ禍によって、その日常も、何気ないものから、取り戻すものになった。あるいは、何気ないこととは、取り戻し続けないと、持続しないものだったのか。そもそも、何気ないとは、どういう気分のことだったのか。
 

ところで、日常といえば、コロナ禍になってラジオを聞くことが多くなった。そのなかで、カメラや写真が話題になることがある。
 

あるタレントは、フィルムカメラを使うことが多くなり、暗室も作ったという。骨董の大正時代のネガもプリントできることに感動していた。なるほど、そういう発想はなかった。スキャニングして、データとして見ることができることと、体験としてプリントできることは違うだろう。レコードプレイヤーがあれば、レコードを再生するという体験ができるように。
 

また、あるタレントは、フィルムカメラが好きな子の影響でカメラをはじめ、デジタルで露出などを調整して撮ってみたいと思い、ニコン Zfcを手に入れ、愛用していると話していた。なるほど、そういう興味の持ち方があるのか。プレミアムエクステリア張替を利用し、サンドベージュに張替え、レトロな見た目がお気に入りだという。
 

フィルムカメラ、モノクロ写真、紙の本、回らないお寿司、というような新語と区別するために呼び名をつけ直された表現を、レトロニムということも、ラジオで知った。
 

写真を、紙の写真、プリントした写真、物質写真、フィジカルフォト、などと呼ぶ日も間近なのだろうか。ある日、気づいたら変化が訪れているのだろうが、それを誘うのも、うつろう気分なのかもしれない。
(2022年3-4月記)



2022年4月上旬 浅草

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