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ララカメラ

11 マミヤRB67 プロフェッショナルS

2022/11/21

上野修

^{マミヤRB67 プロフェッショナルS：コンフォトカメラ@J-カメラより（http://www.comphotocamera.com/）}

サンゴー（35mmフィルム）に行き詰まったら、チューバン（中判＝ブローニーフィルム）で撮ってみる、そんな時代があった。
　

べつに行き詰まったわけでもないのだが、チューバンで撮ってみれば、いちおうサンゴーに行き詰まったことになるという安易な錯覚を味わいたかったのだろうか、私もチューバンでの撮影に取り組んだことがある。
　

当然のことだが、チューバンで撮るには、まず中判カメラが必要だ。どうしようと思ったとき、中判カメラを持っていたことに気づいた。マミヤRB67プロフェッショナルSが手元にあったのだ。
　

RB67をはじめて使ったときには驚いた。フィルムバッグには引き蓋があり、側面にはミラーをセットするレバーがあり、それらを操作しないと撮影できない。基本的に三脚に乗せないといけないし、ペンタプリズムがないので、左右逆像のウエストレベルのファインダーも見にくい。35mmのカメラに比べると、なんと面倒なことか。ということで、持っていたことも忘れていたのである。
　

ブローニーフィルムを使うということは、暗室用品でも必要なものが出てくるということだ。35mmリール3本用のマスコタンクを持っていたので、それを流用するとしても、ブローニー用のリール2本が必要だ。6×7判で撮影するとブローニーで10枚撮りになるので、リール2本だと、20枚分しか現像できない。連続して処理するために、リールやタンクを買い足すと、けっこうお金がかかった。
　

引き伸ばし機は、ブローニーに対応しているフジのS690を持っていたが、ネガキャリアと引き伸ばしレンズも必要だ。ネガのカーリングが気になるので、重めのデラックスネガキャリアを買ったりもした。
　

そもそも、RB67はスタジオ用カメラである。そんなことも知らなかったわけだが、とにかく外で撮るには使いにくかった。RB67を持って、ある場所に通っていたのだが、ずっと違和感があった。最後に撮影した5本か10本くらいのフィルムは、現像もしないまま捨ててしまったと思う。

下北半島への旅行にも持って行った。RB67は小型のアルミケースに入れていたが、ウエストレベルファインダーを覗くときの踏み台にもちょうどよかった。このアルミケースはなかなかサイズ感がよく、その後も中判カメラでの撮影に使うことが多かった。
　

もともと持っていたレンズは90mm F3.8一本だったが、旅行に行く前に、同じくRB67を持っていた知人が127mm F3.8を貸してくれた。相鉄線だったか、けっこう遠くの駅まで借りに行ったことを覚えている。
　

RB67のRBは、回転させて簡単に縦横の切り替えができるレボルビングバックの略で、これを動かすのは楽しかった。中古でポラバックこと、ポラロイドバックフィルムホルダーを手に入れたこともあった。こちらは一回くらいは使ったかもしれない。
　

マミヤのRB67やマミヤプレスといった中判カメラは、無骨で拡張性が高く、メカニズムとしては魅力的だったが、私の用途では拡張する必要もなく、また拡張して遊ぶお金もなかったので、そのあたりはカタログで見るだけの世界だった。けっきょくRB67は、私にとって、どう使ったらいいのかわからないカメラだったのだろう。
　

三脚に据え、撮影の準備をしているうちに、うっかり三脚ごと倒してしまって、レリーズが折れてしまったことがある。それから撮影のときには、必ず予備のレリーズも持つようになった。なかなかしっくりこなかったカメラだけに、こういった失敗もくっきり覚えている。
　

RB67で撮影したネガもほとんど残っていないが、少しだけプリントしたり、印刷物になったりしたものを今見てみると、もう少しこのカメラで撮ってみればよかったし、その写真をまとめようとしてもよかったように思う。
　

むろんこれはイリュージョンにすぎない。しっくりこなかったカメラは、こうしたイリュージョンを味わわせてくれるカメラでもあったのだろう。