本日のレンズ
<Leica Elmar 9cm f4.0>
本日のレンズは、みょーんと長いエルマー9cm f4。カメラ店で見かけるライカのレンズは、どんどん高騰していく一方、この沈胴しないほうのエルマー9cmに関しては、値段が控えめに抑えられていることも多く、好感が持てます。
わたしは一度、自分が持っているレンズの特徴を知らなければ、と全レンズを川べりに持っていき、同条件で撮り比べをしたことがあります。その中で、これは! と思ったレンズが、このエルマー9cm f4でした。個人的にすごく良いレンズだと思っているので、気合を入れて人を撮るときには必ず持って行きます。
α7 Ⅱに装着したところ。確かに長いのですが、写りは最高です。
ところで、みなさんは昆虫、お好きですか。
子供のころはよく虫取り網でセミを捕まえたり、何かの幼虫やカブトムシを育てたりして、昆虫はまったく平気だったのですが、なぜか大人になると虫全般が苦手になる人多いですよね。わたしもバッタとかカマキリとか、あれだけ平気だったのに、今となっては素手で触るのがちょっと怖いです。
そんなふうに、うっすら昆虫怖いな、と思っていても、今でも平気な昆虫がいます。それは蝶。
色とりどりの羽根、優雅な動き、ダミ声で鳴いたり血を吸ったり、臭い汁をだしたりしない生態の可愛らしさ。食べるものも腐肉とかではなく花の蜜。何から何まで、生きる宝石みたいで綺麗ですよね。昆虫界のスターと言ってもいいのではないでしょうか。
そんな蝶を間近に見られるのが、今回紹介する、足立区生物園です。足立区生物園は、規模こそこぢんまりとしていますが、中は大温室に水族館、動物園とが一緒になっているという充実した施設で、土日の子連れにはぜひおすすめの場所です。周りには公園もありますし、半日ばかり子を連れて回れば、良い具合にスヤスヤ眠るので重宝します。
生物園外観。動物・昆虫好きなら、穴場のよい園だと思います。
ですが写真好きとしては、狙い目は平日の大温室。そこは蝶たちの天国、わたしたちにとっては写真天国の場となるのです。(足立区生物園のホームページで確認しましたが、写真撮影は可能です。ですが、動物たちが怯えるので、館内でのフラッシュはかたく禁じられていました。自動フラッシュのコンパクトカメラ等をお持ちの方、ご注意を)
わたしが行ったのは平日のお昼頃でしたが、ほとんどお客さんがいなくて貸しきり、子連れのお客さんがいても、温室はさっと通り過ぎるのみでした。
大温室にはさまざまな種類の蝶が自由に放されていて、一歩温室に足を踏み入れると、そこはもう蝶が舞い踊る桃源郷。蝶のえさとして蜜の台があり、そこにはぎっしりと蝶たちが集まって、仲良く蜜を吸っています。
いよいよ大温室入口。
そこに広がる温室。美しいです。
しかしながら、蝶は何をしていてもさまになりますね……花の蜜を吸っているときも、ちょっと草の上で一休みしているときでも、ひらひら舞っているときも、存在自体が写真映えするというか。どこを向いても被写体、カメラを手にものすごくテンションが上がります。しかも、温室ということで、熱帯植物の美しさも味わえるのは一石二鳥です。
わたくし、今回AFなしで、画角も90ミリのレンズと狭く、レンズ内に蝶をうまくとらえるのにたいへん苦労しました。動いているときの蝶って、けっこう動きが速く、予想外の方向に動くので……。
熱帯の色鮮やかな植物の上で、ひと休みする美しい蝶という構図を狙って、カメラを構えたまま(蝶来てください……蝶来てください……この葉っぱにとまって、羽根をこう、こちらに向けてください……)と念じつつ何分も粘ってみたり、思う存分、蝶とたわむれました。
蝶も、アゲハチョウなどのメジャーなものだけでなく、珍しい蝶20種類あまり。枯れた葉っぱそっくりだな、と見ていたら、枯れ葉のように地味なのは羽根の外側のみで、内側は色鮮やか、(あっこれ「金田一少年の事件簿」で見た)と感激したり、見たこともない模様の蝶がいたり、びっくりするほど大きいのがひらひら飛んできたり、いたずら好きの蝶がカメラにとまったりなどして和みます。
人懐こいオオゴマダラ。(α7 Ⅱ、エルマー9cm、f4、1/100、ISO200)
熱帯の植物も美しい。(α7 Ⅱ、エルマー9cm、f4、1/500、ISO200)
温度も湿度も高い温室の中は、せせらぎの音が流れるのみ。色とりどりの蝶が舞う中を、カメラを持ってあっちへ行きこっちへ行き。頭もぼんやりしてきて(ここは天国かな)と思うほどでした。
(注意書きに、虫除けスプレーを付けた方は温室には入れません、とありましたので、行かれる方はご注意ください)
そんな風に温室の中で一心に写真を撮っていると、「キャー怖いー」「キャー嫌ー」「ここ無理っーキャー来ないでー」ってずっと大声で叫んでいる声が聞こえてきて、(ああ、お子さんで、虫が苦手な子もいるのだろうな)(いろんな特性の子もいるだろうから、仕方が無いな)と思っていたら、終始キャーキャー言ってたのは中年カップルの女の方で、キャーキャー言いながら、連れの男に抱きついて蝶を回避しているのを見て、池に放り込んでピラルクの餌にしたいな、と思いました。
大きなピラルクも泳いでいます。(α7 Ⅱ、エルマー9cm、f4、1/100、ISO200)
お食事中。(α7 Ⅱ、エルマー9cm、f4、1/100、ISO200)
そんなこんなで、カメラ好きにはぜひ平日に行っていただきたい足立区生物園、すっかり蝶好きとなって帰ります。入場料も300円とお安めなのも嬉しいところ、お気に入りのカメラを持って行けば、素敵な蝶の写真が撮れること間違いなしです。
ひとやすみ。(α7 Ⅱ、エルマー9cm、f4、1/100、ISO200)
真っ黒のジャコウアゲハも。(α7 Ⅱ、エルマー9cm、f4、1/500、ISO200)
休憩するコノハチョウ。(α7 Ⅱ、エルマー9cm、f4、1/100、ISO200)
外で見たことがないイシガケチョウ。(α7 Ⅱ、エルマー9cm、f4、1/100、ISO200)
コノハチョウの外側(α7 Ⅱ、エルマー9cm、f4、1/100、ISO200)
コノハチョウの内側(α7 Ⅱ、エルマー9cm、f4、1/100、ISO200)
蝶の種類。たくさんの蝶が舞っていました。
【関連リンク】
足立区生物園
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