top コラム一人で行く、オールドレンズの散歩道第9話 足立区生物園、蝶とたわむれる一時間コース

一人で行く、オールドレンズの散歩道

第9話 足立区生物園、蝶とたわむれる一時間コース

2022/07/12
柊サナカ

本日のレンズ

<Leica Elmar 9cm f4.0>

 

本日のレンズは、みょーんと長いエルマー9cm f4。カメラ店で見かけるライカのレンズは、どんどん高騰していく一方、この沈胴しないほうのエルマー9cmに関しては、値段が控えめに抑えられていることも多く、好感が持てます。
わたしは一度、自分が持っているレンズの特徴を知らなければ、と全レンズを川べりに持っていき、同条件で撮り比べをしたことがあります。その中で、これは! と思ったレンズが、このエルマー9cm f4でした。個人的にすごく良いレンズだと思っているので、気合を入れて人を撮るときには必ず持って行きます。

 

α7 Ⅱに装着したところ。確かに長いのですが、写りは最高です。

 

ところで、みなさんは昆虫、お好きですか。
子供のころはよく虫取り網でセミを捕まえたり、何かの幼虫やカブトムシを育てたりして、昆虫はまったく平気だったのですが、なぜか大人になると虫全般が苦手になる人多いですよね。わたしもバッタとかカマキリとか、あれだけ平気だったのに、今となっては素手で触るのがちょっと怖いです。

 

そんなふうに、うっすら昆虫怖いな、と思っていても、今でも平気な昆虫がいます。それは蝶。 
色とりどりの羽根、優雅な動き、ダミ声で鳴いたり血を吸ったり、臭い汁をだしたりしない生態の可愛らしさ。食べるものも腐肉とかではなく花の蜜。何から何まで、生きる宝石みたいで綺麗ですよね。昆虫界のスターと言ってもいいのではないでしょうか。

 

そんな蝶を間近に見られるのが、今回紹介する、足立区生物園です。足立区生物園は、規模こそこぢんまりとしていますが、中は大温室に水族館、動物園とが一緒になっているという充実した施設で、土日の子連れにはぜひおすすめの場所です。周りには公園もありますし、半日ばかり子を連れて回れば、良い具合にスヤスヤ眠るので重宝します。

 

生物園外観。動物・昆虫好きなら、穴場のよい園だと思います。

 

ですが写真好きとしては、狙い目は平日の大温室。そこは蝶たちの天国、わたしたちにとっては写真天国の場となるのです。(足立区生物園のホームページで確認しましたが、写真撮影は可能です。ですが、動物たちが怯えるので、館内でのフラッシュはかたく禁じられていました。自動フラッシュのコンパクトカメラ等をお持ちの方、ご注意を)

 

わたしが行ったのは平日のお昼頃でしたが、ほとんどお客さんがいなくて貸しきり、子連れのお客さんがいても、温室はさっと通り過ぎるのみでした。
大温室にはさまざまな種類の蝶が自由に放されていて、一歩温室に足を踏み入れると、そこはもう蝶が舞い踊る桃源郷。蝶のえさとして蜜の台があり、そこにはぎっしりと蝶たちが集まって、仲良く蜜を吸っています。

 

いよいよ大温室入口。

 

そこに広がる温室。美しいです。


しかしながら、蝶は何をしていてもさまになりますね……花の蜜を吸っているときも、ちょっと草の上で一休みしているときでも、ひらひら舞っているときも、存在自体が写真映えするというか。どこを向いても被写体、カメラを手にものすごくテンションが上がります。しかも、温室ということで、熱帯植物の美しさも味わえるのは一石二鳥です。

 

わたくし、今回AFなしで、画角も90ミリのレンズと狭く、レンズ内に蝶をうまくとらえるのにたいへん苦労しました。動いているときの蝶って、けっこう動きが速く、予想外の方向に動くので……。

熱帯の色鮮やかな植物の上で、ひと休みする美しい蝶という構図を狙って、カメラを構えたまま(蝶来てください……蝶来てください……この葉っぱにとまって、羽根をこう、こちらに向けてください……)と念じつつ何分も粘ってみたり、思う存分、蝶とたわむれました。

 

蝶も、アゲハチョウなどのメジャーなものだけでなく、珍しい蝶20種類あまり。枯れた葉っぱそっくりだな、と見ていたら、枯れ葉のように地味なのは羽根の外側のみで、内側は色鮮やか、(あっこれ「金田一少年の事件簿」で見た)と感激したり、見たこともない模様の蝶がいたり、びっくりするほど大きいのがひらひら飛んできたり、いたずら好きの蝶がカメラにとまったりなどして和みます。

 

人懐こいオオゴマダラ。(α7 Ⅱ、エルマー9cm、f4、1/100、ISO200)

 

熱帯の植物も美しい。(α7 Ⅱ、エルマー9cm、f4、1/500、ISO200)

 

温度も湿度も高い温室の中は、せせらぎの音が流れるのみ。色とりどりの蝶が舞う中を、カメラを持ってあっちへ行きこっちへ行き。頭もぼんやりしてきて(ここは天国かな)と思うほどでした。

(注意書きに、虫除けスプレーを付けた方は温室には入れません、とありましたので、行かれる方はご注意ください)

 

そんな風に温室の中で一心に写真を撮っていると、「キャー怖いー」「キャー嫌ー」「ここ無理っーキャー来ないでー」ってずっと大声で叫んでいる声が聞こえてきて、(ああ、お子さんで、虫が苦手な子もいるのだろうな)(いろんな特性の子もいるだろうから、仕方が無いな)と思っていたら、終始キャーキャー言ってたのは中年カップルの女の方で、キャーキャー言いながら、連れの男に抱きついて蝶を回避しているのを見て、池に放り込んでピラルクの餌にしたいな、と思いました。

 

大きなピラルクも泳いでいます。(α7 Ⅱ、エルマー9cm、f4、1/100、ISO200)

 

お食事中。(α7 Ⅱ、エルマー9cm、f4、1/100、ISO200)

 

そんなこんなで、カメラ好きにはぜひ平日に行っていただきたい足立区生物園、すっかり蝶好きとなって帰ります。入場料も300円とお安めなのも嬉しいところ、お気に入りのカメラを持って行けば、素敵な蝶の写真が撮れること間違いなしです。

 

ひとやすみ。(α7 Ⅱ、エルマー9cm、f4、1/100、ISO200)

 

真っ黒のジャコウアゲハも。(α7 Ⅱ、エルマー9cm、f4、1/500、ISO200)

 

休憩するコノハチョウ。(α7 Ⅱ、エルマー9cm、f4、1/100、ISO200)

 

外で見たことがないイシガケチョウ。(α7 Ⅱ、エルマー9cm、f4、1/100、ISO200)

 

コノハチョウの外側(α7 Ⅱ、エルマー9cm、f4、1/100、ISO200)

 

コノハチョウの内側(α7 Ⅱ、エルマー9cm、f4、1/100、ISO200)

 

蝶の種類。たくさんの蝶が舞っていました。

 

【関連リンク】

足立区生物園

https://seibutuen.jp

関連記事

PCT Members

PCT Membersは、Photo & Culture, Tokyoのウェブ会員制度です。
ご登録いただくと、最新の記事更新情報・ニュースをメールマガジンでお届け、また会員限定の読者プレゼントなども実施します。
今後はさらにサービスの拡充をはかり、より魅力的でお得な内容をご提供していく予定です。

特典1「Photo & Culture, Tokyo」最新の更新情報や、ニュースなどをお届けメールマガジンのお届け
特典2書籍、写真グッズなど会員限定の読者プレゼントを実施会員限定プレゼント
今後もさらに充実したサービスを拡充予定! PCT Membersに登録する