top コラム一人で行く、オールドレンズの散歩道第2話 七時間コース 恵比寿から表参道の一日満喫コースへ

一人で行く、オールドレンズの散歩道

第2話 七時間コース 恵比寿から表参道の一日満喫コースへ

2021/12/28
柊サナカ

本日のレンズ<REオートトプコール 58ミリ エクザクタマウント> 

 

「東京光学の、REオートトプコール58ミリを買いました」とSNSに書き込むと、いろんな方から「それはとても良いレンズだよ」とお褒めの言葉を。著名な写真家の方もずっと愛用していたということで、買って良かったなと思います。
元はフィルム機のトプコンにつけて使おうと購入したのですが、ボディを入手するまで、SONYのα7Ⅱに付けて撮っていました。デジタルでもわたし好みのすごくよい感じに写ったので、今回はこのレンズで、ぶらり散歩に出てみることにしました。

 

本日はまず恵比寿からスタート。ちょうど恵比寿のガーデンプレイスでは、毎年恒例のバカラシャンデリアの建設中でした。2021年の今年は11月13日からスタートのようです。クリスマス気分も盛り上がりますね。
いつものように一人でやってきた恵比寿。そんなクリスマスの雰囲気の中、柊は一人でカメラ持って移動して面白いのだろうかとお思いの、読者のみなさまもいらっしゃることでしょう。今回のこのコース、一人だからこそ楽しめることも多いのです。

 

東京都写真美術館。(α7Ⅱ,REオートトプコール58ミリ F1.4,1/10,f8,ISO200)

 

まず写真好きなら外せない美術館、TOP MUSEUMこと、東京都写真美術館へ。こちらの美術館、外観から、白と黒のタイルがずっと向こうまで伸び、とても美しい……。絶対に写真撮っちゃいますよね。わたしはこのTOP MUSEUMがとにかく好きで、展示替えのたびに行っているのですが、この白黒タイルの通路、行くたびに必ず撮り、行きと帰りでも二回撮っています。人が歩いている後ろ姿をシルエットで撮ったり、レンズをタイルに近づけて撮ったり、写真好きな人は撮らずにはいられない外観ではないかと。

 

壁面にも世界的名作が並びます。(α7Ⅱ,REオートトプコール58ミリF1.4,1/10,f8,ISO200)

 

趣深いタイル。(α7Ⅱ,REオートトプコール58ミリF1.4,1/20,f5,ISO200)

 

今回の一番の目当ては「写真新世紀」。これはキヤノン主催の新人写真家の登竜門的な公募で、今年で30周年。毎年、本当に多種多様な作品が見られます。残念ながら今年で最終回となってしまいましたが、来年には総集編の展覧会が開催されるそう。今から楽しみです。
わたしは美術の専門家でもないし、写真の専門家でもないのですが、美術館の写真展示をひとりで観るのが好きです。
いやー、ものすごいものを見ちゃった。価値観が西へ五度ずれた。と思いながら帰って、夢でうなされるような日もあれば、キリッとした顔で作品を見て、寄ったり引いたり、顎のところに手をやって(なるほどね)という顔をしながらも、内心(すみませんぜんぜんわかりません)という日もあります。

 

でも、今日び、みなさん、ぜんぜんわからなかったことって、ありました? テレビ番組もなんだか妙にわかりやすくなり、ネットなどの情報は自分の好きなことだけを取捨選択して見られます。しかしながら、展示という空間では、作品の前で一対一となります。静かな空間で、いろいろ考えます。出口近くになって、気になった作品を観に二度三度と戻ったりも。気の済むまで展示室に居座ります。楽しい……。

 

綺麗! とか すごい! と感心するのも良し、寄っても引いてもわからんな……と思いつつ眺めたりするのもまた良し。でも、そのわかりません、となっているときには、脳のどこか、使っていなかった領域が開かれていくような感じがします。
作品を見て、その時はわからないな、と思っても、二、三日経っても、ぼうっとその作品のことを考えていたりすることもありますし、解説を読んで、ハッ! となったりも。これは、スマホの小さな画面では味わえない、美術館ならではの体験ではないでしょうか。

 

作家に限らず、表現したり作ったりするアイデア勝負の人は、定期的に自分の想定外のものに触れたり、鑑賞したりすることが大事なのではないかなと思っています。美術館でだけでしか摂取できない栄養分があります。

 

このTOP MUSEUM には、展示以外の楽しみもあります。それは四階にある図書室。写真集って、買い時を逃してしまうと、迷っている間に、みるみるうちに価格が上がってしまい、とても手を出せない価格になってしまったりということ、ありますよね。そうそう再版も復刻もしないものですし。
わたしにも、そんな買い時を逃してしまった写真集がいくつかあります。観たいなあ、と思っていたら、四階の図書室に所蔵されていることがわかりました。こちらもとても静かで、写真集をじっくり観ることができます。

 

展示を心ゆくまで見終わった後は、いろんな感情を脳内にいっぱい詰め込んだ状態でお昼ご飯を。美術館一階のカフェ「フロムトップ」も新しく開店しましたね。今日は天気も良いので、ガーデンプレイスのオープンカフェでサンドイッチなどを食べました。ソーダ片手に図録を眺めて、鑑賞の余韻に浸るのもまた良いものです。
TOPMUSEUM 東京都写真美術館、ホームページはこちら→https://topmuseum.jp/

 

f1.4開放で撮りました。クリスマス気分が盛り上がりますね。(α7Ⅱ,REオートトプコール58ミリf1.4,1/250,f1.4,ISO200)

 

f1.4で看板矢印も光の玉に。(α7Ⅱ,REオートトプコール58ミリF1.4,1/8000,f1.4,ISO200)

 

次は、徒歩で15分ほど移動して、NADiff a/p/a/r/tへ。おっ、いまどきいい感じのレトロなアパートがあるな、と思いつつ歩いていたら、突然、NADiff a/p/a/r/tが路地に現れます。

 

NADiff a/p/a/r/t外観。(α7Ⅱ,REオートトプコール58ミリF1.4,1/1250,f5.6,ISO200)


ところでみなさん、書店は好きですか。わたしももちろん書店好きなのですが、書店好きならではの悩みがあります。それは、近年、どこの書店もなんというか、均一化されていること。だいたいどこも同じ雰囲気の売れ筋の本、並べ方もそんなに差違は無く、その一方でどんどん増え続けるのは文房具スペース。

 

昔はA書店ではミステリーを重点的に探そう。B書店では漫画が充実、C書店では専門書が多い、みたいな書店ごとの性格がもっとはっきりしていて、はしごして回るという楽しみがありました。もちろん今でも、個性のある書店はあるのですが……。
そんな悩みを持っていたわたくし、書店であり、ギャラリーも併設されているNADiff a/p/a/r/tに足を踏み入れたら……。何がすごいかって、写真集、画集、展覧会図録などのアート系書籍はもちろん、(えっこんな本見たことない)というようなマニアックな本から、面白そうなZINE、ついつい手に取って中を確かめてみたくなるような本やアートグッズの宝庫でした。もはや本の形をしておらず、どうやって読むのだろうと心配になるようなものも。棚には関連のある本がずらりと並びますが、一冊気になったら隣の本も気になり、その隣にも興味が湧いて、というような連鎖反応が起きて、ずっと居られそうな気がします。読者のみなさんも、NADiff a/p/a/r/tに足を踏み入れたら、必ず何か、心動かされるものがあるはずです。書店のワクワク感よ永遠なれ。

 

NADiff a/p/a/r/tでは、一歩進むごとに驚きがあります。(α7Ⅱ,REオートトプコール58ミリF1.4,1/20,f5.6,ISO200)

 

オブジェも美しい。(α7Ⅱ,REオートトプコール58ミリF1.4,1/25,f5.6,ISO200)

 

写真集も幅広く取り扱っています。(α7Ⅱ,REオートトプコール58ミリF1.4,1/20,f5.6,ISO200)

 

NADiffの系列店は、TOP MUSEUM 東京都写真美術館の二階にも、ミュージアムショップのNADiff BAITENとしてありまして、そちらも充実しており、とても楽しいのですが、NADiff a/p/a/r/tは、敷地も広く、扱う書籍もその分濃厚な感じがします。アート系雑貨も、独特な品揃えが実にいい。前々から買おうと思っていた、打林俊氏の「写真の物語 イメージ・メイキングの400年史」(森話社)を買いました。
時間が迫っていたので、時計を気にしつつだったのが心残りなのですが、またすぐに寄ってみようと思います。お財布持って、いろいろと気の済むまで買い回りたいですね。

 
NADiff a/p/a/r/t付近の路地には、こじんまりとしたテイクアウトのお店がたくさんあるのもいいです。お弁当にお菓子、どれもとても美味しそう。今度はテイクアウトのお店で何かを買って、近くの公園で食べるとかもやってみたいですね。買った本を読むのも良し。
あともう一回人生をやり直せるとしたら、NADiff a/p/a/r/t隣のレトロアパートに写真学生として住み、毎日お隣のNADiff a/p/a/r/tに行って、休みの日には写真美術館に入り浸るという人生を送ってみたいものです。
NADiff a/p/a/r/tのホームページはこちら→ http://www.nadiff.com 

 

富士フイルム直営写真店 WONDER PHOTO SHOP外観。おしゃれで入りやすいです。(α7Ⅱ,REオートトプコール58ミリF1.4,1/40,f8,ISO200)


その後、バスで移動して20分。表参道まで出て、富士フイルム直営写真店「WONDER PHOTO SHOP(ワンダーフォトショップ)」へ。
ところで、みなさん七五三とかのいわゆる記念写真、どうしてます? 飾ってますか? うちもあるのですが、見るからに記念写真! ザ・七五三!という感じがして、四つ切りの記念写真は棚にしまいこみ、額やカレンダーは、それぞれの実家に送ってしまいました。実家では喜んで飾ってくれていますが、もうちょっと、こう……インテリアになじむ感じがあっても良いですよね。

 

富士フイルム ワンダーフォトショップがすごいのは、おしゃれなプリントの飾り方の提案が山ほどあること。パネルも数種類、センスの良い額にレーザー加工や樹脂タイプのものなど、形も質感もいろいろ。わたしも額やパネルのタイプがいろいろ存在することは知っていましたが、やはり実物を見なければ、わからないこともたくさんあるものです。今後、何かの記念写真を撮る機会があったら、迷いなくこちらで相談します。
これからご結婚、出産や入学予定がある読者のみなさま、いらっしゃったら、ぜひ表参道の、富士フイルム ワンダーフォトショップに行ってみて、パネルや額等の実物をご覧ください。これは記念にいいな、結婚式等、パーティの飾りにもいいな、部屋のインテリアにもいいな、となると思いますよ。

 

見てくださいこのチェキの充実度!フォーマット違いでたくさん見られます。(α7Ⅱ,REオートトプコール58ミリF1.4,1/40,f5.6,ISO800)


チェキも充実、ストラップやアルバム等の可愛い小物などもいっぱいあって楽しめます。
すごいな新しいなと思ったのが、自撮り撮影スタジオがあったこと。証明写真用スタジオでもあるのですが、自分でレリーズを持って、10分3000円で撮り放題、思い切り撮れます。人見知りのために、人に撮られるのは緊張して顔がカチコチになってしまいがちなわたしも、一人なら解き放たれる! 100枚ほど自分で撮りまくりました。
撮ったデータは全部ラインやその他の方法で転送してくれて、しかもプリントが五枚つくことも素晴らしい。何かでプロフィール写真が必要になったときには、またここに来て、心置きなく撮りまくろうと思います。自撮り自体、楽しいのでぜひ。

 

ラボが店内にあるので、もちろんカラーフィルム現像も、最短一時間で可能だそう。これからは富士フイルム ワンダーフォトショップを拠点にして、フィルムの現像をお願いし、店内でのんびり買い物や自撮り、タッチ&トライコーナーで新製品のお試しやギャラリーの鑑賞などしているうちに、知らない間に一時間が経過、現像も終了という新しい過ごしかたもできそうです。
富士フイルム ワンダーフォトショップのホームページはこちら→https://wps-jp.fujifilm.com/

 

自撮りスタジオは学生さんにも大人気だとか。確かに楽しい。(α7Ⅱ,REオートトプコール58ミリF1.4,1/40,f5.6,ISO800)

 

写真を素敵に飾りたい人はぜひ。(α7Ⅱ,REオートトプコール58ミリF1.4,1/500,f5.6,ISO800)

 

カメラを持っていない方でも、恵比寿のTOP MUSEUMで展示を見て写欲を存分に高め、ミュージアム二階のミュージアムショップNADiff BAITENで、レンズ付きフィルムを購入。道中気になるものをいろいろ撮りながらNADiff a/p/a/r/tへ移動。お気に入りの写真集や気になる本、グッズを買って表参道へ。撮った写真は、富士フイルム ワンダーフォトショップで現像、現像の間は最新鋭のカメラも見て触って、いいのが撮れていたら、おしゃれな額も買って飾っちゃいましょう……という感じで、カメラと写真を一日満喫できます。

 

本日はこんな感じで、写真・カメラを心ゆくまで楽しんだ一日でした。ひとりでも数人でも楽しめるコース、お休みの日にぜひどうぞ。
 
(註:写真はいずれも許可を得て撮影しています)

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