top コラム一人で行く、オールドレンズの散歩道第6話 松屋銀座のカメラ市とかわうそ商店四時間コース

一人で行く、オールドレンズの散歩道

第6話 松屋銀座のカメラ市とかわうそ商店四時間コース

2022/04/19
柊サナカ

かわうそ商店店主、毛利剛さん。フィルムカメラユーザーの強い味方です。

 

ベビーローライというカメラがあるのは、ご存じの方も多かろうと思います。4×4、ローライフレックスよりも二回りほど小さく、二眼レフの、ものすごく可愛いカメラで、私もいつか欲しいなと狙い続けています。しかしながら、カメラ自体が小さいため、規格が違って、普通のブローニーフィルムは入りません。さてどうするか。

 

フィルムカメラユーザーには欠かせないのがフィルムですが、みなさん、どちらでお買い求めでしょうか。巷にはいろいろな良いお店がありますが、ここでわたくし、「かわうそ商店」をみなさまに紹介したいです。

 

かわうそ商店http://kawauso.biz/
おすすめするのは理由があります。

 

冒頭で触れた、ベビーローライに対応した127フィルム(ベスト判)、他ではなかなか見ることのできない珍しいベスト判フィルムですが、かわうそ商店なら、カラー、モノクロ、リバーサルすべて買えます。ベスト判用プラスチックスプールだって買えます。
かわうそ商店のすごいところは、取り扱うフィルムの種類が豊富なこと。ぜひホームページをご覧になっていただきたい。モノクロ、カラー、ポジフィルム、モノクロポジフィルム……豊富なのは国やメーカーのみならず、127フィルム(ベスト判)に、110・220・620・828フィルム。シートフィルム、赤外線フィルムも長巻も。インスタントフィルムもあります。8ミリ16ミリなども。このように、さまざまな規格のフィルムを扱っているため、どんなカメラでもドンと来いの心強さ。印画紙も現像薬品も取り扱いがあります。
たぶん国内ではここだけかもしれないという、16ミリ用フィルムも扱っています。16ミリ用フィルムは、機種にあわせて、片穴パーフォレーションや、両穴パーフォレーションなどの細かい取りそろえもあります。 

 

ご覧ください、世界のフィルム大集合コーナー。定番から変わり種までいっぱい。


せっかく良いカメラを買ったのに、肝心のフィルムが無いとなると困りますよね。フィルムがなければ、カメラはただのかっこいい文鎮になってしまう……。合うサイズにフィルムを切り出そうにも、フィルムの加工は光が当たってはならないため難しく、わたしも一回やろうとして、真っ暗な中でカッター片手に途方に暮れ、(こりゃだめだ)となったことがあります。


今回、かわうそ商店店主の毛利さんに伺ってみると、品揃えの中で、16ミリ用フィルムなどのマニアックなフィルムは、それほどたくさん売れる物ではないのだそうです。きょうびはどこでも、売れ線でないものは、どんどん店頭から消えてしまうご時世。それでもかわうそ商店に置いてあるのは、店主の毛利さん自らが大のカメラ・写真好きであり、フィルム文化をこよなく愛していらっしゃるからだろうと思います。
カメラ・写真好きには、かわうそ商店なら、きっとフィルムはなんとかなるはずだ、というような希望と喜びの場となっています。

 

おすすめの点はもうひとつあります。店主の毛利さんが、扱うフィルムに関して、あらかじめ試し撮りをしていること。
以前どこかから、海外の某フィルムが、コダックの空パトローネに詰め替えられたものが、どういう経緯かはわかりませんが、国内に輸入フィルムとして入ってきたことがあったようです。中身が詰め替えられているものと知らずに、写真店が現像機に通したら、フィルムの層が剥がれて、現像機の中がめちゃくちゃになってしまったのだといいます。
わたしは珍しいもの好きで、変わったフィルムもよく買うため、名の知られたメーカー以外のフィルムを写真店に持っていくときは気を遣います。いまや貴重な、フィルム現像ができる街の写真店です。現像機だって壊れたら新品はないのだとか。みんなで大切にしなければなりません。
ですので、キリル文字がいっぱいだったり、パッケージが袋だったりする、馴染みのない国のフィルムでも、かわうそ商店で買ったフィルムは試写済みで、ちゃんと現像ができることが証明済みなので安心です。珍しいフィルムでも、臆せず使うことができます。

 

しかし、このご時世だし、フィルムの売り上げはどうなんだろう……と思って毛利さんに尋ねてみると、一月二月とも、とても売り上げは好調だったそう。コダックの大幅値上げを受けて、まとめ買いしようという方も多かったようですね。わたしが行ったのもカメラ市最終日でしたが、たしかに、コダックのフィルムは品薄になっていました。わたしもいそいそと一本、コダックのフィルムの中で好きなポートラを買いました。

 

グッズもあります、ロープストラップは色もいっぱいあって可愛い。

 

620フィルムに珍しい828フィルム(バンタムフィルム)も! フィルムがなくてただの置物になっていたコダック・バンタムやバンタムスペシャルをお持ちの方、朗報です。

 

たくさん撮る派におすすめの長巻(30.5m)が買えるのはうれしいですね。

 

箱潰れアウトレットも熱いです。

 

慌てて買うコダックのフィルム。なんと値上げ前の仕入れ分で、お値段据え置きでした。ありがたい……。そばのお客さんも驚いて、いっぱい買っていました。(なお、次回仕入れからは次回仕入れ分の値段になります)

 

店長の毛利さんが仰っていました。ベテラン勢の買い物も、もちろん嬉しいですが、「カメラ市で初めてのカメラを買いました。フィルムが欲しいんですが……」と目をキラキラさせてやってくるお客さんを見ると、心から嬉しくなるのだそうです。フィルムの装填などを説明することもあるのだとか。「喜んでお教えしますので、ぜひいらしてください」と毛利さん。心強いですね。

 

カメラ市の常連も「イベントにかわうそ商店があるとほっとする」と、よく言っています。
それは、物欲をたぎらせてカメラ市に行くも、良い出会いがなかったときなどには、ありあまった物欲のみが亡霊のようにつきまといます。これでは、すっきり会場から帰れません。そこで、かわうそ商店に行きフィルムを買うことで、物欲の亡霊が鎮まるのです。これをわたしは「カメラ市のかわうそ詣で」と呼んでいます。
今回もいくつかフィルムを買い足しましたので、これで安心です。

 

それじゃまた、とかわうそ商店を出てからなのですが、わたくし、早田カメラさんで二眼レフを見せてもらいました。目測の二眼レフ、しかも……憧れのレンズ、アンジェニュー付きのAIGLON。パリの風が写るという魅惑のレンズとコンパクトなボディにクラクラして、一時間エレベーター前で頭を冷やすも結局購入、またかわうそ商店に逆戻り、「二眼レフ買ったのでフィルムも下さい!」と意気揚々と、上海GP3 iso100を買って帰りました。
みなさんも、ぜひカメラ市で新しいカメラをお買い上げになったら、かわうそ商店でフィルムを。新しいカメラで撮りながら帰るのはこの上もない喜びです。

 

カメラ市で買ったカメラAIGLONにオススメのフィルムを……。上海GP3。

 

いそいそと交換の図。

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