top コラム一人で行く、オールドレンズの散歩道第11話 「文喫 六本木」の充実5時間コース

一人で行く、オールドレンズの散歩道

第11話 「文喫 六本木」の充実5時間コース

2022/09/06
柊サナカ

本日のレンズ 

<Ai Nikkor 50mm f1.4>

 

まだカメラにはまる前の話です。カメラと言えばトイカメラを少々というくらいだったわたしが、最初に買った本格的なカメラが、ニコンFM2とニッコール50ミリf1.4のセットでした。今思えば、まったくカメラを知らなかったわりには、なかなかいい選択だったと思います。

 

レンズ側面。このニッコール50ミリ、海外で買ったためかちょっとデザインが変わっているようです。

 

アダプターを介してソニーα7 Ⅱにつけたところ。


ところで、みなさん。アイデア、煮詰まっていませんか。なにか思いつきたくて、うんうん唸ってもいい案が出なくて困っているとき。もしくは、なんか面白いことでもないかなあ……と、退屈を持て余しているとき。自分の写真や文章が、妙にワンパターンに思えてきたとき。そんなときって、ありますよね?

そんなときには、わたしは六本木にある、「文喫 六本木」に必ず行きます。(→https://bunkitsu.jp/

 

文喫の入口。平日午前中は空いていて快適でした。

 

一歩入れば一面に本です。雑誌なども充実しています。

 

ぎっしりとした本棚に並ぶ、面白そうな本たち。

 

文喫は、入場料がいる書店です。えっ書店に入場料なんて、なんでまた? と最初思うじゃないですか。なんでケチな柊が、たびたびそんなところに行くんだろうと思いますよね? 実はわたし、住みつきたいと思っているくらいに、文喫が好きなのです。

 

最初に、受付で支払いを済ませて、バッジをもらいます。店の中を見回すと、居心地の良さそうなソファや椅子がたくさん置いてあります。その中で、素敵なソファーを「今日のわたくしの巣」と決めたら、ロッカーに荷物を入れ、鍵はポケットに。

まず、コーヒーか煎茶を頂きに行きます。なんと飲み放題です。興味のある本を手に、ソファーに身を沈めて、合間にコーヒーを飲んだり、昼食をとったり、プリンを食べたりしながら、本を次々読んでいく……天国のよう。

 

こちらでお茶やコーヒーがいただけます。飲み物自体が、とても美味しいのも嬉しい。

 

一杯めはアイスコーヒーにしました。ポメラ以外の荷物をロッカーに預けて身軽に。

 

気持ちよさそうなクッションスペース。

 

奥まったこのソファーを、今日の巣とすることにしました。もう帰りたくない。

 

本との出会いって、図書館も、普通の書店ももちろん楽しいのですが、ここ文喫では、出版社別、あいうえお順に、きちっと本が並んでいるのではなくて、キレッキレに選書された本が、ゆるやかな繋がりをもって置かれているのが素敵です。本を手に取ると、その下に別の本があったりして、本と好奇心と興味が有機的に繋がるように配置されています。存在すらも知らなかった本が、めっぽう面白かったり。文喫に行くといつも必ず、いままで買ったことのないような本を買って帰ります。それは、本好きの文喫さんという人に、「柊さんなら、こんなのも面白いと思いますよ、これはどうですか?」と、次々におすすめされているようでもあります。

 

あと、文喫の好きなところは、写真集の棚のすぐ近くに絵画・映画関係の本があったり、写真史の本があれば、写真家を体系的に掘り下げた本があり、展覧会図録があり、クラシックカメラの本もあったりして、歩けばつぎつぎ手に取りたいものが見つかるところ。今回ちょうど、店長の伊藤さんともお話しする機会があったのですが、写真関係の選書は、写真を専門的に学んだ方によるものなのだそうです。どうりで棚が面白いわけだと思いました。


写真集は、写真集の棚以外にも、ファッション関係の棚にあったり、建築関係・登山関係、旅行関係の棚にまぎれて置いてあったりします。和食のレシピが置いてあるような棚に、築地で働く海の漢たちの写真集があったのは驚きました。未知の本に、ハッと出会うときの面白さ。

 

本好きなら見ただけでわくわくする本の密度。ちなみに突き当りが写真関係書籍です。

 

気になる写真集がたくさんあります。

 

奈良原一高「太陽の肖像」もありますね……。

 

作家の同業者にも、文喫好きが多いのもよくわかります。特定の本を探しにいくのではなく、自分では何かわからないけれど、何かが欲しいと思うとき、ここ文喫は、どなたも絶対に一冊は、心から面白そうだと思える何かに出会える場所です。

 

わたしの場合、アイデアが煮詰まったりして不調なときは、たいていインプット不足であるように思います。頭の中でストーリーを発酵させるにも、もとになる材料みたいなものは必ず要ります。材料は、関連図書だけでなくて、まったく関係ない書物の隅っこの挿絵だったり、たまたま手に取った本だったり。そういった一つ一つの要素が、あるとき一気に組み合わさって立体になり、ストーリーとなるのだろうと思っています。たくさんの面白いものを蓄えるためにも、文喫は必要です。

 

あと、もしみなさんが文喫にいらしたら、個人的におすすめしたいのが返却棚の本。返却棚とは、どなたかが気になって手に取り、置いていった本の棚のことです。そこで今日は、「サメ映画ビジュアル大全」を見つけました。タコのように脚があって歩くとか、クジラより大きいとか、もはや海にいないとか、いろんなサメ映画があるのだなあと驚きつつ、ポスター集を見ていったり。


その他、「吸血動物図鑑」という、ヒルやアブなどの吸血動物のみが載った美麗な図鑑があったりして(しかしこの人はなぜこの図鑑を……)と思いつつ読んだり、知識の脱線の楽しみがあります。ちなみに「サメ映画ビジュアル大全」は買って帰るか真剣に悩みました。

 

今日は愛用のポメラを持って行っていますが、静かなので、作業もはかどります。パソコンを開いて、何らかの作業をしている人も多く見かけます。

ゆっくり休みたいとき用の、ソファーやクッションスペースもあれば、作業スペースには、ライトも美しい机がずらりと並んでいたり、Wi-Fiも完備、静かで騒ぐ人もおらず、気の済むまで長居できて、心地よい音楽が流れて……と至れり尽くせりです。

 

ずらりと並んだ作業スペース。コンセント口もあるので、バッテリーを気にする必要がありません。

 

作業スペースがおしゃれだと気分も上がります。

 

住みたいな……なんとか文喫に住める方法はないものか、と調べたら、月額で通い放題のプランもあったりして、文喫を自分の仕事場にできたらいいだろうなと、ちょっと思いました。本を読んでばかりで、原稿に手が付かずということもあるかもしれませんが、いまも密かにいいなあと思っています。

 

朗報です。文喫は六本木以外に、福岡天神にもオープンしたそう(2021年3月)。今後、全国に増えるかも、という噂も。楽しみですね。

 

 

メニューも充実でうれしい。

 

いただきます!

 

わたしが文喫に行ったらかならず食べるプリン。しっかりしたいいお味なので、ぜひみなさんもどうぞ。

 

気になる本を片っ端から読む至福の時間。

 

  • ■文喫 六本木
  • 〒106-0032 東京都港区六本木6-1-20 六本木電気ビル1F
  • アクセス:地下鉄日比谷線・大江戸線六本木駅 3・1A出口より徒歩1分 
    営業時間:9:00~20:00(L.O.19:30) 
    電話番号:03-6438-9120 
    定休日:不定休 
    席数:90席 
    入場料:1,650円(税込) ※土日祝の入場料は1,980円(税込)となります
  • https://bunkitsu.jp

 

 

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