台湾・台北レポート第2弾。
台北ではPhoto ONEのほかにもいくつか訪問したいところがありました(「Photo ONE」編はこちら)。PCTスタッフ3人で持ち寄った「行きたいところリスト」から、足を運んだカメラ店、ギャラリーを紹介します。
カメラメーカーの看板がずらりと並ぶ Camera Street
PCTチームが宿を取った台北市西門から少し東へ歩くと、Canonののぼり旗が目につきました。もしや…と思いながらそのまま東へ歩いていくと、ちらほらカメラを置くショーウィンドウが。ライカ専門店やフィルムカメラ中心のお店、デジタルカメラのお店などを覗きつつ進むと、SONY、Canon、Nikon、Tamronなどの看板がずらっと並ぶ通りに出て、そこがCamera Streetと呼ばれる一帯だということを知りました(その名称を知ったのは最終日のこと)。
ライカブティックも
食べ物と中古カメラが一緒に並ぶ
中古カメラは日本とあまり価格が変わらない印象。デッドストックの富士フイルムKLASSEや京セラT Zoomも見かけたり(これらは日本国内の中古相場より少し高かったです)。
結局4日間の滞在中、Camera Streetには三度足を運ぶことになりました(各々フィルムの補充など……)。
- 台北カメラ街(Camera Street)
- 所在地:Zhongzheng District, Taipei City
- アクセス:台北駅から徒歩10分、北門駅から徒歩5分
KAIDO BOOKSのみなさんに教えてもらったMOLLY LIFESTYLEは、もしかして台北で一番フィルムの品揃えが良いのでは? 台北で手持ちフィルムが無くなってしまったらここへ行けばOK。フィルムは日本より安く感じました。
コンパクトフィルムカメラもたくさん陳列されていて、店内はカメラ屋さん+雑貨屋さんの装いでした。
コンパクトフィルムカメラは台湾でも人気の様子 |
ロモグラフィーやコダックのカメラも豊富 |
ご覧の通りの品揃え。フィルムが切れたらこちらへ! |
棚の中にも雑多にカメラが |
- MOLLY LIFESTYLE
- 住所:100 台湾 Taipei City, Zhongzheng District, Lane 27, Linyi St, 9之4號
- 電話:+886223932601
- アクセス:忠孝新生駅から徒歩2分
- https://www.facebook.com/MollyLifestyle
Photo ONE 2025の会場、華山1914文化創意産業園区から南方面、忠孝新生駅の一帯は、日本でいう秋葉原のような街並み。電気街を感じさせる雰囲気で、中古カメラ店もちらほら見かけました。ここでの中古カメラの価格は日本に比べて少し安いくらい?それほど日本と変わらない印象です。
ふらりと入った「CK camera」はデジタルカメラもフィルムカメラもたくさんの在庫が並び、買い物客で賑わっていました。
ちなみに中国語の「撮影」とは「写真」という意味です。(中国語に「写真」という言葉はありません!)
飲食店へ向かう道中たまたま見つけたカメラ店「CK camera」。
デジタルからフィルムカメラまで実用的な商品が豊富でした。
CK cameraで見つけた気になる「Konica S mini」Go! Go! Conniechanモデル。中国語の商品説明も、なんとなくわかります。(ポンキッキーズのコニーちゃんです。伊藤はコニカのキャラクターかと思っていました…。)
台湾の中古カメラ事情は、本サイトの陸田三郎さんによる記事「台湾中古カメラ探訪記2024」に詳しいので、ぜひご覧ください!
https://photoandculture-tokyo.com/contents.php?i=4615
カメラ店を覗きながら歩いて目的のご飯屋さんへ。KAIDO BOOKSの3人と楽しい食事会。
岡部文さんの天晴新聞番外編にも掲載いただいてます。
台湾へ来るにあたって気になっていたのが、本サイトの小林紀晴さんのコラムで紹介されていた「國家撮影文化中心(National Center of Photography and Images」。小林さんが書かれていた通り、台北駅の目の前という好立地で、広い館内にはたくさんの展示室がありました。
https://photoandculture-tokyo.com/contents.php?i=3888
展示していた企画展は「Gods and All Sentient Beings」。台湾の多様な宗教文化を背景に、台湾の写真家がそれぞれ異なる時代や文脈で、宗教的信念についての考えを表現した企画展です。
ステートメントより一部抜粋。
- 台湾は独自の歴史により、多様で豊かな宗教文化を持っています。台湾の人々は、人生のさまざまな状況や課題を乗り越えるのに役立つ宗教的信念に慰めとサポートを見つけることがよくあります。一方、それが宗教的信念の理解からであろうと、特定の宗教的アイデアを彼らの作品と関連付けるであろうと、台湾の写真家は、現代の台湾の宗教的信念の文脈で人間と神々の間の精神的なつながりを捉えています。(中略)このキュレーターの努力は、台湾の写真とイメージアートの重要な作品からのサンプルを特集しています。展示された作品を通じて、台湾の写真家が宗教的信念についての考えを表現するために、異なる時代や文脈で独特の画像言語をどのように活用したかを描写することが目標です。「神」と「衆生」という用語は、東洋と西洋の多様な宗教的視点を表しています。しかし、これらの概念は台湾文化に統合され、進化し、人生に関する類似した対応する懸念と疑問を反映しています。
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NCPIの1階には、Photo ONEにも出展していた「未来市 THE GALA ASIA」のショップが入っています。雑貨を中心とした品揃えの店内を奥へ進むと、別室に写真集に囲まれた空間が。見逃さないようぜひ立ち寄ってください(私たちは初日に見事に見逃し、後日再訪しました)。「未来市 THE GALA ASIA」は次回書店編にてご紹介します。
- NCPI(National Center of Photography and Images) / 国家摂影文化中心 台北館
住所:100 台北市中正区忠孝西路一段70号
アクセス:TRA・THSR・MRT「台北駅」より徒歩1分(駅前地下通路5番出口直上)
営業時間:10:00〜18:00(定休日:月曜)
https://ncpi.ntmofa.gov.tw/en/Default.aspx
1839 Contemporary Galleryでは、宛 超凡/Wan Chaofan『河流全都知道—荒川』が開催されていました。宛さんはTOTEM POLE PHOTO GALLERYのメンバーで、Photo ONE 2025にも参加。広い展示会場の中、第24回(2022年度)三木淳賞も受賞した「河はすべて知っている──荒川」シリーズの作品に吸い込まれるようでした。
1839 Contemporary Galleryオーナーの邱奕堅さんはTAIWAN PHOTOの総合ディレクターも務められていて、日本の写真にも明るく、これまで展示された日本の写真家のことや日本滞在時のことなど、いろいろなお話をさせていただきました。
宛 超凡/Wan Chaofan「河流全都知道—荒川」
1839 Contemporary Galleryで2010年に開催された「森山大道的世界」展のポスターが(サイン入り!)
- 1839 Contemporary Gallery
住所:B1, No. 120 Yanji Street, Da-an District, Taipei City 106, Taiwan R.O.C.
(main door is in Lane 126, Yanji Street)
電話:+886-2-2778-8458
営業時間:11:00〜19:00(定休日:月曜)- アクセス:國父紀念館駅から徒歩5分
https://english.1839cg.com
台北市美術館で、森山大道さんや石内都さん、西野壮平さん、杉本博司さんらの写真が展示されているとの情報を聞きつけ、これは行かなければと駆けつけました。
会場に着いてスタッフの方にチケット売り場の場所などを聞いていると、何やら話が噛み合わず。
どうぞどうぞと入館を促されよくよく話を聞くと、どうやらその日は「国際博物館の日」で入場無料だったもよう!知らずに行った私たちは喜び勇んで入館しました。
1階ではThomas Demand(トーマス・デマンド)「The Stutter of History」が展示。台北市立美術館では初の個展とのこと。トーマス・デマンドは、歴史的、社会的な出来事にインスピレーションを受け、そのワンシーンを紙で再現し、写真作品に表現しています。Googleレンズを英語・中国語の解説文に当てながら観覧、作品スケールの大きさに圧倒されました。ニュージーランド沖で大波に襲われたクルーズ船の防犯カメラをもとにした映像作品はストップモーションで、完成まで3年をかけて制作されたとのこと。
トーマス・デマンド展
3階では企画展「時代劇場:當代影像的複數演繹」として17名の写真家の作品を展示(日本からは前述の4名の写真家が参加)。森山大道さんの作品は、前述した1839 Contemporary Galleryでの展示滞在時に撮影された『記録』とのこと。西野壮平さんの『Day Drawing』は、西野さんが歩いた軌跡を記録し撮影した作品。『Day Drawing』の展示、はじめて拝見しました。沈昭良さんの展示は、壁一面天井から床、端から端まで写真が敷き詰められ、観るものを圧倒する空間でした。
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森山大道さんの「記録」 |
森山大道さんと西野壮平さんの展示空間 |
沈昭良さんの作品展示。写真に圧倒される空間でした。(提供:沈昭良さん)
地下1階には専門書店や飲食店、子どもたちが遊べる空間など自由なスペースが広がっています。展示空間だけでない美術館の楽しみ方が提示されていて、のんびりそれぞれの時間を過ごしている多くの来場者を見ていると、日本の美術館とは少し違った、より市民に開かれた環境であると感じました。
また「国際博物館の日」だったからか、美術館1階ロビーではダンスなどのライブパフォーマンスが行われていて、来場者を巻き込んで館内全体を盛り上げていました。これも日本ではあまり見かけない光景だなと羨ましい気持ちで、一体となっている会場を2階から眺めました。
- 台北市立美術館
住所:台北市中山区中山北路三段181号
電話:+886-2-2595-7656
営業時間:9:30〜17:30(土曜日は20:30まで、定休日:月曜)
https://www.tfam.museum/
台北では、たくさんの写真を浴びることができました。ギャラリー、美術館も地下鉄やバスを駆使すればスムーズな移動が可能です。ここでもEASY CARDが活躍します。タクシーでも地図アプリを運転手さんに示せばすぐに理解してくれて、目的地までビューンです。車窓から台湾の景色を楽しむのもおすすめです。
次回は書店編をお届けします!
PCT 伊藤
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