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国内最大規模のプロ機材・フォトビジネスの展示会『PHOTONEXT2025』レポート@パシフィコ横浜

2025/06/18
藤井智弘

 


プロ機材やフォトビジネスの展示会、PHOTONEXT2025が、6月10日(火)と11日(水)の二日間、パシフィコ横浜で開催されました。CP+がコンシューマー向けのカメラ&写真イベントに対し、PHOTONEXTは営業写真館をはじめとする業務用途なのが特徴です。とはいえ、一般のカメラ好きにとっても注目の製品等も多数。どんな様子だったかお伝えします。

 

●ソニー

 

αでお馴染みのソニーは、スタジオでのスムーズなワークフローを提案。ハンズオンコーナーで実際に機材を手に取って体験も可能でした。そして今話題になっている、産まれて間もない赤ちゃんを撮影するニューボーンフォトのデモコーナーも設置。αのボディとiPadなどのタブレットをImaging Edge Mobileでワイヤレス接続。撮影するとすぐタブレットに画像が表示され、依頼主にもすぐ確認してもらい、納品もスピーディー。これからニューボーンフォトを撮りたい新人カメラマンに向けた展示でした。

 

ニューボーンフォトコーナーの説明をしていただいた、ソニーマーケティング株式会社の長田太郎さん。

 

 

●富士フイルム

 

営業写真館向け展示会とあって、やはり中判デジタルのGFXシリーズを中心に展示。GFX100RFも並んでいました。レンズ一体型とはいえ、小型で1億画素。デジタルテレコンバーター機能でクロップしても十分な画素数があり、集合写真などの業務用途にも対応できるとのことです。

 


話題のコンパクトデジタルカメラ、X halfも全色展示。1型センサーを縦に配置し、横位置で撮ると縦に写るというハーフサイズカメラの感覚がデジタルで楽しめます。フィルムでは失敗とされる光線漏れや期限切れフィルムの写りも「味」として再現。フィルムカメラモードにすると撮影終了まで画像確認はできず、スマホアプリで「現像」も必要など、フィルムカメラ感覚をとことん追求した仕上がりです。

 

説明をしていただいた、富士フイルムイメージングシステムズの加藤玲子さん。

 

 

●EVOTO


CP+でもブースを構えた、AIレタッチソフトのEVOTOがPHOTONEXTにも登場。簡単な操作で人物を美しく整えます。かつて営業写真館でもネガ上で肌を修正する「ネガ修正」がありましたが、EVOTOならそうした職人技を習得しなくても、AI技術で手軽に可能。人物撮影が行う営業写真館系には大きな注目のソフトと言えるでしょう。デモイベントにも多くの人が集まっていました。

 

 

●オリエンタル


100年を超える歴史を誇る日本の感材メーカー、オリエンタル写真工業。業務用途のカラーペーパー以外にも、モノクロフィルムのニューシーガル100と400、モノクロ印画紙のイーグルVCRPシリーズやバライタ印画紙のニューシーガルVCFBシリーズを展示していました。銀塩モノクロもとても元気なのがうかがえます。プロ写真家によるオリジナルプリントも展示され、銀塩モノクロ写真の美しさをアピールしていました。モノクロ印画紙用の現像液、スーパーオリトーンや、定着液のスーパー織フィックスをラインナップしているのも、モノクロ自家処理派には嬉しいところです。

 

イーグルVCRP-Rを手にする、オリエンタル写真工業の代表取締役社長 有馬 登さん。

 

 

●KPI


モノブロックストロボに匹敵する100Wsのパワーを誇るクリップオンストロボ、GODOX V100。それでいて、従来のV1(76Ws)に近い小型サイズを実現しています。背面はタッチパネル操作を採用し、スムーズな設定が可能。またキヤノン、ニコン、ソニー、富士フイルム、マイクロフォーサーズの各TTLに対応。ソニー用はα9Ⅲのグローバルシャッターにも対応しています。

 


KPIでこれから扱う予定の小型ストロボ、i MシリーズとiA32。iM22とiM20はガイドナンバー(GN)が約9。iM30とiA32ははGN約15。iMシリーズはマニュアル発光専用。iA32はオートモードとマニュアルモードを持ち、オートモードはISO感度と絞り値を設定すると、推奨距離が表示されます。どれもストロボを内蔵しないコンパクトカメラや小型ミラーレスにピッタリ。

 

 

●ケンコー・トキナー


ケンコー・トキナーブースではZHIYUN製品を展示。ZHIYUNと言えばジンバルが有名ですが、今回の目玉は100Wながら手のひらサイズのフルカラーLEDライト、「MOLUS X100 RGB COB LIGHT」。薄くて小さく、バッテリーを接続すれば屋外でも使用できます。ボーエンズマウントのアダプターを使用すれば、豊富なストロボアクセサリーも装着できます。しかもフルカラーなので、様々な色が作れ、クリエイティブな表現が可能です。「X100RGB PROエディション」は、本体体とバッテリー、ボーエンズマウントアダプター、ACアダプター、バーンドアやソフトボックスなど10点セットで67,800円。

 


小物撮影やポートレートに使いやすい、一眼レフ用の中望遠マクロレンズ「atx-i 100mm F2.8 FF MACRO PLUS」。受注販売のホワイトエディションも展示していました。鏡筒が白くなるとグンとお洒落な印象に。見た目にもこだわりたい人に最適です。マウントはキヤノンEFとニコンF。

 

 

●ジェットグラフ


イルフォードやハーネミューレ製品などを扱うジェットグラフ。イルフォードからは、手漉き和紙シリーズの新製品「柳瀬」が登場。手漉き和紙ならではの風合いを持ちながら、従来の和紙では苦手だった深い黒や優れた発色を実現しています。ファインアート紙というとモノクロをイメージしがちですが、モノクロ作品にもカラー作品にも合うインクジェット用紙です。

 


イギリス製のモノクロフィルム、KENTMERE PAN。これまでISO100とISO400がラインナップしていましたが、今回その中間となるISO200の「KENTMERE PAN 200」が加わりました。扱いやすい感度と求めやすい価格を実現し、モノクロフィルム初心者に最適。35mmフィルムの他、120も用意しているので、中判カメラファンにも見逃せません。

 

イルフォード手漉き和紙「柳瀬」のサンプルプリントを手にする、ジェットグラフの高柳彰郎さん。

 

 

●かわうそ商会


様々なフィルムを扱うことで知られるかわうそ商会。PHOTONEXT会場ではフィルム等の販売を行っていました。お馴染みの35mm判や120だけでなく、4×5判のシートフィルムも販売。さらにベスト判のカラーフィルムとモノクロフィルムも売れていました。なんと、かわうそ商会のオリジナルフィルムだとか。これでベビーローライをはじめとする4×4判のカメラも活躍できます。

 


小型のフィルム現像機「AGO FILM PROCESSOR」。現像中の微妙な温度変化を感知し、現像時間を自動調整してくれるスグレモノ。モノクロフィルムをはじめ、カラーネガフィルム、リバーサルフィルムにも対応します。フィルムの自家現像を行いたい人は必見です。価格は82,800円。

 


ARISUTAのフィルムカッターガイド。SとLがあり、Sは100フィートの長巻きフィルムを自分で詰め替えた際、リーダー部を綺麗に整えるのに使用します。Lはバルナック型ライカ用。金属製でしっかりした造りです。アメリカから輸入しているとか。価格はSが4,400円、Lが5,500円。写真はL。

 

 

●よしみカメラ


忍者レフをはじめ、様々な写真用品を扱うよしみカメラ。オリジナルの「テザーPDケーブル」は、USB4 Gen3やUSB3.2 Gen2など高速転送に対応。しかも柔らかくて10万回の折れ曲がりテストにも合格している高性能のテザー撮影用ケーブルです。蛍光塗料配合で暗い場所で光るので、スタジオなど現場でケーブルに気付かず足に引っかけてしまうトラブル防止になります。0.4mから15mまでラインナップ。

 

 

小型のLEDディスプレイ「ピッカリーナ」。125文字までのメッセージをスクロールします。ケースと革のストラップもお洒落。アイデア次第で様々なシーンで活躍できそう。LEDカラーは、赤、緑、青が選べますが切り替え式ではなく、購入時に指定します。

 

よしみカメラの一木尚敏さん(中央)と、よしみカメラのスタッフとして来ていたスカーフタイプのカメラストラップで有名な「サクラスリング」代表の杉山さくらさん(左)と池上美之さん(右)。

 


サクラスリングでは、カメラストラップの他に写真家の作品がプリントされたTシャツの販売を計画中とのこと。サクラスリング製品の印刷にも使われている印刷なので、丈夫で綺麗な仕上がり。よしみカメラブースにはTシャツサンプルもありました。

 

 

●アウトレットコーナー


アウトレットコーナーは入るのに長蛇の列になるほどの大人気。三脚やバッグ、レンズなどの撮影アイテムがお手頃価格で購入できます。さらに営業写真館向けの衣装が大量に並んでいるのもPHOTONEXTらしいところ。子供用のドレスを大量に購入している人の姿も見られました。

 

 

●セミナー


一般の写真愛好家向けではなく営業写真館が中心のイベント、しかも平日開催とあって、どれくらいの来場者なのか気になるところでした。ところが会場に入ってみると、驚くほどの人の多さ。どこのブースもにぎわっていて、セミナーも人でいっぱい。それだけ写真熱が高まっているのを感じました。またフィルムや印画紙など、銀塩関係が豊富だったのも印象的。若い人を中心にフィルム写真が人気ですが、PHOTONEXT会場でもAIやクラウドなど最新テクノロジーと共に、アナログの注目度も高いことを実感しました。

 


業務向けとあって、CP+とは異なる雰囲気でした。
入場者数は(カッコは前回人数)は、6/10(火) 5,560名(5,381名)、6/11(水)3,810名(3,752名)、計9,370名(9,133名)だった。

 

  • PHOTONEXT2025
  • ◉開催概要
    日時:2025年6月10日(火)10:00〜18:00、11日(水)10:00〜17:00
    会場:パシフィコ横浜 Bホール
    住所:〒220-0012 神奈川県横浜市西区みなとみらい1-1-1 
  • TEL:045-221-2155(総合案内) 
  • 主催:株式会社プロメディア
    主催団体:日本フォトイメージング協会 一般社団法人日本写真映像用品工業会
    特別協賛:日本営業写真機材協会
    後援:東京都 横浜市
  • https://www.photonext.jp

 

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