top スペシャルレポート世界最大規模のIT家電見本市「CES 2023」リポート@米国ラスベガス【前編】

世界最大規模のIT家電見本市「CES 2023」リポート@米国ラスベガス【前編】

2023/01/22
会田 肇

世界最大規模のIT家電の見本市「CES2023」が、1月5日~8日の日程で、米国ラスベガスで開催されました。
 

1967年に第1回を開催して以来、北米での最新家電を一手に引き受けて来たこの見本市ですが、90年代頃からPC系が出展するようになって広がり見せていましたが、2012年には北米のカメラ見本市「PMA」と併催するようになりました。そして、この時期に合わせて自動車の電動化が急速に進むようになり、自動車メーカーの出店も相次いでショーは巨大化。北米自動車ショーの日程を変更させるまでの存在となりました。
 
特に圧倒されるのがその規模です。新たにオープンしたウエストホールは驚くほど巨大で、ラスベガスコンベンションセンター(LVCC)の端から端まで歩けば確実に15分はかかります。加えて、CESは周辺のホテルにあるコンベンションセンターを巻き込んで開催されており、2024年には現在工事中となっていたサウスホールが完成する見込みで、その規模がさらに巨大化することは間違いないでしょう。
 
 
新たにオープンしたウエストホール。
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自動車の電動化の急激な促進により、自動車メーカーの出展が急増

 

さて、そんなCES2023ですが、日本メディアにとって最大の関心事は、昨年、ソニーとホンダが半分ずつ出資し合って設立した合弁会社「ソニー・ホンダモビリティ(SHM)」の動向です。すでに2025年前半にも新型EVのオンラインによる先行受注を開始すると発表されていましたが、その第一弾がCES2023のソニーブースで発表されることが予告されていたからです。それを狙って、多くの日本メディアがこのラスベガスを訪れることになったのです。
 
発表当日、立ち見席が出るほどの超満員の会場で発表されたのは新ブランド「AFEELA(アフィーラ)」と、そのプロトタイプ第一号モデルでした。どことなくホンダが北米で展開している「ACURA(アキュラ)」に語感が似ているような気もしますが、SHM関係者によればそんな意識はなく、「得られる体験の核心を、『感じる(feel)』という言葉に込めた」とのことでした。

 

 
ソニー・ホンダモビリティが発表した新ブランド「AFEELA」と、その第一弾となるプロトタイプ。


一方、プロトタイプのデザインは想像以上にシンプルで、これには賛否両論あったようです。しかし、これは内燃機関車からEVになる際の変化を具現化したデザインとも言えなくもありません。かつてガラケーはデザインが複雑な形状をしていましたが、スマホになってそのデザインは一気にシンプル化し、収斂していった経緯がありました。試作車もまた、その時代の変化を反映したデザインとなったという可能性が高いものとも考えられるのです。

 

プロトタイプ第一弾は、時代の変化にマッチするよう可能な限り凹凸をなくしたシンプルなデザインとした。


また、プロトタイプにはソニーが得意とする多彩なエンタテイメント性が盛り込まれました。まずフロントグリルには「メディアバー」と呼ばれるディスプレイが装備され、車外から近づく乗員や周辺の人たちに様々なメッセージを伝えます。たとえば、登録済みの乗員には名前での呼びかけや天気予報などが伝えられ、充電中ならそれが何%かなども表示することもあるでしょう。自動運転が実現した際は、周囲への不安を和らげるためにそれが作動中であることを伝える役割も果たす可能性もあります。
 


プロトタイプ第一弾に備えられた「メディアバー」。ここでクルマとのコミュニケーションを取り合う。


そして車内に入るとそこはソニーの真骨頂、多彩なエンタテイメントの世界が広がります。ダッシュボードのほぼ全面に広がるディスプレイには、ソニーが提供する映画や音楽、さらにはゲームなどが表示され、左右の入れ替えもフリック操作一つで可能です。サウンドもソニーの立体音響システム「360 Reality Audio」によって、上下方向にも広がる臨場感たっぷりのサウンドが楽しめます。こうした付加価値をクルマに取り入れることでSHMならではのEVの世界観を作り出そうとしているのです。
 

ダッシュボード全面に展開されるディスプレイを中心に移動する空間の新たな世界観を創出する。

 

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それ以外の自動車メーカーの出展も目白押しです。特に力が入っていたのがドイツ勢です。
 
中でも注目を浴びたのはBMWでした。BMWは基調講演で、ボディカラーを32色に変えられる『i Vision Dee』を発表。ボディ表面のラップは240セグメントに分割されており、スマートフォン一つで車体の色を変幻自在に変更可能です。講演中はハリウッドスターのアーノルド・シュワルツネッガーが登場して、アナログ世代からデジタルネイティブ世代への橋渡し役を務めるなど、その演出にも注目が集まりました。
 


BMWが発表した『i Vision Dee』はボディカラーを32色と240セグメントのラップで無限にカラーを変えられる。

 


BMWの基調講演にはアーノルド・シュワルツネッガーが登場。アナログ世代とデジタルネイティブ世代の橋渡しを務めた。


メルセデスベンツは、次世代EVコンセプト『ヴィジョンEQXX』を出展。空気抵抗係数は驚きの0.17!マグネシウムなどを使用して徹底的に軽量化したシャシーはコンセプトカーならではの技術の集大成と言えます。また、Dolby Atmosの没入感でカーエンタテイメントが楽しめる新型EV『EQS』の展示も人気を呼んでいました。
 


メルセデスベンツの次世代EVコンセプト『ヴィジョンEQXX』は空気抵抗係数0.17を実現したスーパーマシンだ。

 


メルセデスベンツはDolby Atmosの没入感に浸れる新型EV『EQS』の展示も人気を呼んでいた。


フォルクスワーゲンは次世代EVプラットフォーム「MEB」を採用した、いわゆるパサートクラスの『ID.7』をカモフラージュ仕様で公開しました。車両には特殊な塗装により、最上層の塗装の下に電気を通すことで発光する仕組みとなっており、閉じられた空間で音と光を連動させた効果を演出していました。
 


フォルクスワーゲンは、新型EVセダン「ID.7」のカモフラージュ仕様を出展した。


一方、CES2023で存在感を発揮していた自動車メーカーがステランティスでした。メーカー名に馴染みがない方もいらっしゃると思うので、簡単に説明しますね。同社は2021年1月に、フランスの自動車メーカーグループPSAとイタリアとアメリカの自動車メーカーフィアット・クライスラー・オートモービルズが合併して誕生。抱えるブランド数はなんと14!まさに世界を股にかける多国籍自動車メーカーなのです。
 


ステランティスが発表したEVコンセプトカー『プジョー・インセプション・コンセプト』。


そのステランティスのブースで際立っていたのが、コンセプトカー『プジョー・インセプション・コンセプト』です。全長5.0mでありながら全高は1.34mに抑えられ、キャビンのほとんどはガラス張り。モーターはフロントとリアに1基ずつ、合計2基備え、合計出力は680hp (500kW) 、静止状態から100km/hまでの加速はなんと3秒未満!まさに外観の迫力に違わないハイパフォーマンスカーと言えるでしょう。
 


『プジョー・インセプション・コンセプト』はルーフがほぼ全面ガラス仕様、圧倒的広さの室内空間も実現。

 


「AFEELA」のプロトタイプに乗り込み、エンタテイメント系機能を体験する筆者。

 

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