top スペシャルレポート「Inter BEE 2022」レポート ─スチル派のためのお役立ちカメラ&用品アクセサリーを大捜索─(前編)

「Inter BEE 2022」レポート ─スチル派のためのお役立ちカメラ&用品アクセサリーを大捜索─(前編)

2022/12/03
曽根原 昇

日本随一の音と映像と通信のプロフェッショナル展「Inter BEE(インタービー) 2022」が、11月16日から18日まで、幕張メッセで開催されました(オンライン開催は11月1日〜12月23日)。映像にかかわる多くの出展社が最先端技術を披露する展示会でありますが、カメラもデジタルが主流となって、多彩な映像技術が搭載されている今だからこそ、Inter BEEが発信する情報はわれわれ写真愛好家にとっても見逃せないものがあると思います。今回のリポートでは、主にデジタルカメラ・レンズを中心として、それにかかわる新しい発見や知見を紹介していきたいと思います。
 
■シグマ
 
シグマのブースでは、シネレンズの「FF High Speed Prime Line」シリーズの新製品として「65mm T1.5 FF」(2023年1月発売予定)が展示されていました。
 
 
「FF High Speed Prime Line」は高画質かつコンパクトであることが特徴の単焦点シネレンズ。14mmから135mmまでの10本を、T1.5またはT2(スチル用レンズでいうところの大口径)でラインアップしていたところ、新たに65mmが11本目として加わるカタチになります。
 
 
 

ブース内には、塗装前の状態のレンズを並べ、モノ造りにかける品質の高さをアピールしたり、実際にカメラや周辺機器と組み合わせた例を展示したりするなど、映像製品にも積極的に取り組んでいるシグマの意気込みを感じることができました。


 
 
そんななか、スチル用レンズとして出品されていたのが、富士フイルムXマウントを採用した「18-50mm F2.8 DC DN | Contemporary」でした。APS-Cサイズミラーレス専用ズームレンズですので、フルサイズ用レンズを流用したレンズとは違い、大口径標準ズームとしてはとてもコンパクトです。
 
 

シグマ広報の安達氏にXマウント採用レンズの売れ行きを訊ねてみたところ、「非常によく売れていて多くの注文を受けている状態」とのことでした。スチルカメラ好きとしては嬉しい話ですね。
 
 
■ライツ
 
ライツ(Leitz)のブースには、ライツブランドのシネレンズがズラリと並べられていました。
 
 
こちらは三友株式会社が輸入代理店となって、日本で販売されています。写真愛好家に馴染みのあるライカカメラジャパンが取り扱う、ライカ(Leica)ブランドのカメラ・レンズとは別です。
 


 
なかでも興味深かったのが、ライカMレンズと同じ光学系で設計されたという「HUGOシリーズ」。軽く小さなライカMレンズのキャラクターをもちながら、絞りリングやフォーカスリングはシネマ仕様で、最短撮影距離は短く接写もできます。LPLマウント(シネマ用マウントの規格)を採用していますが、ライカMマウントやLマウントに交換可能なところも面白い。


 
 
筆者もそうですが、スチルの世界からすると、ライツブランドのシネレンズがあることも知らなかった、という人もいるのではないでしょうか? でも、映像世界では有名で、すでに多くの人気と信頼を集めているそうです。
 
 
■Blackmagic Design
 
Blackmagic Designのブースでは、年内の登場が予定されている「DaVinci Resolve for iPad」がデモ展示されていました。
 
 
DaVinci Resolveはプロ用の動画編集ソフトですが、一部機能を制限した無償版が提供されていることもあって、スチル撮影がメインのデジタルカメラユーザーにも使用者が多くいます。「DaVinci Resolve for iPad」は、デスクトップ版の「DaVinci Resolve」をiPad Proに最適化したアプリというわけです。
 
デスクトップ版に比べると、編集操作に制限がありますが、モバイル環境で本格的な動画の編集ができるということで、会場でも多くの注目を集めていました。外付けキーボードやApple Pencilに対応し、画面タッチで操作できるため、直感的な編集作業ができます。
 
App Storeから無償でダウンロードでき、「DaVinci Resolve Studio for iPad」へアプリ内購入でアップグレード可能となる予定とのことです。
 
 
■ケンコー・トキナー/KPI(ケンコープロフェショナルイメージング)
 
さまざまな写真用品、光学製品を取り扱っているケンコー・トキナーですが、映像用品にも大きく力を入れており、多くの魅力的な製品が展示されていました。
 
 
近日発売予定のMOZA 「AirCross S」が展示されていました。小柄なジンバルながら、見た目以上にパワフルで多機能なことが特徴とのこと。


 
 
従来モデルより耐荷重が増えて1.8kgまで。デモでは標準ズームを付けた中型ミラーレスカメラと組み合わせていました。同梱のホルダーによるスマートフォン撮影や、搭載されたL字ブラケットでの縦位置撮影も可能となっています。
 


 
異なるブランドのバッテリーを複数同時に高速充電できる「bronine(ブロナイン)」のマルチブランドカメラチャージャー。キヤノン、ニコン、ソニー、富士フイルム、オリンパス、パナソニック、GoPro、DJIのバッテリーに対応するアダプターと、4または2ポートチャージャーを組み合わせて使うシステムです。最近はチャージャーが付属しないデジタルカメラが増えているだけにこれは便利です。
 


 
フラッシュバルブ風のヴィンテージデザインが特徴の、GODOX「Lux Senior」が実演されていました。外観は古風でも機能は最新のフラッシュで、リチウムイオンバッテリーを内蔵し、USB Type-Cケーブルで充電する仕様になっています。
 

 


記念撮影などの時に、このフラッシュを展開したら大ウケしそうですね。


 
 
GODOX(ゴドックス)の照明関連製品はKPI(ケンコープロフェッショナルイメージング)の取り扱いになりますが、そのKPIのブースには、比較的コンシューマー向けの製品からスタジオ向けの本格的なものまで、沢山のLEDライト類が展示されていました。


 
 
こちらは最大出力1200Wを誇るGODOX「MG1200Bi」。会場の天井も照らすほどのハイパワーな明るさにビックリしました。スタジオなどで使われているHMI光源は、比較的安価で取り扱いのしやすいLEDライトに変わってきているそうです。
 
 
■サイトロンジャパン(LAOWA)
 
サイトロンジャパンのブースでは、LAOWA(ラオワ)ブランドの独創的なマクロレンズやシネレンズを展示していました。
 
 
「NANOMORPHシリーズ」は、軽量でコンパクトなアナモフィックレンズ。アナモフィックレンズは、撮影時に画面の横方向を圧縮して結像し、ポストプロセスで圧縮した横方向を元に戻すことで、シネマスクリーンと同じ2.39:1の横縦比を得ることができるシネレンズです。
 
レンズのカラーリングには3種類が用意されており、アンバーリングのレンズは暖色系の温かい雰囲気で、ブルーリングは寒色系のクールなイメージで、シルバーリングはより光を強調して写すことができます。


 
 
レンズ内を見ると、NANOMORPHレンズが通常の横縦比ではないアナモフィックレンズであることが分かります。通常の動画撮影で撮影した16:9の映像を上下カットして23.9:1にするよりも、より多くの情報を残したままシネスクリーンイメージを生成することができます。


 
 
各社ミラーレスマウント版とキヤノンEF/Arri PLマウント版が用意されています。キヤノンEF/Arri PLマウントはユーザーが自分で交換可能で、ミラーレス版も別売りのバヨネットで交換可能と、とても親切な設計です。
 
 
■ウエスタンデジタル(サンディスク)
 
サンディスクのブースでは、昨年立ち上げた新ブランド「サンディスクプロフェッショナル」ブランドの製品を大きくアピールしているのが印象的でした。
 
 
右上の一般的なCFexpress(Type B)に対して、右下がサンディスクプロフェッショナルの「PRO-CINEMA CFexpress VPG400 Type B」。大きな違いはVPG400(400MB/秒の最低継続書き込み速度を保障する規格)への対応で、より動画撮影向けの製品となっています。


 
 
対応する「SanDisk Professional PRO-READER」を4つのリーダーベイに差し込むことで、複数のメモリーカードを同時にオフロードできるというドッキングステーション。放熱性や堅牢性も十分に配慮され、非常に高速なスピードでデータ転送が可能です。映像世界ではこのくらい高性能かつ高品位なカードリーダーが求められている、ということですね。
 


 
こちらは持ち運びに便利なポータブルSSD「PRO-BLEAD TRANSPORT」。モジュール型になっているのが特徴で、NVMe SSD部(Professional PRO-BLEAD DDS Mag)を抜き差しすることができます。複数のProfessional PRO-BLEAD DDS Magを交換することでテラバイト単位の大容量をかさばらずに持ち運べます。

 

後編に続く
 

 

  • ■「Inter BEE 2022」概要
    会期:幕張メッセ 2022年11月16日(水)~18日(金)
       オンライン  2022年11月1日(火)〜12月23日(金)
    会場:幕張メッセ(千葉市美浜区中瀬2-1)
    入場料:無料(全来場者登録入場制)
    URL:https://www.inter-bee.com/ja/  [主催]一般社団法人 電子情報技術産業協会

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