top スペシャルレポート「Inter BEE 2022」レポート ─スチル派のためのお役立ちカメラ&用品アクセサリーを大捜索─(後編)

「Inter BEE 2022」レポート ─スチル派のためのお役立ちカメラ&用品アクセサリーを大捜索─(後編)

2022/12/03
曽根原 昇

前編に引き続き、「Inter BEE(インタービー) 2022」の模様を、主にデジタルカメラ・レンズ・アクセサリーを中心として、それにかかわる新しい発見や知見を紹介していく。

 

■ソニー
 
ソニーブースでは新製品のミラーレスカメラ「α7R V」がハンズオンできました。
 
 
「α7R V」は約6100万画素のフルサイズミラーレスカメラ。Inter BEE 2022が初めての展示となったそうです。縦位置でも横位置でも光軸上にモニターを配置しながら、自撮りにも対応した4軸マルチアングル液晶モニター、人物の骨格や姿勢などの詳細な情報に基づいた高精度な被写体認識AFの搭載などは、動画撮影でもスチル撮影でも嬉しい仕様です。
 
8K動画に対応しているため、4K動画の品質も向上しているほか、フラッグシップモデルの「α1」と同等の放熱対策が施されているため、動画の撮影が熱によって止まってしまうことが起こりにくくなっているとのことです。
 
 
■Nextorage(ネクストレージ) 
 
Nextorageは年内発売予定のCFexpress TypeB メモリーカード2種類を展示していました。

(近隣のホテルの会議室で展示)
 
 
Nextorageは20年以上にわたるストレージの開発で培った技術力を活かし、性能・品質にこだわったモノづくりを実践する国内メーカーです。


 
 
B1 Pro(NX-B1PRO)シリーズは、世界最速の読み出し最大1950MB/秒、書き込み最大1900MB/秒、最低継続書き込み速度1800MB/秒を誇るCFexpress TypeB メモリーカード。シリーズ最大容量は1330GBで、低消費電力技術「ダイナミック・オート・パワーセーブ」を搭載し、VGP400に準拠するなど、プロフェッショナルの動画撮影に要求される性能を備えています。


 
 
B1 SE(NX-B1SE)シリーズは、128GBと256GBの容量が用意され、読み出し最大1950MB/秒(128GBは最大1400MB/秒)、書き込み最大1100MB/秒(128GBは最大550MB/秒)のCFexpress TypeB メモリーカード。高画質な静止画撮影向けの製品として十分以上の性能があります。


 
 
B1 Proシリーズ、B1 SEシリーズとも互換性の検証は進められており、現在、キヤノン EOS R3、EOS R5、EOS R5 C、Nikon Z 9での記録動作を確認済み。今後動作確認済みの機器情報はNextorage WEBサイトで随時更新を予定しているとのことです。


 
 
ストレージ関連のイメージが強いNextorageですが、プロジェクターの紹介もしていました。83mm×95mmの超小型サイズで専用フレキシブルアームが同梱。ベッドルームでの使用を想定したプロジェクターです。確かに、寝ころびながら天井に投影された映像を眺めながら眠りにつくというのは心地よさそうですね。
 
 
■キヤノン
 
キヤノンのブースでは、12月中旬に発売予定の「EOS R6 MarkⅡ」が先行展示されていました。大規模な会場での展示は初とのことです。
 
 
「EOS R6 MarkⅡ」は、約2420万画素のフルサイズミラーレスカメラ。ディープラーニング技術の活用によって、人物・動物・乗り物の検出精度が向上するとともに、被写体の対象範囲が広がっています。動画性能も本格的で、6Kオーバーサンプリングによる高画質な4K動画を記録、最大6時間までの連続撮影を可能としています。


 
 
5.2mmの魚眼レンズを2個搭載したVRレンズ「RF5.2mm F2.8 L DUAL FISHEYE」を装着した、「EOS R5」4台による360度のVR体験デモが話題を呼んでいました。360度動画もスゴイのですが、機材の迫力にも圧倒されます。


 
 
Inter BEEということもあって、フォト&ビデオハイブリッドの8Kデジタルシネマカメラ「EOS R5 C」は目立つ存在でした。リグに装着したフル装備の威容は、スチルカメラがベースであることを忘れ去らせます。


 
 
このように構えて撮影するそうです。8KRAWを最大60pで記録できる本格的シネマカメラですが、約4500万画素のスチルカメラでもあることを考えると、実はお得なのかもしれません。
 
 
■富士フイルム
 
富士フイルムのブースでは、Xシリーズの新製品「X-H2」および「X-H2S」と、ファイルトランスミッター「FT-XH」の組み合わせによる、有線/無線通信の可能性をアピールしていました。
 
 
「X-H2」と「X-H2S」は今秋発売されたばかりのフラッグシップモデル。「X-H2」が高画素モデルで「X-H2S」がスピードモデルになります。「FT-XH」は両機専用のファイルトランスミッターで、スポーツや報道等で必須とされる有線LAN接続機能と高速無線通信機能が搭載されています。


 
 
「FT-XH」の有線/無線LAN機能で、ブラウザ上から最大4台までを同時にコントロールして録画開始/終了のトリガーをだすことができるそうです。また、ネットワークを通して、カメラからFrame.ioのプラットフォームへ動画や静止画を直接転送できる「Adobe Camera to Cloud」に2023年春の予定で対応するとのことです。


 
 
一般的な写真愛好家(筆者も含みます)にはちょっと難しい話かもしれませんが、「X-H2」と「X-H2S」は、ただ写真を撮るための優れたカメラではなく、本格的な映像制作の現場でも通用する凄いカメラなのだということは分かります。「X-H2」か「X-H2S」か「X-T5」かで迷っている人は知っておいた方がいいかもしれませんね。
 
 
■銀一
 
豊富なプロ用品を扱う銀一のブースには、高価な本格的映像用品から、時代のニーズに合わせた新製品まで、盛りだくさんの展示が見ものでした。
 
 
アクセントライトやデコレーションライトとして使えるKYU-6(キューロク)は、LED発光のライトブレスレット。15色の色表現が可能なRGBタイプと色温度可変タイプがあり、それぞれ5つの発光パターンで連続発光させることができます。


 
 
パッチンブレスレットのように腕や足に巻き付けることができるので、セーフティライトやアウトドアグッズとしても活用できそうです。ライトブラスターやスペキュラーで知られるSpiffy社の製品。


 
 
Chrosziel(クロジール)のレンズテストプロジェクター「P-TP7 Ⅱ」。シネレンズやミラーレスカメラ用レンズの光学性能を測定するものです。実演してもらいましたが、高価なレンズでもわずかな性能低下が確認できたりして、何だか人間ドックで味わう不安感に似たものを覚えました。高度な撮影結果が要求されるシーンで活躍する機器だと思いますが、自分のレンズの性能を気軽にチェックできたら… やっぱり怖いですね。
 
 

 

マイクメーカーのRODEが新しく立ち上げた、ゲーミング向けサブブランド「RODE X」より、ストリーミングやゲーミングに最適なUSBダイナミックマイク「XDM-100」(上)と「XCM-50」(下)が発売されました。音量コントロールとミュート機能をマイク本体で操作でき、PCからのゲーム音声やチャットを高音質で聞くことも可能など、徹底的にゲーミングに最適化されているとのことです。ゲーミング世界からの需要は高く、登場するや相当な人気になっているとか。
 
 
■EIZO
 
EIZOブースでは、今年発売された新製品「ColorEdge CG2700X」が展示されていました。
 
 
キャリブレーションセンサーを内蔵した最高峰CGシリーズの製品で、27型の4Kモニター。USB Type-Cケーブル1本で画面表示とPCへの給電ができ、Adobe RGBの色域を99%カバーするなど、およそ現代のフォトグラファーがモニターに求める性能を網羅した素晴らしい製品です。筆者はこのモニターが欲しくて仕方ありません。HDR表示に対応し、DCI-P3カバー率98%なので、写真だけでなく映像やグラフィックでも高度に使えます。
 
 
■イメージビジョン
 
datacolorのSpyderシリーズなどを取り扱うイメージビジョンのブースでは、映像向け製品だけどスチル撮影にも使いたくなる興味深い製品が展示されていました。
 
 
「FALCAM」のカメラケージシステムは、ネジなどを必要としないクイックリリースで、カメラケージにさまざまなオプション製品を取り付けられるのが特徴。


 
 
カメラをグリップするためのヘッドグリップやサイドハンドルグリップはもちろん、吸盤でカメラを固定するサンクションや、多彩な用途に使えるマジックアームなど、豊富なオプションを組み合わせることができます。実際に確かめさせてもらいましたが、強度は十分でガッシリとした印象でした。


 
 
ブースの上を見上げると「Wiral LITE」(ワイラルライト)がロープを渡っていました。ワイラルライトは最長50mのワイヤーにスマホやカメラを吊り下げ、ダイナミックな映像を撮影するためのケーブルカム。耐荷重は1.5kgで、アクションカムだけでなく、さまざまなカメラを取り付け可能です。付属のリモコンやスマートフォンアプリで簡単に操作できるとのことで、写真撮影でも使ってみたくなります。
 
 
■ニコン
 
ニコンのブースではZシリーズのフラッグシップモデル「Z 9」を前面に、その活用性と可能性をアピールしていました。
 
 
ニコン「Z 9」は連写性能、AF性能ともモンスター級の、4571万画素フルサイズミラーレスカメラですが、先進的な8K動画記録に積極的に取り組んでいるなど、動画撮影においてもモンスターなミラーレスカメラなのです。SDカードスロットを廃して、CFexpress TypeBのダブルスロットとした仕様には驚きました。


 
 
そんなニコンブースでは、12月2日に発売した「リモートグリップMC-N10」のデモ展示がされていました。カメラとのUSB接続によって、ビデオ三脚のパン棒グリップ位置でカメラ操作ができるというものです。似たようなリモートグリップは昔から業務用・放送用ビデオカメラにもありましたが、カメラグリップ形状でカメラと同じ感覚で操作できる製品は初だと思います。


 
 
ニコン「Z 9」と「リモートグリップMC-N10」を組み合わせたデモ展示です。「Z 9」の8K動画撮影機能を利用し、単焦点レンズでズームレンズのような滑らかなズームアップを実現した4K動画撮影が、グリップの操作でできます。
 


 
視聴環境的に、なかなか見ることのできない、8Kモニターでの動画サンプルもありました。8Kというと約3200万画素になります。写真ではそれほど珍しくもありませんが、これほどの高画素が美しく動いている現実を見ると、写真愛好家だからとて映像の世界を見て見ぬ振りはできないものだと実感しました。


 

  • ■「Inter BEE 2022」概要
    会期:幕張メッセ 2022年11月16日(水)~18日(金)
       オンライン  2022年11月1日(火)〜12月23日(金)
    会場:幕張メッセ(千葉市美浜区中瀬2-1)
    入場料:無料(全来場者登録入場制)
    URL:https://www.inter-bee.com/ja/ [主催]一般社団法人 電子情報技術産業協会

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