top スペシャルレポート熊切圭介 × 熊切大輔 写真展「まぼろしのまち」
@K2+ギャラリー(京橋)に行ってきた

熊切圭介 × 熊切大輔 写真展「まぼろしのまち」
@K2+ギャラリー(京橋)に行ってきた

2022/08/24
市井 康延

東京駅八重洲に突如オープンしたK2+ Galleryに興味津々の方も少なくないはず。銀座も目と鼻の先の好立地でありながら、9月開催分は1週間3万円でギャラリーが借りられる。写真展を開こうと考えている人には願ってもない情報だ。


このギャラリーをプロデュースするのが、現在、ここで熊切圭介×熊切大輔 写真展「まぼろしのまち」を開催中の熊切大輔さんだ。


「この建物は八重洲の再開発で来年5月に取り壊しが決まっています。それまでの間、このスペースをギャラリーとして活用できないかとビルのオーナーから相談を持ち掛けられました」と大輔さんは話す。

 

 

元はオフィスであり、室内の照明は蛍光灯だ。敢えて何もギャラリー向けに改装することはせず、その代わり手ごろな価格で利用できるようにしようと考えた。


「僕もそうでしたが、コロナ禍中に写真展を企画した人は中止や期間短縮、来場者の数も伸びずフラストレーションを抱えています。まずは、そうした方に再展示のチャンスにしてもらえたらと思っています」


9月開催分の週3万円はキャンペーン価格で、通常は1日1万円を設定。1週間7万円だから、このエリアでなくとも破格の料金だ。


「学生にも使ってもらいたいので、彼らには週3万円で提供します」


もちろんこうしたレンタルだけでなく、ギャラリー独自の企画展やイベントも行なっていくという。

 

 

現在開催中の写真展「まぼろしのまち」(会期は8月31日まで)は父である圭介さんの写真をカラー、大輔さんはモノクロで展示した。コロナ禍にあった2020年、新宿区の施設で行なった初の親子展のリバイバルだ。


親子で東京をテーマにした2人展という依頼で、互いに近作から選んだら当たり前すぎると考えた。


「これまで父の写真に寄せられる感想には『古さを感じさせない』という声が多いんです。そこで父の写真は少し時代を遡ったところから選びカラーに、僕のは近年の浅草を撮ったモノクロのシリーズからチョイスしました」

 

 

例えば数十年前、首都高が建設中のカラー写真と、レトロ感が漂うモノクロの浅草を目にすると、自分の中にある時代感覚が歪んでいく。

 

 

「時間軸がねじれる感覚と、カラーとモノクロのコントラストなどが楽しめる空間を狙いました」

大輔さんは東京をテーマに据え、浅草、銀座、渋谷などの街を巡るように撮影している。浅草では古き良き東京を感じさせる風景に遭遇することが多く、それは以前からモノクロで収めてきた。

 

 

この1枚は最初、和服姿の2人の雰囲気に魅せられた。しばらく追いかけ、交差点を渡り始めた時、予想だにしなかったもう一人の登場人物が現れた。

 

父圭介さんから写真について直接教わったことはないが、ずっと写真を見てきて、「彼の目線は自然に入ってきているのかな」と話す。

 

「スナップシリーズの『刹那 東京で』では人の顔を写さないで撮ることが多い。その方が想像力が膨らんで面白いと思うから。今回、改めて父の写真を見ると、後ろ姿が多いことに改めて気づき、自分の中で答え合わせができたような気がしました(笑)」

 

場所は八重洲ブックセンターを越した一本目の小道を入ってすぐ。八重洲のこの街の佇まいが感じられるのも今だけだ。

 

 

【展示概要】

熊切圭介 × 熊切大輔 写真展「まぼろしのまち」
期間:2022年8月13日(土)〜8月31日(水)
時間:11時〜19時 無休

会場:K2+ギャラリー
住所:東京都中央区八重洲2-6-16北村ビル地下一階

最新情報と、展示の申込、問合せはhttps://www.facebook.com/thegallerytokyoへ。

関連記事

PCT Members

PCT Membersは、Photo & Culture, Tokyoのウェブ会員制度です。
ご登録いただくと、最新の記事更新情報・ニュースをメールマガジンでお届け、また会員限定の読者プレゼントなども実施します。
今後はさらにサービスの拡充をはかり、より魅力的でお得な内容をご提供していく予定です。

特典1「Photo & Culture, Tokyo」最新の更新情報や、ニュースなどをお届けメールマガジンのお届け
特典2書籍、写真グッズなど会員限定の読者プレゼントを実施会員限定プレゼント
今後もさらに充実したサービスを拡充予定! PCT Membersに登録する