top 本と展示展覧会ピックアップポーラ美術館、HIRAKU Project Vol.13 村上華子「du désir de voir 写真の誕生」展開催

ポーラ美術館、HIRAKU Project Vol.13 村上華子「du désir de voir 写真の誕生」展開催

2022/08/15

ポーラ美術館(神奈川県・箱根町)は、現代美術を展示するスペース「アトリウム ギャラリー」にて、「HIRAKU Project Vol.13 村上華子「du désir de voir 写真の誕生」展を、2022年9月17日(土)から2023年1月15日(日)まで開催する。
 
HIRAKU Projectは、ポーラ美術振興財団の若手芸術家への助成を受けた作家を紹介する展覧会シリーズ。第13回目となる今回は、パリを拠点に活動する村上華子を紹介する。古典的な写真技法を扱い、見ることの根源に立ち返ろうとする村上は、2019年にアルル国際写真祭新人賞にノミネートされるなど、近年特にヨーロッパで注目される気鋭の作家だ。
 
私たちが何かを見るとき、そこには複雑な目の働きがある。目から入った光が網膜上で焦点を結び像となり、脳がそれを認知的に処理をする。網膜に映っては消える、この儚い像の連続こそが「見える」ことであり、それを不変に定着させたいという思いが、人類の歴史において絵画の起源となり、印刷技術を発展させ、写真術を生み出した。
 
村上華子は制作の初期から一貫して、網膜に映る像を他者と共有するための技術とその歴史、そして目の代替物として像を焼き付けるもの、その物質性(マテリアリティ)に関心を持ち続けている。ダゲレオタイプのような古典技法による写真、100年前の未開封のガラス乾板に自然発生したイメージをとらえる作品、金属の活版を用いた作品、あるいは詩作や映像作品など、多岐にわたる村上の作品はいずれも、歴史を往来する緻密なリサーチと卓越した言語感覚に支えられている。
 
今回の展覧会で村上は、現存する世界最古の写真を残したとされる、ニセフォール・ニエプス(1765-1833)の足どりを辿る。「写真」の発明というニエプスの輝かしい功績の裏側には、当然ながら数え切れないほどの「失敗」が存在した。
 
本展は、村上がその歴史の陰に寄り添い、ニエプスの言葉を丁寧にひもとき、検証を重ねながら、幾多の失敗を現代に再現しようとする試みだ。幼少期からの夢を追い求めたニエプスのまなざしと、作家のまなざし、そして鑑賞者のまなざしが重なり合うとき、私たちの目は何を見るのか? 

新作を中心に構成される本展では、ネオン管を用いた作品をはじめ、村上の新たな展開を紹介する。

 

  • HIRAKU Project Vol.13. 村上華子
  • 「du désir de voir  写真の誕生」

  • 会期:2022年9月17日(土)- 2023年1月15日(日)
    会場:ポーラ美術館1F アトリウム ギャラリー
    主催:公益財団法人ポーラ美術振興財団 ポーラ美術館
    協力:タカ・イシイギャラリー、メゾン・ニセフォール・ニエプス
    後援:在日フランス大使館/アンスティチュ・フランセ日本


■作家プロフィール

村上華子(むらかみ はなこ)

1984年、東京都生まれ。パリ在住。2007年、東京大学文学部思想文化学科美学芸術学専修課程卒業。2009年、東京藝術大学大学院映像研究科メディア映像専攻修了。2013年度ポーラ美術振興財団在外研修員(パリ)。2014年、ル・フレノワ フランス国立現代美術スタジオ在籍。

 

近年の主な個展に、「Imaginary Landscapes」(タカ・イシイギャラリー、2022年)、「クリテリオム96 村上華子」(水戸芸術館現代美術ギャラリー、2019年)、「CONCEPTION」(アルル国際写真祭、2019年。新人賞ノミネート)、「The Perfect」(パリ日本文化会館、2016年)など。翻訳家としての主な訳書に、ハンス・ウルリッヒ・オブリスト『キュレーション:「現代アート」をつくったキュレーターたち』(フィルムアート社、2013年)などがある。

 


【関連リンク】

https://www.polamuseum.or.jp/sp/hiraku-project-13/

展覧会概要

出展者 村上華子
会期 2022年9月17日(土)〜 2023年1月15日(日)
会場名 ポーラ美術館

※会期は変更や開催中止になる場合があります。各ギャラリーのWEBサイト等で最新の状況をご確認のうえ、お出かけください。

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