1925年に、当時のエルンスト・ライツ社から発売された、初の量産型35mmカメラ「ライカⅠ」から100年を記念し、「ライカの100年:世界を目撃し続けた1世紀」展が東京、青山のスパイラルガーデンで10月18日(土)〜26日(日)に開催されています。ここでは開催前日となる17日(金)に行われた、報道向け内覧会の様子をお届けします。
向かって左から、ライカカメラジャパン取締役の福家一哲氏、カメラカメラ社CEOのマティアス・ハーシュ氏、ライカカメラ社社主のアンドレアス・カウフマン氏、ライカギャラリー代表でアートディレクターのカリン・レン・カウフマン氏、ライカカメラ社副社長のステファン・ダニエル氏。
ライカカメラジャパン取締役の福家一哲氏。
プレスカンファレンスでのライカカメラ社社主、アンドレアス・カウフマン氏のスピーチ。ライカⅠの量産型1号機、シリアルナンバー126の写真を投影しながら、現在までの100年間ライカの歴史が続いていることを語りました。そして、この100周年記念イベントは世界6か国をまわり、日本が最後とのこと。ライカの日本は1905年のシュミット商店にはじまり、1925年にライカⅠが輸入。1972年には当時のミノルタと協業し、その後も富士フイルムやパナソニックなどとも協業するなど、日本企業との深い関わりがあることから最終地になったそうです。
ライカ表参道店では、100周年を記念したエリオット・アーウィットとジョン・サイパル氏の写真展が開催中 https://leica-camera.com/ja-JP/event/gallery-omotesando-in-conversation)。
カリン・レン・カウフマン氏と共に登壇したジョン・サイパル氏は「ライカは人生をより良くしてくれるもの。同府というより相棒」とスピーチ。「アーウィットの写真はユーモアがありますが、決して見下したりしません」とアーウィットについても語りました。作品を選ぶ際は小さなプリントを作って並べ、そこから感じたものをセレクト。特に「思いやり」がキーになっているとのこと。
ライカⅠ誕生100周年を記念した特別限定モデル、「ライカM11 100Years of Leica”TOKYO JAPAN”」を発表するステファン・ダニエル氏。「1925年に発売されたライカは、それまでにないコンパクトで持ち運びに優れたカメラでした」「おかげで写真家は自由に動き、その場の光景をとらえることができるようになりました」とスピーチ。さらにライカは常に伝統と革新のバランスを意識してきたとのこと。機能が進んでもシンプルを追求し、クラフツマンシップも変わらない、とライカについて語りました。
スパイラルガーデン1階には「ライカの歴史」として、1914年にオスカー・バルナックが発明したライカの原型「ウル・ライカ」で撮影した写真をはじめ、ライカで撮影された歴史的な写真を見ることができます。
2000年に逝去された故・植田正治氏と、植田氏と交流があった俳優でミュージシャンの福山雅治氏の二人展も行われています。植田氏は「子狐登場」などの名作から、福山氏のポートレートも展示。福山氏は何気ない日常の光景を切り取ったスナップ作品が鑑賞できます。さらに「ライカ・ホール・オブ・フェイム・アワード」の受賞作品も展示されています。
ライカの100年を表現した展示会場。渦を巻くように、100年の歴史と発売されてきたライカカメラ製品が展示されています。
会場の中央には、1925年に誕生した量産型ライカの1号機であるライカⅠを展示。前年の1924年にエルンスト・ライツⅡ世がライカの量産を決断した際の言葉も添えられています。ライカカメラ製品はここから始まりました。
歴代のライカカメラ製品の最後を締めくくるのが、ライカⅠから100年経った今年に特別限定発売される「ライカM11 100Years of Leica”TOKYO JAPAN”」。100台限定で、「LEICA CAMERA TOKYO JAPAN」とエディションナンバーが刻印されています。グロッシーのブラックボディとシルバーのパーツのコントラストが美しいカメラです。
1914年にオスカー・バルナックが発明したライカのプロトタイプ1号機、ウル・ライカのレプリカ。ここからライカカメラが始まります。しかしライカⅠが1925年なので、量産化は11年後のことでした。
ドイツのツェッペリンの巨大飛行船、ヒンデンブルク号。1937年の爆発火災事故は、90年近く経った今でもあまりにも有名です。その事故現場から発見されたライカⅢaが展示されています。レンズはズマールf2/50mmのようです。さらに黒く焼けたエルマーf4/90mmやビドムなどのアクセサリーもあります。
ライカⅠ発売当時の貴重な使用説明書。カメラの各部名称も細かく記されています。また戦前の日本でのライカ製品カタログや、ライカに関する冊子など貴重な資料も展示されています。
小型で機動力に優れたライカは、多くの報道写真家やフォトジャーナリストにも愛用されています。これはUPI通信社でベトナム戦争を撮影し、1966年にピューリッツァー賞を受賞、1970年に銃撃されて命を落とした沢田教一氏が愛用したライカM2。レンズはエルマーf2.8/50mm。レンズにUVaフィルターを装着していることや、ストラップも当時のままなのが興味深いです。
銃弾が飛び交う戦場で撮影する従軍カメラマン。銃弾が当たったライカM4です。銃弾の跡やひしゃげたシャッター幕が生々しさを感じます。ライカのおかげでカメラマンの命は助かりました。
2013年に慈善活動「PRODUCT」RED」の一環として、世界で1台だけ作られた、ジョナサン・アイブとマークニューソンが手掛けた特別仕様のライカM。サザビーズのチャリティーオークションに出品されて、180万ドルという値段で落札されたとか。ミニマルなデザインは、その後のライカ製品にも受け継がれているそうです。
ライカMPエルメスやライカM9チタン、ライカX2ポール・スミスエディションなど、限定ライカもずらりと並んでいます。これだけ限定ライカが並んだ姿を見る機会は、なかなかないと言えるでしょう。
- 開催概要
- 「ライカの100年:世界を目撃し続けた1世紀」展
- 会期 2025年10月18日(土)〜10月26日(日)
会場 スパイラルガーデン(スパイラル 1F) 東京都港区南青山5-6-23
開催時間 11:00〜19:00
入場料 無料(※事前予約制)
*状況により会期・時間が変更になる場合がございます。
主催 ライカカメラジャパン株式会社
※当展覧会は、事前予約が必要となりますので、下記よりご予約をお願いいたします。- https://leica100.gateforce.jp
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