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東京銀座のHERALBONY GINZA Galleryで「遠い近さ」ー松岡一哲とやまなみ工房の宇宙ーが開催

2025/10/16

#26 untitled 松岡一哲・吉田陸人

 

東京銀座のHERALBONY GINZA Galleryで「『遠い近さ』ー松岡一哲とやまなみ工房の宇宙ー」が開催される。
 
本展は、写真家・松岡一哲が長年撮りためてきた作品に加え、滋賀県の福祉施設「やまなみ工房」を訪問し撮影した新作写真と、同施設に在籍する作家たちとの共同制作によって構成される。
 
参加作家は、吉田陸人、井野友貴、大路裕也、NANAの4名。松岡が撮影した写真を受け取った作家たちがドローイングを重ね、「応答」として作品を刻み返すことで、写真と絵画のあいだに往復書簡のような対話が生まれた。

 

「遠い近さ」
ふと考えると、僕が惹かれる人たちは、
いつも最初はよくきかないと、
何を喋ってるのか、よく分からない人たちだ。
それはつまり、確固たる独自の言語を、
持っているからなんだと、あとから気づく。
だいたい、絵描きだとか、音楽やってたりだとか、
少し変わった人たち。
世界の解釈を、世のルールに安易に委ねずに、
自分の頭の中で再解釈して、そのあと吐き出してる言葉だから、
言葉のようで、そうじゃない、まるで音楽みたいな、
彼らだけの言語になってるから、最初はよく聴き取れない。
けど、一度分かればすごく、心地いいんだよ。
理解できた喜びもある。
やまなみで出会ったみんなも、そうだった。
それぞれ、自分の宇宙をしっかり生きている。
だから最初は分かりにくい。
けど、一度分かったらもう大丈夫。
あとは大丈夫。
 
遠いまま、近く。
言葉で言うのは不可能だけど、
無理矢理言うなら、永遠に近いかたちで、
懐かしくも、未知な色で、分かり合える。
僕は知り合ってまもないから、
まだ分かったとは言えないけど、
かならずたどりつける。
僕らは、一緒にやっていける。
そんな気がしたんだ。
松岡一哲

 

異なるジャンル・異なる方法で表現する彼らが互いの作品に触れることで生まれるのは、言葉を超えた信頼と対話。松岡のレンズに写る世界と、作家たちの目に映る世界が、交錯することで新たな作品が生まれ、「見る」「つながる」「存在する」という根源的な問いが浮かび上がる。

 

  • ■展覧会情報
    「遠い近さ」ー松岡一哲とやまなみ工房の宇宙ー
    会期:2025年10月24日(金)~11月24日(月)
    時間:11:00〜19:00
    休廊日:火曜日(祝日の場合、翌日)
    会場:HERALBONY LABORATORY GINZA Gallery
    住所:東京都中央区銀座2丁目5−16銀冨ビル1F

 

■オープニング・レセプション
日時:2025年10月23日(木)18:00〜20:00
場所:HERALBONY LABORATORY GINZA Gallery
※イベント詳細はHERALBONY公式SNSにて公開予定
 
■対談トークイベント

日時:2025年11月1日(土)14:00〜
出演:松岡一哲(写真家)、吉田陸人(作家)、井野友貴(作家)
場所:HERALBONY LABORATORY GINZA Gallery
 
■アーティスト紹介
吉田 陸人 / Rikuto Yoshida(滋賀県 やまなみ工房)


1998年生まれ 滋賀県在住 2017年から『やまなみ工房』に在籍 絵を描くことが大好きな彼は、その時の自分が好きなこと、興味があることをモチーフに黙々と創作に取り組まれる。そんな彼の作品は興味の対象とともに作風が変わることもしばしば。自由な発想で描かれる彼にルールはなく、唯一は自分が楽しいかどうか、シンプルに純粋に創作へ向かう。ある日彼はたまたま目に入ったファッション誌を手に取り、思うままにペンを走らせ、落書きを始められた。その落書きは彼独自の感性と色使いで描かれ、とても不思議な作品に仕上がった。これからも彼がどんな作品を描かれるのかは、非常に楽しみで誰も想像できない。
 
井野 友貴 / Yuki Ino(滋賀県 やまなみ工房)


1996年生まれ 滋賀県在住 2015年から『やまなみ工房』に在籍 彼は必ず画用紙の左上から順に形を描いていく。ひとつひとつの「形」はまず複数のピースが重なり合うかのように輪郭が描かれ、次に色に持ち替え中が一面ずつ着色されていく。一連の動作を繰り返し、一つの「形」が出来上がると再び輪郭を描き、色を塗り、それらが徐々に列を成していく。 一見何の意味もない図形の繰り返しの様にも見えるが、時に目が描かれたり、手足や角、長い耳のような突起が現れたり、傍に大きなモチーフが描かれたりと、その表情は様々だ。 ゲームのキャラクターや食べ物、建造物等、生活する上で好きなものや見たもの体験した事がそのまま作品に反映されている。
 
大路 裕也 / Hiroya Oji(滋賀県 やまなみ工房)


1987年生まれ 三重県在住 2009年から『やまなみ工房』に在籍 音楽が流れるとリズムに合わせエアギターをかき鳴らし熱唱、車両が後退する際はオーバーアクションで誘導、休憩時には煙草を吸う仕草を真似て一服と、常に周囲を意識し自分自身を演出している彼の自己アピールの一つに作品制作がある。モチーフは人物や動物等、様々で雑誌や画集を見てそれを模写する。腕を組み、角度を変え構図を考える様も、一つ一つ丁寧に色を塗り重ねる筆使いもすべては彼の演出、彼の美学なのである。その美学から生まれる作品たちは、彼も予想がつかない全く別の色や形へと変化していく。
 
NANA(滋賀県 やまなみ工房)


1996年生まれ 滋賀県在住 2015年からやまなみ工房に所属 小さいころから絵を描くことが大好きだった彼女は、今でも休日には自分の落ち着く空間で時間をわすれるほど大好きなアニメのキャラクター等、たくさんの絵を描いて過ごしている。 やまなみに通所してからは立体造形や刺繍等創作活動の幅も広がり、最近では細かく切ったフェルトを使用し彼女のなかで描く世界感から立体の作品をつくりあげている。誰かに見てもらい作品を褒めてもらう、周囲の評価や感想は彼女にとってやりがいにもつながっている。 無我夢中に好きなことを好きなだけやる彼女の姿が何よりも誇らしく思える。
 
松岡一哲 / Ittetsu Matsuoka


1978年生まれ。写真家。日本大学藝術学部写真学科卒業。写真家として活動するかたわら、2008年テルメギャラリーを立ち上げ運営。日常の身辺を写真に収めながらも、等価な眼差しで世界を捉え撮影を続ける。主な個展に「マリイ」 BOOKMARC(東京、2018年)、「やさしいだけ」amanaTIGP(東京、2020 年)、「what i know」amanaTIGP(東京、2023年)、「TOKYO GAMES」渋⾕スクランブル SKY GALLERY(東京、2023年)。 最新個展は「もっと深くて鋭くて、危なくて、たまらなく美しいやつ。 普通じゃないもの。」Taka Ishii Gallery Photography / Film(東京、2025年)。

【関連リンク】
https://www.heralbony.jp/topics/5073

展覧会概要

会期 2025年10月24日(金)~11月24日(月)

※会期は変更や開催中止になる場合があります。各ギャラリーのWEBサイト等で最新の状況をご確認のうえ、お出かけください。

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