倉敷安耶「祖母は屋敷にひとりで住んでいた。」©Aya Kurashiki
東京神宮前のLAGで倉敷安耶「祖母は屋敷にひとりで住んでいた。」が開催される。
倉敷安耶は、他者との距離や疎外感、生と死や無常、身体性といった根源的テーマを起点に、宗教的・儀式的要素を交えた表現を展開する作家である。写真や西洋絵画のイメージを転写する技法を基盤に、布地・石・鏡など多様な素材を支持体として用い、偶発的に生じる痕跡や重層的な構成を通じて、存在と身体をめぐる視覚的探求を続けている。
祖母の衣服を纏う孫の姿は、今は亡き祖母の影ともなり、異なる時間をひとつの場に重ね合わせる。鏡に転写された家の内部は、古来より霊を映すと信じられてきた鏡の性質を呼び覚まし、幻影を誘うと同時に、鑑賞者自身を「かつてそこにいた誰か」として映し出す。また、今も洋館の一室を事務所として用い働く父の姿は、この館を現在へと繋ぎとめる唯一の営みとして示される。そこには、物質としての老いと記憶としての生とが重なり合い、家はやがて朽ちゆく一方で、祖母がなおその家を脈々と守り続けているかのような気配が漂う。見えない時間が折り重なり、過去と現在がふたたび交錯する場として――。
本展キュレーター:井波 吉太郎(アーツ前橋 学芸員)
本展に並ぶ作品は、倉敷の祖母が暮らしていた洋館に刻まれた記憶や痕跡を手がかりに、時間と存在の残響を可視化しようとする試みである。
- ■展覧会情報
倉敷安耶「祖母は屋敷にひとりで住んでいた。」
会期:2025年10月3日(金)~10月18日(土)
時間:13:00〜19:00
休廊日:日曜日、月曜日、祝日
会場:LAG
住所:東京都渋谷区神宮前2-4-11 Daiwaビル1F
■トークイベント
登壇者:倉敷安耶、井波吉太郎(アーツ前橋 学芸員)
日時:10月11日(土) 16:00〜17:30
会場:LAG(LIVE ART GALLERY)
料金:500円
定員:35名
事前予約制:https://docs.google.com/forms/d/1yoDtjqX1vDcxYUtXccAhIv8A3Zy0cZ62JjW9SguRHdQ/viewform?edit_requested=true
■プロフィール
倉敷 安耶 (くらしき・あや)
1993年兵庫県生まれ。茨城県在住。現在は東京と関西を拠点に活動。2018年京都造形芸術大学大学院修了。2020年東京藝術大学大学院修了。 佐藤国際文化育英財団第26期生。クマ財団3期生。2021年度VIVA AWARD アソシエイツアーティスト。
主な個展に「あなたの髪のひとつ(だった)」(haku/京都/2023)、「百夜」(SOM GALLERY/東京/2023)、「おまえの骨が軋むとき」(ARTDYNE/東京/2025)など。主なグループ展に「ニューミューテーション#5 倉敷安耶・西村涼「もののうつり」」(京都芸術センター/京都/2023)、「Dancing in the Boundary -境界の中で踊る-」(NEWoMan横浜/神奈川/2024-2025)、「Intersection」HWA’S GALLERY(上海)など。主なアートフェアに「Art Fair Philippines」(The Link, Ayala Center/フィリピン/2024)、「ART FAIR ASIA FUKUOKA」福岡国際センター/福岡/2024)、「HANKYU ART FAIR」(阪急梅田ホール/大阪/2024)など。
主な受賞歴にグランプリ受賞2021「WATOWA ART AWARD 2021」、秋元雄史賞「KAIKA TOKYO AWARD」、入選「群馬青年ビエンナーレ」など。
【関連リンク】
https://www.live-art-books.jp/lag/exhibition/ayakurashiki/
出展者 | 倉敷安耶 |
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会期 | 2025年10月3日(金)~10月18日(土) |
会場名 | LAG(LIVE ART GALLERY) |
※会期は変更や開催中止になる場合があります。各ギャラリーのWEBサイト等で最新の状況をご確認のうえ、お出かけください。
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