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東京京橋のタカ・イシイギャラリー 京橋でAAWAA「丹」が開催

2025/08/21

AAWAA「海灘(해탄)」2025年 3’50” 8mm film

 

東京京橋のタカ・イシイギャラリー 京橋でAAWAA「丹」が開催される。

 

古代、丹後半島を中心に大きな丹後國があった。
丹後にほど近い私の住まう南丹の美山は丹波國としてそこに隣接していた。
このあたりの多くの地には丹がつく。
AAWAA「丹」より

 

海辺の集落である京丹後・間人(たいざ)で2020年より活動するアートプロジェクト「あしたの畑」での展示企画を通して出会った、同地に残る墳墓や伝承、受け継がれてきた自然と人との営み。これらは、作家自身が生活と創造の地として選んだ南丹・美山で培ってきた時間や経験と折り重なり、2023年、「丹(に)」と題した作品へと昇華され、丹後古代の里資料館にて、弥生時代後期の遺物とともに空間インスタレーションとして展開された。
 
同資料館で出会った墳墓から出土した丹の土を契機とした同作品は、海と時を越えて人と人とをつないできた、創造の歴史を巡るプロジェクトへと発展していった。かつて海を渡り、同地にたどり着いた人々が見出した「美」とは何だったのか。そして、今、自分たちが海の向こうである未知の世界に見出そうとする「美」は、それとどこかで響きあっているのだろうか―その問いは、ひとつひとつの作品から空間全体へと広がり、鑑賞者、訪問者がその空間に身を置くことや、その場で過ごす時間そのものを創造する挑戦へと繋がっていった。
 
「太古から丹に包まれたこの地は、この星がひっそりと赤い光を放つ美しいところだった。心のいとなみを望む人々が静かにその光を輝かせていたころ、海から来た人たちの壮大な力によって赤い光は飲み込まれた。」
 
生きる土地の傍らにある素材を使い、暮らしの空間を手探りでつくっていくこと、絵を描くように、器を形づくるように、木を組み、紙を貼り、壁を塗る―こうした過程のひとつひとつが、AAWAAが日々の暮らしで実践してきたことであり、同時に美術家として目指す美しい術と思考の交差地点でもある。人間本来の営みとは、日々の中にある小さな創造の連なりではないかという、ある種の希望を出発点に、人間にとっての自然がそうであるように創造の源となり、同時に深い休息ともなる場所を目指して生み出された空間は、未来のアーティスト達が休息し、思索し、創作に向かう時を過ごす場所として、2025年に「間人レジデンス」という名を冠して結実を迎えた。
 
美術、建築、工芸、服飾など、複数の領域をゆるやかに重ね合わせながら無名性の高い表現を続けてきたAAWAA。作家名の呼び方さえ鑑賞者に委ねるという姿勢は、現代を生きる私たちが、その名を知ることのない人々が残した「美」や「心」を想像し、触れようとする意志と深く通じています。オープニングに際して、「あしたの畑」より徳田佳世氏(NPO法人TOMORROW代表)を招いて、作家とともに語り合うトークプログラムを開催する。丹という土地にみちびかれながら、ひとつひとつが連環をなすように生み出された作品群が展示される。

 

  • ■展覧会情報
    AAWAA 「丹」
    会期:2025年8月30日(土)~9月27日(土)
    時間:11:00〜19:00
    休廊日:日曜日、月曜日、祝日
    会場:タカ・イシイギャラリー 京橋
    住所:東京都中央区京橋1-7-1 TODA BUILDING 3F

 

■オープニング・レセプション

日時:2025年8月30日(土)17:00〜19:00

会場:タカ・イシイギャラリー 京橋

 

■AAWAA「丹」刊行記念トーク
日時:2025年8月30日(土)16:00〜17:00
会場: TODA BUILDING 4階 CONFERENCE ROOM 403
ゲスト: AAWAA(美術家)、徳田佳世(NPO法人 TOMORROW代表)、橋詰隼弥(「あしたの畑」プロジェクト・マネージャー)
予約制(定員:30名)

https://airrsv.net/TakaIshiiGallery/calendar

 

■プロフィール
AAWAA
1971年生まれ。現在、京都北部の里山にある草葺屑屋を拠点に活動。写真、立体、絵画などで自身の経験した事象を主体とした精神的な空間を発表している。「Space for Your Future」東京都現代美術館(2007年)に参加し、2009年に初個展「UNIVERSAL LOVE」をタカ・イシイギャラリーにて開催。その後「MOTコレクション Plastic Memories―今を照らす方法」東京都現代美術館(2010年)、「ヨコハマトリエンナーレ2011 OUR MAGIC HOUR―世界はどこまで知ることができるか?」横浜美術館(2011年)に参加し、2度目の個展「ECHOES」タカ・イシイギャラリー(2011年)を開催。近年、コズミックワンダーと工藝ぱんくす舎として「お水え いわみのかみとみず」島根県立石見美術館(2016年)、「かみ」資生堂ギャラリー(2017年)、「ノノ かみと布の原郷」島根県立石見美術館(2021年)を開催。
 

【関連リンク】
https://www.takaishiigallery.com/jp/archives/35326/?utm_source=BenchmarkEmail&utm_campaign=2508_AAWAA_1st_(J)&utm_medium=email

展覧会概要

出展者 AAWAA
会期 2025年8月30日(土)~9月27日(土)
会場名 タカ・イシイギャラリー京橋

※会期は変更や開催中止になる場合があります。各ギャラリーのWEBサイト等で最新の状況をご確認のうえ、お出かけください。

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