“TOKYO”銘入りの品が集められたコーナー
東京都千代田区、東京メトロ半蔵門駅から徒歩1分の日本カメラ博物館にて、特別展「Camera・Made in TOKYO」が始まりました。会期は10月20日まで。この記事では開幕前日の報道公開の様子をお届けします。
同館の特別展は毎回、多くの収蔵品の中からテーマに添ったカメラがずらり並ぶ様子が壮観です。今回の特別展は、東京に存在したカメラメーカーや東京で製造されたカメラを歴史的資料に基づいてピックアップし、約280点を展示しています。
地域ごとに分けて展示されている
現在は日本のメーカーも海外でカメラを生産することが多くなりましたが、かつてはほとんどのカメラが日本国内で生産され、特に第2次世界大戦の前後から1960年代にかけては多くのカメラが東京で製造されていました。その時代は日本製カメラが成長著しかった時期と重なります。
展示は地域ごとに分かれ、23区および各市の成り立ちと光学産業との関わりについて解説されています。自分が住んでいる区、通勤先の区、訪れたことのある区に縁のあるカメラを実際に目にすると、不思議な親しみを感じます。以下に、その一部を紹介します。
足立区:「ペトリフレックス7」(ペトリカメラ。足立区梅田町)
製造元のペトリカメラは1907年に栗林製作所として創業。足立区には、のちにワルツカメラとなる日本商会なども存在
荒川区:「マイクロ」(秋田製作所。荒川区日暮里町)
荒川区は明治期からの工業地帯で、日暮里や尾久を中心に多くの光学機器製造会社が存在したという
大田区(大森区):「ステキーII」(旭無線工業。大森区馬込町西)など。
旭無線は後に理化学研究所の工場となる。大田区には他にも富岡光学機械製造所、ニッカカメラといったメーカーが存在していた
板橋区:「アサヒフレックス」「トプコンREスーパー」「プリモフレックス I BB」
板橋区は現在でも精密・光学機器企業の本社や工場、協力工場が多く、大田区に次いで第2位の工業区
中央区:精工舎シャッター(後のセイコープレシジョン)が製造したシャッター。服部時計店の工場として設立され、掛時計、懐中時計、腕時計の製造に着手。1930年からカメラ用シャッターの製造に着手し、1933年に量産化
千代田区:神田区があったことから、多くの写真機製造業や販売業が存在。中でも太陽堂(写真左奥のビューティーフレックスなど手がける)は製造から販売で人気を博したという
中野区:戦前からいくつかの工場があり、写真の「カメラライト」や「エコー8」を製造した鈴木光学、「ズノーカメラ」の帝国光学などが存在
練馬区:露出計の代表的メーカー、セコニックが存在。1941年創立の成光通信機製作所から、成光セレン研究所、成光電機工業を経てセコニックとなる
同館もしくはオンラインで販売している図録(1,200円)には、展示エリアに掲示されているパネルの内容が収録されています。会社名と所在地をリスト化した「東京のカメラ・光学機器製造会社一覧」は圧巻です。「江戸から東京、東京とガラス」から「東京から長野へ」などじっくり読みたい文章もあり、博物館に足を運べない方のみならず、見学した方も資料として手元に残して置きたくなるボリュームがあります。
図録。1,200円で販売している
図録内の「東京のカメラ・光学機器製造会社一覧」は5ページに渡る
なお、この後の時代に長野県の諏訪地区が精密機械産業で知られるようになった背景には、1929年の世界恐慌をきっかけに養蚕業が衰退し、軍需工場に転換。それが戦後に精密機械工場に転用され、多くのカメラメーカーが生産拠点を東京から移した歴史があるそうです……といった理解も深まる特別展、ぜひ足を運んでみてください。
- ■日本カメラ博物館 特別展「Camera・Made in TOKYO」
○会期 2024年7月9日(火)〜2024年10月20日(日)- ○所在地 東京都千代田区一番町25番地 JCIIビル
- ○開館時間 10:00~17:00
- ○休館日 毎週月曜日(月曜日が祝日の場合は翌日の火曜日)
- ○入館料 一般300円、中学生以下無料 団体割引(10名以上)一般200円
- ※10月20日まで「親子来館で入場割引」、「YouTubeチャンネル登録で入館割引」を実施中。それぞれ100円割引の200円で入館できる。
- ○夏休みイベント
親子で参加する小中学生向けのワークショップとカメライベントを開催。自宅から参加できる動画ワークショップ「ペットボトル万華鏡を作って写真を撮ろう」も実施する。
■関連リンク
特別展「Camera・Made in TOKYO」
https://www.jcii-cameramuseum.jp/museum/2024/05/15/35244/
夏休み親子ワークショップ 参加者募集中!
https://www.jcii-cameramuseum.jp/academy/2024/05/17/35270/
日本カメラ博物館公式チャンネル - YouTube
https://www.youtube.com/channel/UCVRHR70H4_ozxNZ8yEe-TvQ- ■日本カメラ博物館 特別展「Camera・Made in TOKYO」
○会期 2024年7月9日(火)〜2024年10月20日(日)- ○所在地 東京都千代田区一番町25番地 JCIIビル
- ○開館時間 10:00~17:00
- ○休館日 毎週月曜日(月曜日が祝日の場合は翌日の火曜日)
- ○入館料 一般300円、中学生以下無料 団体割引(10名以上)一般200円
- ※10月20日まで「親子来館で入場割引」、「YouTubeチャンネル登録で入館割引」を実施中。それぞれ100円割引の200円で入館できる。
- ○夏休みイベント
親子で参加する小中学生向けのワークショップとカメライベントを開催。自宅から参加できる動画ワークショップ「ペットボトル万華鏡を作って写真を撮ろう」も実施する。
■関連リンク
特別展「Camera・Made in TOKYO」
https://www.jcii-cameramuseum.jp/museum/2024/05/15/35244/
夏休み親子ワークショップ 参加者募集中!
https://www.jcii-cameramuseum.jp/academy/2024/05/17/35270/
日本カメラ博物館公式チャンネル - YouTube
https://www.youtube.com/channel/UCVRHR70H4_ozxNZ8yEe-TvQ
ライター。カメラ専門ニュースサイトの編集記者として14年勤務し独立。会社員時代より老舗カメラ雑誌やライフスタイル誌に寄稿。日本カメラ財団「日本の歴史的カメラ」審査委員。
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