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推すぜ!ニコンSシステム

第3回 外観はコンタックスとライカのいいとこどり、1951年に登場の「ニコンS」

2023/10/26
赤城耕一

フォクトレンダーSスコパー50mmF2.5を装着してみました。Sと時代に合うレンズが見つかりませんでしたので仕方ないですね。このレンズ超絶良く写りますが、コレクターのみなさんは時代の整合性がないからイヤなんでしょうな。

 

1951年登場というニコンS。最初のニコンI型が1948年、M型が1949年ということだから、2年くらいで改良型が登場しているわけで、開発のみなさんは、忙しくて大変だったんじゃないですかね。
 

ニコンSは見てのとおりで、外観はコンタックスですね。マウントもほぼ同形式でありますが、シャッターはライカのパクりですね。コンタックスとライカのいいとこどりの折衷案というやつかもしれません。

 


軍艦部であります。コンタックス系要素とライカ系要素をうまく折衷させております。メッキの質はかなり良く美しいことに驚きます。カバーの真鍮も上質です。

 

シャッターはライカと異なり、高速と低速を一軸にまとめてくるところなんぞにオリジナリティがなくもないです。画面サイズは24×34mmですね。最初のニコンI型なんか24×32mmですから、これはかなりデタラメなフォーマットでした。

 


シャッターはライカのパクりですから手前です。フィルムカウンターは手動セットです。美しいシルバー仕上げですが、全体にキラキラしているので太陽光があたると、見えづらいんですよ。

 

ニコンSを最初に使用して、おー。と思った第一印象は、すごく重たいことであります。ボディサイズは小さいのに、鉛でも入れてんじゃねえのか?と疑いたくなるくらいでした。
 

それに現像が上がったときに画面サイズは小さいくせにコマ間が広いぜ、ということでして、これならふつーに24×36mmにできたんじゃね?という疑問であります。

 


底蓋を外しました。布幕シャッターはトロンという感じで走ります。1/500秒が最高速ですので、ISO400のフィルムを装填すると辛いです。

 

気に食わないのはネガを6コマにカットするとネガシートから端が飛び出たりするわけです。困るなー。傷ついちゃうじゃん。ならば5コマにカットすると、ネガを引きづり出すのに困るのであります。これ解決策見つからないまま黙って使います。
 

ファインダー像はすごく小さいです。井戸の底を覗くかのごとくですね。50mm用ですが、フレーミングはツラいけど、鍛えらえます。

 


ファインダーアイピースです。距離計のコントラスト、結構高いので、正確なフォーカシングできます。有効基線長も余裕ありますし。

 

パララックス補正なんか、それなに?みたいな感じで、内蔵はされていません。もうね勘によるものになります、とくに至近距離は。
   

もっとも小型カメラのフレーミングなんか、主要なものが画面内に入っていればいいという大胆な考え方もいいかもしれません。硬直したフレーミングの写真にロクなものはありませんし。なんつて。
 

フィルム巻き上げ、巻き戻しともに、ノブ方式です。ただでさえ疲れている人生が余計に疲れてしまうことになりますね。こればかりは仕方ありません。ノブの感触は悪くないです。三木淳がクランクによる巻き戻しを採用させたみたいな資料があるけど、そんな試作機ありましたっけか。

 


巻き戻しノブです。早く巻き戻すのは大変ですが、仕方ないですね。大型ですし操作性はいいのでそんなにイヤではないです。

 

でも、カメラ全体の作りは先ほどの鉛の話じゃないけど、しっかりしてますね。戦場でフルメタルジャケットになりそうな感じがします。メッキの質もきめ細かくていい感じです。
 

シャッターの動作音はとても小さいですね、うちにあるニコンS2やSPよりも低いんじゃないですかねえ。個人的には“バサッ”という音に聞こえます。ささやくようだという形容とも異なる、オリジナリティな動作音ですね。ただ、精度的にはどうでしたでしょうか。耳で聞くかぎりは、よく調整されたSでもまったりした音に感じます。 
 

ニコンS以前の機種は、進駐軍のPXあたりを中心に売られていた、カメラは希少な外貨を稼ぐ商品で、日本国内にはあまり流通していないので希少であり高価なんだそうですが、ニコンSはふつうの日本のカメラ店で売られたようであります。知ったようなふうに書いてますが、戦後5年程度しか経っていません。見てきたように書いてみました。

 


カメラ底部です。がっちり作り込んである感じです。マイナスの4本のネジに何の意味があるのでしょうか。

 

ニコンSを愛機とした写真家で知られているのはロバート・キャパですが、同時携行したのはコンタックスIIと言われていて。
 

ワイド系レンズなら、コンタックスとニコンSマウントは互換性があるから共用はOKということになったのでしょうか。当時とかいい加減そうだからそういう説明もなくて、ニコンSを贈呈しちゃったんじゃないのかな?違う?
 

ニコンSもしかるべきところに、メンテナンスに出せば、見事によみがえってきますが、実際に使うとなると筆者の経験上、他の35mm判カメラと共用すると、やはりアスペクト比の微妙な違いから、出来上がった写真はあれれーという印象は残ります。
 

ともあれ、筆者は真面目な性格だからこういうつまらないところが気になるわけで、あなたのような優秀な写真表現者ならニコンSでも問題なく使えると思います。健闘を祈りたいと思います。

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