ニッコール5cm F2をつけたニコンS2。どのレンズが時代に整合するシリアル番号かわからないので、手元にあるものをテキトーに装着しました。このゾナータイプの標準レンズ、すばらしく切れ込みいいですね。ただし、絞りによる焦点移動があります。研究が必要です。
勢いでニコンSPからはじめてしまいましたが、登場順だとニコンIから話をしなきゃいけないのでしょうか。でもこのカメラは博物館級のものだし、いいですよね。筆者は触ったことないし。いまさら資料ひっくりかえして、スペックを羅列するとかだれも関心ないと思いますしね。あ、それよりも、資料性ゼロのこちらのヨタ話のほうが関心はありませんか。それでも書くけど(笑)。
お約束のお仕事ですから、2回めの推すぜぺ…。じゃない推すぜニコンSシステムをはじめます。
で順番は適当で、ニコンS2の話をしますね。
1999年にニコンがミレニアム記念としてS3を復刻したわけですが、このときに色々と論議ありました。
「ヲイヲイ〜復刻するならSPだろう」とか外野が、かなりうるさかったのですが、敬愛する先達の写真家が非常に真面目な顔をして、「復刻するならニコンS2だよS2」って、静かな声を挙げていたことを覚えております。
どうしてなのか細かい理由はあまり覚えていないのですが、ボディサイズは小さいし、初のレバー式の巻き上げだし、ファインダーはデカいし、とそんなことを言ってましたね。筆者はS型ニコンは各種好きでしたが、やはり前回取り上げたSPとかS3オリンピックとかが好きでした。ミーハーであります。
とは言いながらS2はすでに所有している筆者はヤな奴です。ごめんなさい。ただ、いつのことだったか覚えておりませんが、こいつは押さえておかねばならんぜS2。と天の声が囁いたわけで、これには従わなければなりません。それにね、価格的にはSPやS3よりも安いんですぜ。万が一ソリが合わなくても離婚するだけのことです。
ボディのフォルムは角ばっていて、なかなか筆者の好みであります、でも「Nikon」ロゴが少し古くないすか?これがクラシック感を強調しておりますけど。
S2は前機種のSの改良型とか言われますが、ライカM3発表をうけて、当初は採用予定がなかったフィルム巻き上げを急遽レバー式にしたという話を聞きました。それはいいけどなんかそういう意味では、設計思想が緩いですね。でも突貫工事的に間に合わせたらしいのでこれは評価せねばなりません。
フラッシュバルブ、スピードライトが両方用意されていた時代だったことがシンクロの設定ダイヤルでわかります。
アパーチャーサイズはSの24×34mmからやっと24×36mmになりましたぜ。そう、標準規格であります。あのSのフィルムの太いコマ間隔とかみてるとイラつくんですよね。で、加えてSよりもかなり軽量化が行われました。Sなんか、おまえ鉛をカラダに仕込んでねえのか?とか思いましたもん。何グラム違うのかはご自身で調べてください。
でね、S2の使い心地なんですが、回りますね、シャッターダイヤルが。スクリューマウントライカみたいにね。シャッターを切ると、くるっと回ります。フィルム巻き上げレバーを動作しても回ります。動作している時は指で触れてはいけません。スクリューマウントライカと比較するとシャッタースピードの設定は巻き上げレバーをチャージした状態でなくても設定できます。低速シャッターダイヤルはシャッターダイヤルの下にあります。鏡もちみたいです。
フィルムカウンターは自動復元しませんから、設定が必要です。シャッターダイヤルは2段式ですね。スクリューマウントライカとは違うぜと主張したかったのか。シャッターボタンはすげー後ろの方にあるくせに。
シャッターボタンの位置はライカのパクりなんで、やはりボディの後にあります。指がつりそうです。
シャッター音はくぐもった音で“シュボッ” という感じで動作します。そこそこデカいので一眼レフと比較して有利ということはないかと。個人の印象評です。小刻み巻き上げができるのは評価対象かもしれませんが、巻き上げレバーの長さが少し短いんですよねー。だから連続して巻き上げづらい。
シンクロはフラッシュバルブとスピードライトも使えます。だんだんと現代のカメラに近づきつつあります。
ファインダーはデカめですが、50mmフレームしかありません。他の焦点距離のレンズを使いたい写真表現者は、外付けのファインダーを買いなさいということであります。ま、しかたないですね。あとパララックスも補正されませんので、至近距離撮影では心眼を持ってして、対処せねばなりません。要するに勘ですね。あなたなら大丈夫でしょう。
あとなんか書くことありましたっけか。あ、そうだS2にはニコン初のモータードライブが用意されました。何コマ/秒なんでしょうか。だれか調べてください。たいしたことないと思いますが。
モータードライブ対応のボディはS2Eとかいうらしいです。ノーマルボディを改造して取り付けることができるのかどうかは知りません。
すみません記憶の元に書いています。間違えていたらすみません。SでもS2Eのオリジナルモデルが中古カメラ店にでてきたら、1DKの中古マンションとか買えるくらいかも。昨今は怪しい改造ものとかもあるから気をつけて。筆者は興味がないからいずれにしろ関係ないけどね。
シャッター幕は布幕です。金属的な音ではないんですが、どこからか、空気が抜けるような。それなりにデカい動作音であります。
ニッコール5cm F2とか装着するとなかなかいいやつに見えますが、こいつもゾナータイプなんで焦点移動ありますぜ、気をつけてお使いくださいまし。
そうだS2は前期と後期があるのかな。シャッターダイヤルの上部が白いほうが前期ですね。メッキにカネがかかってますが、シャッター速度数値は見づらいからかな、少々相場はお安いみたいです。年寄りは白いカメラが好きですから、今度は前期型を狙うかなあ。
もういらないよね。ちなみに少数のブラックボディもあります、高いので写真表現を目指す良い子は無視してください。塗り替え品を掴まされるかもしれませんぜ。
ブラックのニコンS2といえば、東松照明さんの所有のS2ブラック+ニッコール2.5cm F4つきをぶんどってしまった森山大道さんのことがすぐに思い出されます。
ボディがブラックだったら東松照明・森山大道さんセットですね。ニッコール2.5cm F4つきです。トポゴンタイプで謎の写りがして好きです。フードはリコーGRⅢのリングみたいなただの輪っかですが、すげー高いです。だれか3Dプリンターで作ってくれねえかな。
このセットを首から下げ、銀座の数寄屋橋公園で撮影されたという森山さんのポートレートが『アサヒカメラ』に載っていました。カッコよかったです。
東松照明さんのこの時の話はアタマに染み込んでいるのでそのまま書きますと「ボクの手アカがべったりついてしまって、あれはもうボクのものですよ」と森山大道さんは言ったとか。
それよりも、このS2のセットは飲み代に化けてしまったという都市伝説があるのですが、以前、これも森山さんにおそるおそる訊いたところ、事実でした(笑)。
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