top 本と展示展覧会ピックアップ東京国立のZEIT-FOTO Kunitachiで北井一夫「ドイツ表現派紀行」展を開催

東京国立のZEIT-FOTO Kunitachiで北井一夫「ドイツ表現派紀行」展を開催

2023/05/10

ZEIT-FOTO Kunitachiでは北井一夫「ドイツ表現派紀行」展を開催する。1979年から1980年にかけて2度、合わせて4ヶ月間の撮影紀行で撮影された中から厳選した約60点を展示する。
 

「写真は、被写体と定着した写真が不安定なまま、定まった価値観をもたずに揺れ続けているものだと考えている」 ― 北井一夫

 

『アサヒカメラ』で人気シリーズとなった「村へ」が連載3年目を迎えた1976年の秋頃、北井自身が自分の考えに自信が持てなくなっていた。その原因は、いつの間にか撮影のコツ、自分のスタイルが出来上がってしまっていることに気がついたためだった。同年、北井一夫は第1回木村伊兵衛写真賞を受賞している。彼は頂点にいながら迷いを抱えていた。
 
この「ドイツ表現派紀行」は、まさに北井一夫が「村へ」の次に何をすれば良いか、ZEIT-FOTO SALONの創業者である石原悦郎氏に相談を持ちかけたことにはじまった。撮影した写真を発表すると、たちまち世間は期待外れだと批判をし、連載も打ち切りの形で幕を下ろした。
 
当時そこまで物議を醸した本作とは一体どんな作品なのか? そこに映るのは、うごめくようなドイツ表現派建築の数々と、その空間に息づく人々といった生々しい存在たちだ。発表時の反応がむしろ不思議に思えるほど、それら1枚1枚は北井一夫の独特の距離感で捉えられており、どうやっても北井作品以外の何ものでもないものとして映る。
 
このことは、まさに本作が「定まった価値観をもたずに揺れ続け」てきた証左に他ならない。撮影から40年以上の時を経て、今年新たに編まれた写真集『ドイツ表現派紀行』(PCT刊)に寄せて、北井一夫は次のように述べている。
 

「ここまで到達するのに必要な時だったのかもしれない」

 

作家の長きに渡る活動の過渡期に位置付けられる本作を確認したい展示だ。
 
【展示概要】
展示名:北井一夫「ドイツ表現派紀行」
会期:2023年5月19日(金)〜6月24日(土)
時間:
金曜日 15:00〜20:00
土曜日 11:00〜18:00
日曜日 11:00〜18:00
※6/11、6/18 および月曜日は休廊
※火・水・木曜日はアポイントメントのみ
会場:ZEIT-FOTO kunitachi  
住所:東京都国立市中2-22-33
電話:042-505-8838
 
【関連イベント】(要予約)
6月10日(土)15:00〜17:00 トークイベント
北井一夫 x 石井仁志(20世紀メディア評論)x 鈴木利佳(ツァイト・フォト) 参加費2,000円
 
6月10日(土)18:00〜 SPレコード鑑賞会『音楽閑話 SPレコードの世界観』
ナビゲーター:石井仁志(20世紀メディア評論) 参加費5,000円 ドリンク・お食事付
[トークとSP鑑賞会の両方をご参加の場合は合わせて5,000円]
 
【写真集刊行のお知らせ】
北井一夫 写真集『ドイツ表現派紀行』
発行:2023年4月20日 第1版第1刷
価格:4,000円+税
発行:PCT
88ページ / 200 × 200mm / モノクロ / ハードカバー
※会場にてサイン本を販売。

 
【関連リンク】
https://www.zeit-foto.com

展覧会概要

出展者 北井一夫
会期 2023年5月19日(金)〜6月24日(土)
会場名 ZEITO-FOTO kunitachi

※会期は変更や開催中止になる場合があります。各ギャラリーのWEBサイト等で最新の状況をご確認のうえ、お出かけください。

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