©CHAORAN WANG
東京・四谷のTOTEM POLE PHOTO GALLERYにて、王 超冉「BEYOND TOKYO」が開催される。
- 日本に来てから、青春18きっぷを使って移動することが多くなった。 特別な理由があったわけではない。ただ電車に乗り、降りて、また次の電車に乗る。それを繰り返していただけだ。都市から地方へ、地方からさらに小さな駅へ。駅名は次第に覚えきれないものになり、降りる人の数も少しずつ減っていった。窓の外を流れていく風景は、いつの間にか「見るもの」というより、「通り過ぎるもの」になっていた。
そうした移動の途中で、日本の地方が目に留まるようになった。 それらの場所は、突然なくなるわけではない。何か大きな出来事が起こるわけでもない。ただ、長い時間をかけて静かに後ろへ下がっていく。店は閉まり、田畑は人の手を離れ、家は今もそこにあるのに、生活だけが抜け落ちている。地図の上では確かに存在しているのに、現実の中では、触れられないもののようになっていく。
運転免許を取ってからは、電車では行けない場所にも行くようになった。 撮影に向かう先は、夜になると灯りがほとんど消えてしまうことが多い。宿がない場所では、車の中で眠る。後部には機材があり、助手席には翌日の道が残っている。風が車体を揺らし、遠くで何かの音が聞こえる。その時間は、特別に不安というわけでもなく、かといって落ち着いているわけでもない。昼間に見た空き家や道、田畑の風景が、静かに身体の中に戻ってくる。
風が通り、建物の輪郭が残り、理由のない空白がある。 使われなくなった痕跡や、時間の重なりが、目立つことなく、そこに留まっている。どれかが強く主張するわけではなく、すべてが同じ距離で並んでいるように感じられる。
写真の中には、いくつかの断片が残る。 それは地図に似ているけれど、行き先を示すものではない。時間の途中で、置き忘れられたものに近い。色よりも、先に目に入ってくるのは光の具合や形の重なり、そして少しずつ自然の側へ戻っていく気配だった。
ときどき、自分は風景を撮っているのではなく、何かを確かめているのではないかと思うことがある。 それは、まだ完全には消えていない、という状態だ。写真は、何かを残すためのものというより、立ち止まって確認するためのものなのかもしれない。世界が動き出す、その少し手前で。
私はただ、そこに立って、見ている。 それだけだ。
- ■展覧会情報
- 王 超冉「BEYOND TOKYO」
- 会期:2026年3月24日(火)~ 3月29日(日)
- 時間:12:00〜19:00
- 会場:TOTEM POLE PHOTO GALLERY
- 休廊日:月曜日
■プロフィール
王 超冉(オウ チョウゼン)
2000年 湖州生まれ
2023年 南京伝媒学院写真学科卒業
2026年 専門学校東京ビジュアルアーツ写真学科 卒業見込
【関連リンク】
| 出展者 | 王 超冉 |
|---|---|
| 会期 | 2026年3月24日(火)~ 3月29日(日) |
| 会場名 | TOTEM POLE PHOTO GALLERY |
※会期は変更や開催中止になる場合があります。各ギャラリーのWEBサイト等で最新の状況をご確認のうえ、お出かけください。


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