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大森克己初のエッセイ本『山の音』が刊行

2022/07/28

大森克己初のエッセイ本『山の音』がプレジデント社から7月28日に刊行される。
 
写真家の大森克己が紡いた言葉、記録と記憶。
1997年から2022年まで様々なメディアで発表してきたエッセイ、ノンフィクション、書評、映画評、詩、対談などにコロナ禍の日々を綴った日記を加えた一冊。マドンナ、東日本大震災、アヒルストア、ECD、コロナ禍、バラク・オバマ、ライカ、浅草、iPhone……時代の空気を言葉で写す圧巻の全464ページ。
 

 こんにちは、写真家の大森克己です。『山の音』を手に取って下さってありがとうございます。ボクは1963年に兵庫県神戸市に生まれ、10代の頃に写真を見ることや撮影することの楽しさを知って、写真の学校に入学するため、1982年に上京しました。そして、20代の半ばから仕事を始め、さまざまな人や出来事と出会ってシャッターを切り、現像した写真を吟味し、セレクトし、プリントして、雑誌に寄稿したり、展覧会で発表したり、写真集をつくるということを続けて来ました。
 そんな日々の暮らしのなかで、いつの頃からか、音や匂い、手触りといった目に見えないものが、どのように写真に影響を与えているのかに思いを巡らすようになりました。ボクが見ることのなかった景色、写真の四角いフレームの外側にあったものはどうなってしまったのかを考えるようにもなりました。
 この本には20世紀の終わりから21世紀のはじめ、主に2011年から2022年にかけて書きとめた、写真とぴったりくっついていた、写真のすぐとなりにあった見ることのむずかしいさまざまなことがらについての言葉を収めました。
 ひといきれ、衣擦れ、虫刺され。あくびと胸焼け。夕立とクラクション。溶けていく氷。ストロボの発光。ビル風と寝汗。電車の行き先アナウンス。弦楽器のチューニングとハーモニクス。携帯電話の着信。電子レンジ。あっ、卵の孵化。まばたき。ヘルプ!
 ボクはジョン・レノンに会ったことがありません。しかしボクはジョン・レノンの声を知っていて、ジョン・レノンについて言葉を綴ることが出来ます。ジョン・レノンの写真を撮ることは既に不可能となってしまいました。この本は写真と言葉、2つのあいだで揺れ動きながら、いまなおジョン・レノンの写真を撮りたいと思っている人間の記録です。
 どこから読んでいただいても大丈夫です。
 どうぞよろしくおねがいします。

大森克己『山の音』ー「はじめに」より

 

大森克己『山の音』

プレジデント社刊・四六版・464ページ

ブックデザイン:佐藤亜沙美 
価格:2,970円(税込)
発売日:2022年7月28日

 

プレシデント社「dabcyu」内の掲載記事
https://dancyu.jp/profile/Oomori_Katsumi.html

 


【写真家プロフィール】
大森克己 (おおもり・かつみ)
写真家。1963 年兵庫県神戸市生まれ。日本大学芸術学部写真学科中退。スタジオエビスを経て、1987年よりフリーランスとして活動を始める。フランスのロックバンドMano Negraの中南米ツアーに同行して撮影・制作されたポ ートフォリオ『GOOD TRIPS, BAD TRIPS』で第9回写真新世紀優秀賞(ロバート・フランク、飯沢耕太郎選)受賞。主な写真集に『very special love』『サルサ・ガムテープ』『 Cherryblossoms』(以上リトルモア)、『サナヨラ』(愛育社)、『STARS AND STRIPES』『incarnation』『Boujour!』『すべては初めて起 こる』(以上マッチアンドカンパニー)、『心眼 柳家権太楼』(平凡社)。主な個展に 〈すべては初めて起こる〉(ポーラミュージアム アネックス・2011年)、〈sounds and th ings〉(MEM・2014年)、〈山の音〉(テラススクエア・ 2018年)など。参加グループ展に〈路上から世界を変えていく〉(東京都写真美術館・2013年)、〈Gardens of the World〉(Rietberg Museum・2016年)、〈語りの複数性〉(東京都公園通りギャラリー・2021年)など。写真家 としての作家活動に加えて『dancyu』『BRUTUS』『POPEYE』『花椿』などの雑誌やウェブマガジンでの仕事や、数多くのミュージシャン、著名人のポートレート撮影、エッセイの執筆など、多岐に渡って活動している。『山の音』は初の文章のみの単著となる。

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