Yururi Island, March, 2018 ©Atsushi Okada
六本木のフジフイルム スクエア 富士フイルムフォトサロン 東京 スペース1にて、岡田 敦「ユルリ島の馬 ~The Horses of Yururi Island~」が開催される。
本展の舞台となる「ユルリ島」は日本の本土最東端、根室半島の沖合に浮かぶ周囲8キロメートルの無人島。15年ほど前にユルリ島の存在を知った岡田氏は、人間が住むことをやめてから半世紀以上馬たちだけが暮らす「幻の島」の背景と歴史を知り、2011年から撮影を続けた。
北海道・根室半島の周辺は古くから昆布の漁場として知られてきた。昆布漁は一般的な漁とは異なり、広い干場が必要となる。終戦直後の1950年、人々は干場を求め、労働力としての馬を連れ、ユルリ島に渡った。1960年代、高度経済成長による漁場の環境変化に伴い、島民たちは本土へと帰還を始め、島には数頭の馬だけが残された。ユルリ島には馬たちが生きていく環境が整っていたため、自然交配を繰り返し、最盛期には30頭ほどの馬が人影の消えた島に暮らしていたという。
しかし2006年、残された馬を気にかけて島に足を運んでいたかつての島民たちも高齢化により馬の管理が困難になったことから、ユルリ島から雄馬の引き上げが実施された。雌馬だけとなった島の馬は、やがてゆるやかに絶えることが運命づけられたこととなる。岡田氏が初めて島を訪れた2011年の夏に12頭を数えた馬たちは、年月を重ね次第にその姿を消していった。
本展は、人と馬が共に暮らしていた時代の最後の名残を作品として記録することで、島の歴史を後世に伝えるプロジェクトである作品群より、カラー・モノクロ作品約25点、映像作品1点を厳選。いまでは幻となりつつある馬たちの姿は、今回の展示を通して人々の記憶の中に刻まれ、現代を生きる私たちに新たな視座をもたらしてくれることだろう。
- ■展示概要
フジフイルム スクエア 企画写真展
岡田 敦「ユルリ島の馬 ~The Horses of Yururi Island~」
会期:2026年2月20日(金)~3月5日(木)
時間:10:00〜19:00(最終日は16:00まで、入館は終了10分前まで)
会場:フジフイルム スクエア内、富士フイルムフォトサロン 東京 スペース1
入館料:無料- 主催:富士フイルム株式会社
企画:合同会社PCT
後援:港区教育委員会
■ギャラリートーク
2026年2月22日(日)14:00から(30~40分間)
ゲスト:村上仁一氏(PCT・雑誌『写真』編集長)
会場:富士フイルムフォトサロン 東京 写真展会場内
参加無料・予約不要
2026年3月1日(日)14:00から(30~40分間)
ゲスト:新庄清二氏(株式会社 青幻舎 広報室長)
会場:富士フイルムフォトサロン 東京 写真展会場内
参加無料・予約不要
巡回展:
2026年9月18日(金)~9月23日(水・祝)富士フイルムフォトサロン 札幌
2026年10月30日(金)~11月12日(木)富士フイルムフォトサロン 大阪
■プロフィール
岡田 敦(おかだ・あつし)
1979年、北海道生まれ。大阪芸術大学芸術学部写真学科卒業。東京工芸大学大学院芸術学研究科博士後期課程修了。富士フォトサロン新人賞(2002年)、木村伊兵衛写真賞(2008年)、北海道文化奨励賞(2014年)、東川賞特別作家賞(2017年)、JRA賞馬事文化賞(2024年)を受賞。
主な写真集に『I am』(赤々舎/2007年)、『ataraxia』(青幻舎/2010年)、『世界』(赤々舎/2012年)、『MOTHER』(柏艪舎/2014年)、『The Horses of Yururi Island ユルリ島の馬』(青幻舎/2025年)、書籍にJRA賞馬事文化賞受賞作『エピタフ 幻の島、ユルリの光跡』(インプレス/2023年)がある。
作品は北海道立近代美術館、神田日勝記念美術館、川崎市市民ミュージアム、東川町文化ギャラリー、東京工芸大学写大ギャラリーに収蔵されている。
【関連リンク】
https://fujifilmsquare.jp/exhibition/260220_01.html
| 出展者 | 岡田 敦 |
|---|---|
| 会期 | 2026年2月20日(金)~3月5日(木) |
| 会場名 | フジフイルム スクエア |
※会期は変更や開催中止になる場合があります。各ギャラリーのWEBサイト等で最新の状況をご確認のうえ、お出かけください。


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