井上新八『どこまでも昭和100年東京地図』が刊行された。
本書は2025年8月にゴールデン街にある「こどじ」で開催された同名展示とあわせて制作された。
井上新八はブックデザイナーで、毎年「こどじ」で写真展を開催している。
彼の父は西井一夫。2001年11月に亡くなっている。毎日新聞社に勤務し、雑誌『カメラ毎日』の編集に携わり、多くの写真家と交流していた。写真評論家としても活躍し、著作も多く刊行している。
その中のひとつに『昭和二十年東京地図』がある。筑摩書房から刊行され、写真は平嶋彰彦が担当、装幀は鈴木一誌が手掛けた。井上は父の命日になると、著作を読むという。昨年は『昭和二十年東京地図』を手にした。
以下、井上新八のnoteより引用する。
1985年、当時40歳だった父が、その40年前、
終戦の年、昭和20年(1945年)の東京の地図を手に、東京の街を歩き、
その土地の記憶を文章と写真でたどっていく内容だった。
40年前の父が、さらにその40年前の東京を探し歩いて記録した本。
それを40年後の私が受け取り、読む。
時を越えた「記憶のリレー」のように思えた。
今年は戦後80年、そして昭和100年にあたる年。
そんな節目の年に、偶然手に取った1冊。
「バトンを受け取った」気がした。
──40年前父が歩いた場所を、今のわたしが歩いてみよう。
そして父が見た景色の40年後を写真に収めてみよう。
そう思いたって今年の1月から、本を片手に、
40年前に父が歩いた場所を探しながら、
東京の街を歩き回った。
40年の時を経て、父と子が邂逅した記念すべき1冊といえる。
- 井上新八『どこまでも昭和100年東京地図』
- 出版:私家版
サイズ:180×120mm
仕様:中綴じ、フルカラー
ページ数:48ページ
エディション:限定200部
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