《inception》 、60×80cm、インクジェット、撮影年2021、プリント年2025
株式会社TRIADが京都に保有する「アートコレクターの住まい」をコンセプトにしたnode hotel(ノードホテル)の1Fのギャラリースペースで、写真家渡部さとる「inception」が開催される。
展覧会タイトルであり、渡部の2024年出版の写真集タイトルでもある「inception(インセプション)」は「開始・始まり」「発端」という意味。本展覧会では、渡部が初期の頃から発表している銀塩作品に加え、作品としての発表は初めてとなる写真集「inception」まで、渡部の活動を広く紹介する30点あまりの作品を展示する。
「inception」写真集ステートメント
「この写真は、あなたの見た夢。」
すべての写真が、アウトオブフォーカス。
夢の中で見たような光景とともに投げかけられる、15の問い。
「inception」は、私たちがいつかどこかで見た、夢の中の風景だ。
いったいあの四年間は何だったんだろう。
当たり前だと思っていたことが一瞬で停まってしまい、今思えば長い句読点が打たれたような時間だった。
人混みをさけ、妻とふたりで海へと向かった。人の気配が消えた海岸の砂浜に力メラを向けると設定が室内で撮ったままになっていたせいで、画面は白くてフォーカスも全く合っていなかった。今までだったら合わせ直すところなのだが、焦点がどこにも合っていない画像が春の海岸の暖かさを伝えていた。それ以来「温度」を撮るために焦点を合わせない写真を撮り続けた。
ある眠れぬ夜、ふとクリストファーノーラン監督の映画「inception」のことが頭をよぎった。エージェントが他人の夢に入り込み、機密情報を盗み出すというストーリーだ。その時、今撮っている焦点の合っていない写真とこの映画が結びつき、同時にある言葉が浮かんできた。
「聞かせて、昨日何の夢を見た?」
翌朝、僕は15の「聞かせて」を一気に書き上げ、これを写真集にすることを決めた。
「inception」の意味は「はじまり」。止まっていた時間が動き出し、新しい「はじまり」を感じる本を作ろうと思った。
― 渡部さとる
展覧会初日の8月14日(木)には、映画プロデューサー石井朋彦氏とのトークショーを開催。なお、出品作品は全て購入が可能。
- ■展覧会情報
渡部さとる「inception」
会期:2025年8月14日(木)~9月14日(日)
時間:11:00〜17:00
休廊日:会期中無休
会場:node hotel
住所:京都市中京区四条西洞院上ル蟷螂山町461
■トークショー
登壇:渡部さとる×石井朋彦
日時:2025年8月14日(木)15:00〜(入場は14:30〜)
申し込み:https://voyages.theshop.jp/items/114697610
※先着30名様完全予約制
※参加費3,000円(税込・1ドリンク込み)
■プロフィール
渡部さとる(わたなべ・さとる)
1961年生まれ、山形県米沢市出身。
日本大学芸術学部写真学科を卒業後、日刊スポーツ新聞社に入社、写真部に配属。退職後、スタジオモノクロームを設立。フリーランスとして、雑誌、写真集などで活動。2003年より写真のワークショップを始める。2006年よりギャラリー冬青にて作家活動を本格的に開始。
【関連リンク】
https://nodehotel.com
出展者 | 渡部さとる |
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会期 | 2025年8月14日(木)~9月14日(日) |
会場名 | node hotel |
※会期は変更や開催中止になる場合があります。各ギャラリーのWEBサイト等で最新の状況をご確認のうえ、お出かけください。
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