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東京目黒のふげん社で土田ヒロミ「Hiroshima Monument」が開催

2025/07/26

東京目黒のふげん社で土田ヒロミ「Hiroshima Monument」が開催される。
 
戦後80年となる今年、土田のライフワークのひとつである「ヒロシマ・モニュメント」シリーズの決定版の写真集がふげん社から刊行されたことを記念した展覧会となる。
 
土田ヒロミは、1939年福井県生まれの写真家。デビュー以来、批評のまなざしと好奇心を持って、カメラを通して日本の時代の変遷を見つめ、記録し続けているドキュメンタリストだ。
 
80年前の1945年8月6日、広島市に原子爆弾が投下された。広島市内には、原爆投下による壊滅的な破壊をくぐり抜け、現在まで永く生き続ける事物――建物、橋、樹木、石碑がある。本作「ヒロシマ・モニュメント」は、土田が市内に点在しているそれら48箇所の事物=「モニュメント」を、1979年から2025年までの45年間に、およそ10年ごとに定点撮影した4連の写真を集成したものだ。本作は、被爆者取材を行った「ヒロシマ1945-1979」や、被爆資料を取材した「ヒロシマ・コレクション」、とともに構成されている「ヒロシマ三部作」は、作家のキャリアおいて最も重要なシリーズである。
 
決定的な事象が風化し忘却されつつある過程における長期的な定点観測には、現在が常に過去や未来との連なりの中にあることを可視化し、目まぐるしく変動する未来をも予測することができるのではないか、という作者の考えがある。
 
この大きなプロジェクトは、広島という「街そのものが『世紀のモニュメント』として記憶されなければならない」という作者の強い意識から始まり、戦後80年を迎えた今、その後100年、200年、さらなる未来へつながるメッセージがこめられている。
 
写真集『Hiroshima Monument』は、ほぼ同時期に刊行される『Hiroshima Collection』(NHK出版)と合わせ、菊地敦己氏が両書のデザインを担当している。本書『Hiroshima Monument』には、伊藤俊治氏によるテキスト「零時のモニュメント」、作品リストを収録。1995年刊行の『ヒロシマ・モニュメントII』(冬青社)から30年後に刊行された「ヒロシマ・モニュメント」シリーズの決定版となる本書もあわせて見てほしい。

 

  • ■展覧会情報
    土田ヒロミ「Hiroshima Monument」
    会期:2025年8月1日(金)~8月31日(日)
    時間:12:00〜19:00(土日は18:00まで)
    休廊日:月曜日、夏季休業(8月11日〜8月18日)
    会場:ふげん社
    住所:東京都目黒区下目黒5-3-12

 

■関連イベント


ギャラリートーク 土田ヒロミ×菅沼比呂志(キュレーター)
日時:2025年8月23日(土)14:00〜15:30
参加費:1,000円(オンライン配信あり)

※オンライン配信のアーカイブ視聴は2025年9月28日(日)まで

※申し込み方法:ご希望のチケットをふげん社オンラインストア(https://fugensha-shop.stores.jp/)から購入。店頭で支払いを希望の方はふげん社まで(03-6264-3665)。

https://fugensha.jp/events/250823talk/
  
■写真集紹介


土田ヒロミ『Hiroshima Monument』
発行日:2025年6月30日

発行所:ふげん社
寄稿:伊藤俊治
ブックデザイン:菊地敦己
仕様:B4、仕様:糸綴じ並製・函入り、120ページ
写真点数:190点
価格:本体10,000円+税
 
■プロフィール
土田ヒロミ(つちだ・ひろみ)
1939年福井県南条郡堺村(現・南越前町)生まれ。1963年、福井大学工学部卒業後、ポーラ化粧品本舗に入社。1964年、東京勤務を機に東京綜合写真専門学校研究科で学ぶ。1966年、同校卒業。1971年、独立し写真家の道を選ぶ。同年、「自閉空間」で第8回太陽賞受賞。
1976年ごろから開始した「ヒロシマ三部作」は『ヒロシマ1945-1979』(朝日ソノラマ、1979年)、『ヒロシマ・モニュメント』(冬青社、1995年)、『ヒロシマ・コレクション』(NHK出版、1995年)として刊行され、現在に至るまで広島の撮影を続けている。
1984年、第40回日本写真協会年度賞、1987年、第3回伊奈信男賞を受賞。2008年、「土田ヒロミのニッポン」(東京都写真美術館)により第27回土門拳賞受賞。2022年日本写真協会賞功労賞受賞。
1992年から96年まで東京綜合写真専門学校校長を務める。2000年から13年まで大阪芸術大学写真学科教授。
主な写真集に『俗神』(オットーズ・ブックス、1976年)、『砂を数える』(冬青社、1990年)、『新・砂を数える』(冬青社、2005年)、『BERLIN』(平凡社、2011年)、『フクシマ』(みすず書房、2018年)、『Aging』(ふげん社、2022年)など。
東京都写真美術館、東京国立近代美術館、横浜美術館、ボストン美術館、ニューヨーク近代美術館、サンフランシスコ近代美術館、カーネギー美術館、カナダ国立美術館、テート・モダン、ポンピドゥー・センターなどに作品が収蔵されている。
 
【関連リンク】
https://fugensha.jp/events/250801tsuchida/

展覧会概要

出展者 土田ヒロミ
会期 2025年8月1日(金)~8月31日(日)
会場名 ふげん社

※会期は変更や開催中止になる場合があります。各ギャラリーのWEBサイト等で最新の状況をご確認のうえ、お出かけください。

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