東京目黒のふげん社で宇田川直寛「家のやり方」が開催される。
宇田川直寛は、1981年神奈川県相模原市生まれの写真家。2004年に中央大学法学部を卒業後、「どうして私は作品を作れるのか」という自らへの問いを発端に、身の回りのさまざまな正しさをめぐる構造に、当事者としてそこにいながら、よそ者のような顔をして向き合い続けている。
また、横田大輔、北川浩司とともに結成したアートユニット「Spew」や、アートコレクティブ「Culture Center」での活動など、アーティストや鑑賞者との協働やコミュニケーションを積極的に取り入れながら、その場で即興的に変化していく手法も、宇田川作品の特徴の一つである。
新作《家のやり方》は、家庭における力関係と、それに対する自身の葛藤や抵抗から出発しています。家事や子育てを担う宇田川は、本展を通して、生活や家の側から写真をどれだけ組み直すことができるかを試みる。
写真を「外部で得た物を引き受け、また差し出す行為」と宇田川は仮置きし、その行為を可能にする私的な場──同時に、外部に緩く開かれ、振り回される関係の場──を「写真的なもの」としている。テーブルやセラミック皿は、そのような「写真的なもの」として登場し、自身の生活にまつわる素材(スニッカーズの袋、家庭菜園の葉、澱粉もちなど)は、その構造のなかで繋がり合いながら、応答の断片として展示に立ち現れる。
これらは、子どもを見る(世話をする)ことと、みる(監視する)こと、食事を「振る舞う」ことと、力を「振る(舞う)/振り回される」ことといった、生活の中で生じる力関係を取り扱いながら、同時に、商業システムや公的機関、アートマーケットといった大きな力の視線に応答を求められる作家像や写真作品の在り方に対して、横滑りしながら向き合う方法を模索するものでもある。
観ること(鑑賞することを含む)・つくること・生活することのあいだを、鑑賞者や作家が行き来するような本展において、制度の内部にいながらも、そこからほんの少し横にずれたやり方を考えてみたい。
会期中は関連イベントとして、写真家・うつゆみことのギャラリートークや、作家自身によるギャラリーツアーも開催予定。
- ■展覧会情報
宇田川直寛「家のやり方」
会期:2025年6月6日(金) 〜6月29日(日)
時間:12:00〜19:00(土日は18:00まで)
休廊日:月曜日
会場:ふげん社
住所:東京都目黒区下目黒5-3-12
■イベント
①ギャラリートーク 宇田川直寛×うつゆみこ(写真家)
日時:2025年6月14日(土)14:00〜15:30
参加費:1,000円(オンライン配信あり)
※トーク終了後にレセプションを開催
※オンライン配信のアーカイブ視聴は2025年7月13日(日)まで
https://fugensha.jp/events/250614talk/
②参加型ギャラリーツアー(無料・申込不要)
日時:2025年6月22日(日)14:00〜14:30
作家と参加者が、「観ること(鑑賞することを含む)・つくること・生活すること」についてインタラクティブに本展について話し合う。
https://fugensha.jp/events/250622guide/
■プロフィール
宇田川直寛(うたがわ・なおひろ)
1981年生まれ、2004年中央大学法学部卒業。主な受賞歴に第8回写真「1_WALL」ファイナリスト(2013)、キヤノン写真新世紀佳作(佐内正史選、2013)「Foam Talent Call 2015」(2015)。主な個展に「Assembly」(QUIET NOISE、東京、2017)、「パイプちゃん、人々ちゃん」(ガーディアン・ガーデン、東京、2018)、「庭の気がかり」(Sprout Curation、東京、2021)、「道具」(flotsam books、東京、2023)など。グループ展に「Foam Talent」(De Markten、ブリュッセル、Beaconsfield Gallery、ロンドン、2015)など海外のほか、国内では「どうにもならない 」(TALION GALLERY、東京、2017)、「バグスクール2024:野性の都市」(BUG、東京、2024)などがある。
【関連リンク】
https://fugensha.jp/events/250606utagawa/
出展者 | 宇田川直寛 |
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会期 | 2025年6月6日(金) 〜6月29日(日) |
会場名 | ふげん社 |
※会期は変更や開催中止になる場合があります。各ギャラリーのWEBサイト等で最新の状況をご確認のうえ、お出かけください。
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