武藤裕也『手のひらに降るもの -What Falls into the Palm-』が刊行された。本書は2025年5月に小伝馬町のショップ&ギャラリー MONO GRAPHY Camera &Artで開催された展示にあわせて制作された。
国内外で様々なテーマで個展を開催している武藤氏だが、今回はモンゴルを訪れ撮影した作品となる。
武藤氏にとってモンゴルで広大な自然や市中の人々との触れ合いは、スマートフォンによって時にあまりにも手軽に消費されている昨今の写真の在り方を考えるきっかけとなった。
本作ではデジタルカメラ「GR」で撮影されたモノクロームのストリートスナップ作品を展示し、その疑問を我々に投げかける。
かつて、旅は未知と出会う行為だった。 あらゆる風景がスマートフォンに収められる現代において、私たちは予定された非日常をなぞっている。
本展「手のひらに降るもの」は、そうした時代へのささやかな問いかけとして生まれた。
モンゴルの旅のなかで、ふいに訪れた孤立。
極限状態のなかで見た風景は、予期せぬかたちで残響するものだった。
本展では、現代における旅や写真との関わりについて静かに見つめ直している。
■プロフィール
武藤裕也(むとう・ゆうや)
1978年生まれ。2009年、自動車設計・開発業務から一転、フォトグラファーとして活動開始。今世紀はインターネットというインフラやスマホのようなデバイスのように生まれたてのMediumが生活様式や価値観を築いている。それらが地位を得るスピード感と民主主義性で成立していることに興味をもっている。流される心地よさと、引っかかるものを。すでに知られていることと、まだ分からないことを。写真は過去を焼き写しするものではなく、未知や隠然を投影するものでありたい。
個展
2016年11月 「unfettered light」(Galerie Planète rouge, Paris)
2016年5月「一滴の継承」 (キヤノンギャラリー 銀座・梅田・福岡)
2015年3月 「Born Good」(Galerie Planète rouge, Paris)
2013年5月 「はじまりの唄」(キヤノンギャラリー銀座・梅田・福岡)
2010年11月 「雪とけて それから」(富士フイルムフォトサロン)
武藤裕也『手のひらに降るもの -What Falls into the Palm-』
ページ数:56ページ
サイズ:225×225mm
価格:2,200円
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