ライカカメラ社(以下ライカ)は今年「ライカI」の誕生から100周年という節目を迎えた。その歴史の豊かさを凝縮した書籍『100 Leica Stories』では、ライカの物語に新たな視点から触れることができる。
この写真集では、ライカが単なるカメラとしての技術的傑作にとどまらず、各時代のさまざまな出来事と深く結びつきながら、その独自の役割を果たしてきたことが描かれている。それはまさに、ライカが世界を目撃し続けた1世紀。数々の記録、スナップショットやシリーズ作品などの写真が、過去100年という時代の肖像を形づくってきた。無数の写真家たちが、それぞれの経験やまなざしを通じて、ライカを現代に欠かせない存在へと押し上げてきた。
本書では、そうした写真家たちの代表作とともに、その背後にあるストーリーを紹介している。語られるのは、写真の裏に隠されたストーリー。たとえば、アンリ・カルティエ=ブレッソンのサン=ラザール駅裏で水たまりを飛び越える男、アレクサンドル・ロトチェンコの『ライカを持つ若い女性』、イルゼ・ビングによるセルフポートレートは、いずれも20世紀を象徴する名作だ。
また、戦争終結を告げるベルリンの帝国議会議事堂を捉えたエフゲニー・ハルディの歴史的写真、植民地時代の終焉を象徴するロベルト・レベックの『剣を奪った男』、アメリカの国家警備隊に花を差し出す若き女性をとらえたマルク・リブーの反戦写真など、記憶に刻まれる歴史的瞬間が本書には詰まっている。
さらには、大惨事や自然災害を報じる勇敢な写真家たちの記録も掲載。クウェートの油田火災を撮影したセバスチャン・サルガド、チェルノブイリからの警告を伝えるマルコ・コルテシ、イラク戦争の現場を記録したドミニク・ナーの作品など、ライカは常にその時代を克明に記録してきた。
ライカとデザイン、ライカと音楽、ライカとハリウッドといったテーマを通じて広がっていく多彩な世界。本書は、ライカの豊かな歴史を構成する無数のモザイクのかけらを詰め込んだ、まさに万華鏡のような一冊だ。ライカのことは知り尽くしていると自負する方でも、きっと驚きの発見が待っている。
華やかな瞬間や時代を切り撮ったプロの写真家の作品に加え、本書を特別にしているのは、多くの人々の個人的な記憶でもある。この大規模なプロジェクトは、前年、ライカコミュニティに向けて「自身の物語や体験を共有してほしい」という呼びかけから始まった。そして寄せられた反響は、実に圧倒的なものだった。家族の中で受け継がれてきたもの、屋根裏で偶然見つけた写真、心の深くに刻まれた一枚 ── 数えきれないほどのエピソードが、この記念写真集の多様性をさらに深め、またライカアーカイブに眠る数々の貴重な資料も、コンテンツを一層豊かなものにしている。
巻末には、100のストーリーに加えて、ライカカメラ社の歴史を網羅した詳細な年表も収録。ブランドを形づくってきた重要な出来事や人物を紹介し、初代ライカから最新モデルに至るまで、すべてのカメラを紹介している。写真や技術に興味がある方、そしてライカの歴史をより深く知りたい方にとって、貴重な資料集となる一冊だ。
『100 Leica Stories』には、アイコニックな写真、世界を動かした瞬間、個人的な体験、知られざる逸話、驚きの発見、技術的なマイルストーン、そしてライカの世界への興味深い洞察が詰まっている。ライカの100年の歴史を、かつてないほど多面的に映し出す写真集だ。
写真集『100 Leica Stories』はライカストア、ライカオンラインストア、ライカブティックおよびライカ正規特約店にて2025年7月発売予定。
- 写真集『100 Leica Stories』
170点以上の図版掲載、国内展開:英語版
仕様:200×260mm、ハードカバー、320ページ
【関連リンク】
https://leica-camera.com/ja-JP/press/100zhounianwojinianshitaxiezhenji100-leica-stories-wofabiao
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