菊地大吾『あの町』が刊行された。
僕は秋田県能代市という町で産まれた。
実家は昭和30年開業で三代続いた写真館三羊堂。
小さいときから地元が好きじゃなかった。
子ども心ながらぼんやりと都会に憧れていた。
大学の進学を期にあの小さい町を離れた。
帰省するたびに、昔行っていた場所が無くなり、思い出が一つずつ失っていく感覚になる。
実家の写真館は、人口の過疎化により客足が遠のき2020年の8月をもって閉店した。
8人の家族が住んでいた実家には父しか残っていない。
実家の倉庫に大量の家族アルバムを見つけた。
祖父が撮った写真
父が撮った写真
黴臭いアルバムの写真が語りかけてくる。
家族が思い描いていた未来とは違うだろう。
それでも残された写真は自分たち家族を細い糸のようなもので繋げてくれている。
僕にできるのはそれを続けることだ。
衰退していく能代に思いを馳せながら。
(2023年1月に開催されたTOTEM POLE PHOTO GALLERYでの展示のステートメントから)
■プロフィール
菊地大吾(きくち・だいご)
1996年 秋田県能代市生まれ
2021年 専門学校東京ビジュアルアーツ写真学科卒業
2022年 GRAF Publishers加入
菊地大吾『あの町』
サイズ:203×254mm
ページ:62ページ
部数:200部
発行:GRAF Publishers
発行年:2023年1月17日
定価:3,000円(税込)
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