頭山ゆう紀「残された風景」©Yuuki Toyama
京都のPURPLEで頭山ゆう紀「残された風景」が開催される。
このシリーズは、「KYOTOGRAPHIE 京都国際写真祭 2023」で、石内都との二人展「透視する窓辺」で一部が発表され、2024年に写真集としても刊行された。
「残された風景」は、亡き祖母の在宅介護の時間に撮影された写真群だ。コロナ禍での介護の日々、ある閉ざされた状況のなか、近所に買い物に出るわずかな時間に切実な息抜きとして撮られたそれらは、瞬間の光と色が射すカラーの風景写真。一方、モノクロ写真は、家から出られなくなった祖母の視線をイメージして撮影された。幻覚が見えるという祖母の視線に寄り添うように、部屋の窓から庭を撮った写真である。
この二つの視点が混ざり合い、「残された風景」は構成されている。
祖母の姿は一枚も写っていない。介護する側と介護される側とが傍にありつつ、異なる時間を過ごしたことが、視点に克明に表れる。残された写真は不在を告げるとともに、残された者にとって、祖母との対話を続けるよすがとなった。
頭山ゆう紀の最初の写真集『境界線13』(2008年)には、友人を亡くしたことへの喪失感が流れていた。写真を撮ることで息をし、喪失と向き合い、不在のひとを理解していく過程。
いま「残された風景」も喪失を超え、人が人をケアすること、つづいていく対話へと開かれている。
- ■展覧会情報
頭山ゆう紀「残された風景」
会期:2025年3月7日(金)~4月6日(日)
時間:13:00〜19:00
休廊日:月曜日、火曜日
会場:PURPLE
住所:京都市中京区式阿弥町122-1 式阿弥町ビル3階
■写真集
頭山ゆう紀『残された風景』
発行:赤々舎
発行年:2024年
デザイン:須山悠里
仕様:210×152mm、ソフトカバー、176ページ
定価:4,500円+税
■プロフィール
頭山ゆう紀(とおやま・ゆうき)
1983年千葉県生まれ。東京ビジュアルアーツ写真学科卒業。
生と死、時間や気配など目に見えないものを写真に捉える。
自室の暗室でプリント作業をし、時間をかけて写真と向き合うことで時間の束や空気の粒子を立体的に表現する。主な出版物に『境界線13』(赤々舎 2008)、『さすらい』(abp 2008)、『THE HINOKI Yuhki Touyama 2016-2017』(THE HINOKI 2017)、『超国家主義-煩悶する青年とナショナリズム』(中島岳志 著、頭山ゆう紀 写真/筑摩書房 2018)がある。
【関連リンク】
https://purple-purple.com/exhibition/scenes-of-absence/
出展者 | 頭山ゆう紀 |
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会期 | 2025年3月7日(金)~4月6日(日) |
会場名 | PURPLE |
※会期は変更や開催中止になる場合があります。各ギャラリーのWEBサイト等で最新の状況をご確認のうえ、お出かけください。
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