©Keizo Motoda
目黒のふげん社にて、元田敬三個展「SHORT HOPE」が開催される。本展は、新刊写真集『SHORT HOPE』(ふげん社)の刊行を記念した展覧会だ。
元田敬三は、1971年大阪生まれの写真家。1995年に大阪ビジュアルアーツ専門学校へ入学し、在学中の1996年に第33回準太陽賞を受賞した。1997年、大阪新聞に路上で出会った人の写真とエッセイを1年間連載したことが制作の源となり、その後も路上を舞台に心動かされる人や光景を撮り続けている。
本作は、2022年から2024年まで、居住地の神奈川県から大阪に夜行バスで通いながら、「釜ヶ崎」や「あいりん地区」と呼ばれる大阪市西成区北部にある日雇い労働者の街(ドヤ街)を、モノクローム・フィルムでスナップした作品だ。

©Keizo Motoda
元田は「いつも静かに存在を消すようにじっと」しながら、この街で心を動かされた瞬間にシャッターを押していった。そこに写るのは、背に龍と虎の刺青が入った女装男性、大衆演劇の白塗り俳優、おもちゃのピストルを片手にした長髪の男性、自身の木彫り作品に囲まれた部屋に腰掛ける老人など、一筋縄では行かないこの舞台を彩る登場人物たち。また、ピンク映画館に書かれたキャッチコピー、労働者による手書き看板のアジテーションなど、街中に現れる強い言語表現も目につく。
その視覚的な奇抜さや近寄りがたさと同時に、この街には、独特のユーモアのあるコミュニケーションと、人と人とがゆるく繋がる場がある。三角公園に設置された街頭テレビにどこからともなく人が集まる光景に象徴的ですが、商店街が子どもたちのキャッチボールの遊び場になったり、道端で将棋が始まったり、ギターやアコーディオン片手に誰かが歌い出したらコンサート会場になったり、多目的に人々が集まる「広場」が至る所にこの街には存在する。その風景は、できるだけ他者との摩擦を引き起こさないように設計された現代の都市部において、特異に映るだろう。
長らく東京で作品制作を続けてきた元田が、約30年ぶりに自身の写真の原点とも言える大阪で撮影を始めた本作では、「釜ヶ崎に来ると毎回故郷に帰ってきた様な懐かしい気持ちの中にいることができた」という。元田は、まるでタバコの火が消えるまでの時間のように短い人生の中で、その「余暇」を楽しみながら生きる人々を、写真というメディアに永遠に残したいと願った。残された写真からは、「この街と人が今日もどこかに存在する」という小さな希望のような光が、私たちの心の中に微かに灯るのを感じることができるだろう。

©Keizo Motoda
会期中には、写真家の大西みつぐさんをゲストに招いてのギャラリートークを開催する。
- ■展覧会情報
元田敬三 個展「SHORT HOPE」- 会期:2026年3月6日(金)〜3月29日(日)
- 時間:12:00〜19:00(土日は18:00まで)
- 休廊:月曜日、火曜日、祝日(3月20日)
- 会場:ふげん社
■関連イベント
①ギャラリートーク
元田敬三×大西みつぐ(写真家)
日時:3月14日(土)14:00〜15:30
会場:ふげん社
参加費:1,200円(オンライン配信あり)
※オンライン配信のアーカイブ視聴は2026年4月12日(日)まで
②ギャラリーガイドツアー
日時:3月21日(土)14:00〜14:30
無料・申込不要
■写真集情報
元田敬三『SHORT HOPE』
発行:2026年3月5日
発行所:ふげん社
寄稿:笠原美智子
デザイン:宮添浩司
サイズ:A4変型
頁数:192頁
写真点数:176点
定価:税込6,600円(本体価格6,000円)

■プロフィール
元田 敬三(もとだ・けいぞう)
1971年 大阪生まれ
1994年 桃山学院大学経済学部卒業
1996年 第33回準太陽賞受賞
1997年 ビジュアルアーツ専門学校大阪卒業
主な出版物に『渚橋からグッドモーニング』(ふげん社、2021)、『轟』(蒼穹舎、2019)、『SUNDAY HARAJUKU』(omoplata by Super Labo、2012)、『青い水』(ワイズ出版、2001)など。
現在、神奈川県逗子市在住。大阪芸術大学客員教授、専門学校東京ビジュアルアーツ・アカデミー非常勤講師を務める。
【関連リンク】
https://fugensha.jp/events/260306motoda/
| 出展者 | 元田敬三 |
|---|---|
| 会期 | 2026年3月6日(金)〜3月29日(日) |
| 会場名 | ふげん社 |
※会期は変更や開催中止になる場合があります。各ギャラリーのWEBサイト等で最新の状況をご確認のうえ、お出かけください。


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