頭山ゆう紀「In fog」©Yuuki Toyama
東京中野のスタジオ35分で、頭山ゆう紀 写真展「In fog」が開催される。
2023年に群馬県立近代美術館で発表された本作品は群馬県にある榛名湖で撮影された。
古くは『万葉集』や『古今和歌集』の中で「伊香保の沼」として詠まれた榛名湖は多くの和歌や文芸作品の題材になってきた。
榛名湖の湖畔には「御沼龗(みぬまおかみ)神社」が祀られていて、これは戦国武将の妻(姫)が榛名湖に入水して転生した龍神(または蛇神)を祀っているとされている。この神社の近くに1ヶ月ほど滞在していた頭山はこの伝説に惹かれ、榛名湖の水中の撮影を行った。
滞在先に暗室を作り、そこで自家現像・プリントをしながら出来上がったのが本作品となる。また本作は美しい蛇腹製本の写真集としても纏められた。
榛名湖アーティストレジデンスに滞在する直前に母が突然亡くなった。
普段通りに過ごして多様な場面で母を想うより、環境を変えて生活をした方が心を誤魔化せると思い、母の死を受け入れないまま滞在を始めた。
榛名湖は霧が広がる静かな景色だった。
榛名湖には木部姫や渋川公夫人が入水し大蛇や竜になるという伝説がある。
湖の中の生と死の間のようなものが見たいと思い、水中カメラで湖の中を撮影した。
ネガ現像、暗室でのプリント作業と時間をかけて写真と向き合い、湖の中を立体的に粒子で表していく。
写真は目に見えない気配を写し、母の不在を現実にする。
時間はただ過ぎていき、母との記憶は鮮明になる。
榛名湖の霧の中、湖を眺めながら母の不在と過ごした。
■プロフィール
頭山ゆう紀(とうやま・ゆうき)
1983年千葉県生まれ。東京ビジュアルアーツ写真学科卒業。
生と死、時間や気配など目に見えないものを写真に捉える。自室の暗室でプリント作業をし、時間をかけて写真と向き合うことで時間の束や空気の粒子を立体的に表現する。
主な出版物に『境界線13』(赤々舎 2008)、『さすらい』(abp 2008)、『THE HINOKI Yuhki Touyama 2016-2017』(THE HINOKI 2017)、『超国家主義-煩悶する青年とナショナリズム』(中島岳志 著、頭山ゆう紀 写真/筑摩書房 2018)がある。
http://yuhkitouyama.com
■展覧会情報
頭山ゆう紀 写真展「In fog」
会期:2025年1月22日(水)〜2月22日(土)
時間:16:00〜22:00 1drink order
休廊日:日曜日・月曜日・火曜日
会場:スタジオ35分
住所:東京都中野区上高田5-47-8
【関連リンク】
https://35fn.com/exhibition/touyama-yuhki-photography-exhibition-in-fog/
出展者 | 頭山ゆう紀 |
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会期 | 2025年1月22日(水)〜2月22日(土) |
会場名 | スタジオ35分 |
※会期は変更や開催中止になる場合があります。各ギャラリーのWEBサイト等で最新の状況をご確認のうえ、お出かけください。
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