東京蔵前の空蓮房で小原真史コレクション「博覧会曼荼羅」が開催される。
1851年にロンドンで世界初の万博が開催され、大成功を収めると、それに続けとばかりに1855年にフランスでもパリ万博が開催され、世界中に広がっていきました。ロンドン万博が「Great Exhibition」であったのに対し、パリ万博は「Exposition Universelle」と名付けられました。「universelle」という言葉には、単に国際的な祭典というだけではなく、地球上に存在する「万物」を集めて体系的に展示するという意味が込められており、来場者は展示物を通じてまだ見ぬ世界を把握しようと努めました。会場には西洋列強諸国の産業製品だけでなく、植民地や非西洋諸国の建築物や工芸品、動植物が一堂に会し、果ては人間や村までもが展示されました。その意味で万博とは、世界をひとところに集めることで、人々に新たな価値や世界認識を与えようとする試みだったと言えます。
後発帝国主義国として船出した日本でも殖産興業推進のため博覧会を開催しようとする動きが生まれ、1877年には内務省が主導して上野公園で第一回内国勧業博覧会が開催されました。内国勧業博覧会は第五回で終わりを迎えますが、その後も様々なテーマの博覧会が日本の地方都市へと伝播していきました。博覧会の開催は、博物館・美術館の建設への機運を高め、世界を集めるという役割は、ミュージアムが担うようになります。上野の国立博物館や吹田の国立民族学博物館には、博覧会の遺産が引き継がれています。
博覧会場に遠隔地の村々をそのまま再現した〈ネイティヴ・ヴィレッジ〉の中には、世界各地の「人種」を序列化したり、植民地宗主国の力や正当性を誇示しようとする意図を持ったものも含まれていましたが、概して来場者のエキゾチシズムを満たすエンターテイメントとして人気を博しました。
遠隔地の空間を切り取って別の場所で再現する役割は、次第に写真や版画、映画のような複製技術にとって代わられ、植民地が独立していく20世紀の半ばには、〈ネイティヴ・ヴィレッジ〉は、博覧会場から姿を消しました。博覧会土産として人気を博した写真や絵葉書などは、世界の複製物のさらなる複製物だと言えるでしょう。これらを通して「博覧会の時代」をご覧ください。
小原真史
無明にも人間は人間であることを知らず自明にも欲を露呈し続けているのかもしれない。
空蓮房
■展覧会情報
小原真史コレクション「博覧会曼荼羅」
会期:2024年11月13日(水)~12月6日(金)
時間:10:00〜15:00(水・木・金のみ)
会場:空蓮房
住所:東京都台東区蔵前4-17-14
* E-Mailでの事前予約制。日時・人数を予約のこと(前日、当日の予約は遠慮すること。またいくつか候補を挙げること)
* 1時間単位で予約を承る。空間内へは1人ずつ。(1枠2人くらいまで)
* 空間内では土足厳禁のため靴下を着用。
* 土日曜日は法務のない場合のみ予約を承る。
* 賽銭制
【関連リンク】
https://kurenboh.com
出展者 | 小原真史 |
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会期 | 2024年11月13日(水)~12月6日(金) |
会場名 | 空蓮房 |
※会期は変更や開催中止になる場合があります。各ギャラリーのWEBサイト等で最新の状況をご確認のうえ、お出かけください。
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