山上新平「KANON」©Shinpei Yamagami
東京目黒のPOETIC SCAPEで山上新平「KANON」が開催される。
本作は同じくPOETIC SCAPEで開催した「The Disintegration Loops」(2019)と「liminal (eyes)」(2023)の二つのシリーズの間に撮影されたものだ。初期のモノクロ作品三部作(「EQUAL」「SOW」「SPECTRUM」)とカラー作品「The Disintegration Loops」の制作において、足元にある山の木々など「命ある静物」と向き合い、少しずつ眼差しを変えながら写真を撮り続けてきた山上は、ある時その眼差しが臨界点を迎えたような感覚になったという。そこで、眼差しを新しいフェーズに持ち込むために「動的を見つめる」ことを次なる主題に掲げる。そうして選んだ被写体が蝶だった。
しかし、不規則な動きをする蝶を追いかける撮影は困難を極めた。精神的、肉体的に消耗する中で山上は、これまでの自身の写真を分析し、これまでの静的な被写体をじっと凝視する眼差しを壊しつつ、試行錯誤を繰り返す。その苦闘の末に「見る質として、捕まえようと凝視する眼差しから捕まえない触れるだけの眼差し」というフェーズが生まれたという。こうして獲得した眼差しが、次作「liminal (eyes)」へとつながってゆく。
山上は「触れるだけ」の眼差しを獲得する過程で、写真家が被写体を主体的に見ようとすることを放棄し、いかに見るかはいかに見ないかという客体に徹することを選択した。そして相手をあるがままを受け入れていくことで見えてくる世界もあると考えるようになった。
「触れるだけ」の眼差しと、あるがままを受け入れる姿勢によって生まれた「KANON」は、ステレオタイプな像から解放された蝶の「動的な命」の美しさに満ちている。
- ■展覧会情報
山上新平「KANON」
会期:2024年5月18日(土)~6月30日(日)
時間:13:00〜18:00(6月8日はイベントのため16:30まで)
アポイント営業:月曜、火曜、水曜
会場:POETIC SCAPE
住所:東京都目黒区中目黒4-4-10 1F- ■ギャラリートークイベント
登壇:山上新平 × 幅允孝× 町口覚
日時:2024年6月8日 17:00〜18:30
会場:POETIC SCAPE
参加費等:1000円(トーク終了後ミニパーティあり)要予約、定員20名
▼申し込み
https://docs.google.com/forms/d/1nwr1ryap0BgVtza2FHPVdhTspSqfkL4RovTmSInpq1M/viewform?edit_requested=true
【関連リンク】
https://www.poetic-scape.com
出展者 | 山上新平 |
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会期 | 2024年5月18日(土)~6月30日(日) |
会場名 | POETIC SCAPE |
※会期は変更や開催中止になる場合があります。各ギャラリーのWEBサイト等で最新の状況をご確認のうえ、お出かけください。
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