吉野英理香『JOBIM』が刊行された。
発行元の「PAISLEY」は吉野自身が主催するレーベル。 2022年『WINDOWS OF THE WORLD』に続いて今作で2冊目となる。
一緒にいるだけで幸福感と知覚の扉を開けてくれることから、私が好きなボサノヴァのアントニオ・カルロス・ジョビンから名前を付けました。手のひらに収まるほどの小さな写真は、日常の共鳴した時に生まれる断片を記録したものです。私の愛する小さなジョビンとともに。
─吉野英理香
〈JOBIM〉を見たとき、その画面からあふれ出んばかりの、満ち足りた空気と、何かを強要されることなく「ただそこにいるだけで十分」だという安らかな雰囲気が、何かが存在することの意味と美術の存在が、いたってシンプルな理由であることを、私にもう一度思い出させてくれた気がした。
─武内厚子によるテキストより抜粋
■プロフィール
吉野英理香(よしの・えりか)
1970年埼玉県本庄市生まれ。1989年から写真の制作を開始し、1994年に東京綜合写真専門学校を卒業。在学中には写真家・鈴木清らの影響を受けながら制作を続け、90年代半ば以降はいわゆるストリート・フォトグラファーとして、多数のモノクロ作品を発表する。2010年からカラー作品の制作を開始。都心から関東北部で撮影される作品は、見る者をその独特の作品世界に引き込む新たな魅力を湛えている。主な個展に、「ICE Echo Wave」銀座ニコンサロン(東京、1995年)、「Enoshima Zero Meter」Works H.(神奈川、1996年)、「It’s a New Day」銀座ニコンサロン(東京、1998年)、「Max Is Making Wax」ビューイングルーム四谷 ユミコ チバ アソシエイツ(東京、2001年)、「Eleanor Rigby」横浜市民ギャラリーあざみ野(神奈川、2008年)、「JUST LIKE ON THE RADIO」Port Gallery T(大阪、2011年)、「Digitalis」タカ・イシイギャラリー フォトグラフィー/フィルム(東京、2012年)、「NEROLI」タカ・イシイギャラリー フォトグラフィー/フィルム(東京、2016年)、「MARBLE」タカ・イシイギャラリー フォトグラフィー/フィルム(東京、2018年)、「WINDOWS OF THE WORLD」amanaTIGP(東京、2022年)など。主なグループ展に、「Eleven & Eleven: Korea Japan Contemporary Art 2002」省谷美術館(ソウル、2002年)、「Black Out: Contemporary Japanese Photography」ローマ日本文化会館(ローマ、2002年、以後パリ、東京に巡回)、「Nonchalant」4-Fギャラリー(ロサンゼルス、2004年)、「My Flower」タカ・イシイギャラリー フォトグラフィー/フィルム(東京、2021年)、「TOPコレクション セレンディピティ 日常のなかの予期せぬ素敵な発見」東京都写真美術館(東京、2023年)など。2018年に第34回写真の町東川賞新人作家賞および第18回相模原市総合写真祭フォトシティさがみはら さがみはら写真新人奨励賞受賞。東京都写真美術館に作品が収蔵されている。
- 吉野英理香 『JOBIM』
発行:PAISLEY- 発行年:2023年
仕様:H182×W128mm、ハードカバー、64頁、図版53点
デザイン : 服部一成
テキスト : 武内厚子、吉野英理香(英語、日本語)
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