top 本と展示写真集紹介外山亮介『導光 ー花は盛りにー 』

外山亮介『導光 ー花は盛りにー 』

2024/06/11
髙橋義隆

外山亮介『導光 ー花は盛りにー』が刊行された。
 
外山はTVCM制作会社、スタジオ勤務、NGOのカメラアシスタントを経て、現在はフリーランスとして商業写真と並行して作品制作も行なっている。
 
2008年に同世代の伝統工芸を継ぐ職人のポートレート撮影を開始した外山は、手描き友禅染の家に生まれた生い立ちを探るように「自分の選ばなかった道」をあゆむ伝統工芸の職人を写すべく、日本各地を巡る旅にでた。
 
伝統工芸の職人を撮影する旅をはじめて15年、出会った様々な職人を写真に収めたそれらの多くの経験から、写真とは何かを問いただし、写真の本質を模索する。
 
職人が生み出すような「モノ」としての写真は可能なのか。
その思考から、外山は写真黎明期の技術を取り入れ作品制作を行っていったという。
 
参考までに2022年に本書の刊行にあわせて行われた展示のステイトメントを下記に引用する。

 

■ステートメント
本展示では、このたび発刊された「導光ー花は盛りにー」の内容をなぞる形で、
2008年の「種」という作品から現在までの、試行錯誤の中で生み出された実験的な写真を中心に展示する。
作品として成立する前の写真には、見るべきものなどないのだろうか。
「花は盛りに 月は隈なきをのみ見るものかは」徒然草の一節のように、
未成熟なものから想像を膨らませる鑑賞の仕方があってもいいのではないか。
 
本展示は、デジタル写真が主流になった現代において、
削ぎ落とされてしまった写真の制作過程に焦点を置いた展示である。

 

■プロフィール
外山亮介(とやま・りょうすけ)
1980年東京生まれ。写真家。伝統工芸の職人を撮影したことをきっかけに写真技法の研究をはじめ、その作品をまとめた「導光」でKYOTOGRAPHIE 2020 に参加。北陸新幹線に関する作品「トンネル」展。『導光』が初出版作品。同作品で「高円寺tata」「京都・誠光社」にて巡回展示が決まっている。

 

  • 外山亮介『導光 ー花は盛りにー』
  • 発行:NEUTRAL COLORS
  • 装丁:加納大輔
    編集:加藤直徳 末次佑希恵
    仕様:H190×W148㎜(束幅44㎜)、580頁、PUR綴、並製
    印刷:{NC}Ogikubo 八紘美術
    製本:八紘美術
    価格:3500円+税

 

【関連リンク】
https://tata-books.com/gallery/317/

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