鷹野隆大『KASUBABA 2011–2020』がブックエンドより刊行された。
前作『カスババ』(大和プレス、2011)以降に撮影された写真を収録している。「カスババ」とは、カスのような場所を略した「カスバ」の複数形として、作者が作った造語だ。
どこかで見たことのあるような、既視感のある街の景色のスナップ群。作者が日常の中で、歩行しながら、「写欲を萎えさせるどうしようもなくつまらない場所」=「カスバ」を撮影している。
「イメージに良いも悪いもなく、全てに魂が宿っている」と東京写真美術館での展覧会オープニングで語り、全ての事象に等しく目を配り、写真にする作家のスタンスが一冊を通して現れていて、風通しよく心地よい。
マーク・フューステル氏による論考と、作家自身による「イメージ」をめぐる所感が収録されている。
「目の前には本物がある。ゆえに直接それを眺めれば済む話なのに、なぜ写真にすると面白く感じるのか。当時はわからなかった。しかしいま改めて考えてみると、当たり前に目の前にあるものが機械的に虚構化されて現れる。その転換が面白かったのである。」
(鷹野隆大「KASUBABA 2:2011-2020」より)
- 鷹野隆大『KASUBABA 2011–2020』
発行年:2025年4月24日
発行:ブックエンド
サイズ:270×223mm- ページ数:192ページ
デザイン:折原 滋
印刷設計:渡辺穣(日本写真印刷コミュニケーションズ)
言語:日本語、英語- エディション:限定850冊(全冊エディション番号付き)
- 価格:5,280円(税込)
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