©Lin Shihyen
京都のPURPLEにて台湾出身の写真家・林詩硯「針の落ちる音」が開催される。
自傷行為と向き合うひとりひとりの存在を写しとったポートレートは、世界に通う生の揺らぎと静かな力に満ちている。
「痛みの唯一の共通点とは、他人と共有できない体験である。
しかし、その共有できない痛みから生まれた孤独感はみんな同じだ。」と韓国の人権活動家のオムギホ氏は言う。
私が自傷行為を始めて14年経った。自傷癖があるわけではないが、いまだにやってしまう時がある。両親や精神科の先生含めた周りの人たちからは、
それを知られる度に「死にたいのか?」と聞かれていた。こうした問いに当時の自分ははっきり反論することはできなかったが、
その言葉に対して常に違和感を覚えていた。その時の私は死への恐怖を覚えるために自傷を始め、裂いた肌色から赤色が流れてきた時、
本能的に怯えた。
その反応の底には、きっと生への欲求があるだろう。
気づいたら30歳を過ぎてしまい、今考えてみれば、命というのは、私が若い頃に思っていたよりずっと強いものなのだ。
その色んな形の強さをこの目で見たかった。感情が潮のように日々満ち引き、それでも時間の流れはいつも静かで、風景の中に光っている。
写真になったら、生きている証になれるだろうか。
いつか、その共有できない痛みから生まれた孤独感が和らぐように。
林詩硯
展覧会に合わせ赤々舎より同名写真集を刊行。また会期中には、赤々舎代表の姫野希美とのトークイベントを開催する。8年前、台湾で初めて出会った林詩硯と姫野は、このシリーズによって再会し写真集を編むことになった。その時間をたどりながら、林にとっての写真を紐解き、ポートレートについて語り合う。
- ■展覧会情報
林詩硯「針の落ちる音」
会期:2024年3月27日(水)~4月14日(日)
時間:13:00〜20:00(土日:11:00〜19:00)
休廊日:日曜日、月曜日
会場:PURPLE
住所:京都市中京区式阿弥町122-1 式阿弥町ビル3階
■トークイベント
日時:2024年3月30日(土)14:00〜
場所::PURPLE(30名、要予約)
料金::1,000円- https://purple-purple.com/event/1810/
【写真集】
林詩硯『針の落ちる音』
発行:赤々舎
ブックデザイン:祖父江慎+根本匠(コズフィッシュ)
仕様:H245×W225mm、120頁、ハードカバー
定価:5,000円(税別)
柔らかな自然光のもと、静かに照らし出されるひとりと、身辺の光景。
影の混じる奥行きと、空気の立体感が印象的な写真は、私たちが見ることによってはじめて存在が生起してくるようです。
時間と共にある傷跡。命から生じるいびつさ。生の揺らぎ。
日常のなかの痛みは光によって息づき、ひとりひとりがその孤独においてつながりを帯びることを、林の写真は語りかけます。
向き合って撮ることの、その眼差しの可能性に打たれる初写真集。
(『針の落ちる音』書籍概要より引用)
■プロフィール
林詩硯(Lin Shihyen)
1991年台湾台北生まれ。東京藝術大学美術研究科先端藝術現科卒業。身体と精神の関係性に関心を持ち、ポートレイトを中心とした作品を制作。2023年第3回「PITCH GRANT」受賞。主な個展に「針の落ちる音」(Totem Pole Photo Gallery、2022年/ニコンサロン、2024年)。
【関連リンク】
https://purple-purple.com/exhibition/lin2024/
出展者 | 林詩硯 |
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会期 | 2024年3月27日(水)~4月14日(日) |
会場名 | PURPLE |
※会期は変更や開催中止になる場合があります。各ギャラリーのWEBサイト等で最新の状況をご確認のうえ、お出かけください。
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