「Study:大阪関西国際芸術祭」(主催:株式会社アートローグ、独立行政法人日本芸術文化振興会、文化庁)は2025年に世界に冠たるイノベーティブなアートフェスティバル「大阪関西国際芸術祭(仮)」の開催を目指し、「アートとヒト」「アートと社会」の関係性や、アートの可能性を集合知型で検証し学ぶ(Studyする)ためのプレイベントだ。
第3回目となる今回は、大阪市内各所での展覧会に加えて、アートの販売プログラム「アート&クリエイティブフェア」(グランフロント大阪 コングレコンベンションセンター)や、クリエイティブクラスのスタートアップを対象としたビジネスコンテスト「StARTs UPs」も同時開催。アートを「観る」「買う」「学ぶ」ための多彩なプログラムを実施する。
【STREET3.0:ストリートはどこにあるのか】
Study:大阪関西国際芸術祭 vol.3のメイン会場のひとつである船場エクセルビルにて、ストリートとアートの関係を再考し、危機の時代におけるストリートを模索する展覧会『STREET 3.0:ストリートはどこにあるのか』を開催する。
会場:船場エクセルビル(大阪府大阪市中央区久太郎町3丁目2−11)
1. テーマ「香水とアート」
アーティスト:会田誠 / Algorythmic Perfumery / ETAT LIBRE D'ORANGE (エタ・リブレ・ド・オランジェ) / ZOOLOGIST / STORA SKUGGAN / 田村友一郎 / Disconoma (トマ・ヴォティエ + ファニー・テルノ) / トモトシ / NEANDERTAL / MOCAF / BYNAM / 長谷川愛 / FISHKOM / II / YAP
キュレーター:緑川雄太郎
アート香水の最先端である「Art Perfumery(アートパフューマリー)」を紹介する展覧会。アートパフューマリーはそれぞれ特殊な空間をつくっている。「アート」、「香水」、「ストリート」という、一見遠い組み合わせが出会う場所、そして、多様なアートパフューマリーの世界にアクセスするための道の名前が『AP』。
2. テーマ「GRAFFITI IN OSAKA」
アーティスト:VERYONE、®寫眞
キュレーター:沓名美和
大阪には東京や他の都市とは異なるグラフィティの文化がある。「GRAFFITI IN OSAKA」というテーマを立て、長年、大阪のグラフィティシーンを観察し続けてきたVERYONEと®寫眞によるアーカイブ資料と作品を展示する。
3. テーマ「ストリートとUSB」
アーティスト:Aram Bartholl(アラン・バーソル)
キュレーター:緑川雄太郎
アラン・バーソルはデジタルワールドに関心を寄せ続けている。それは、「ソーシャルネットワークやオンラインプラットフォーム、そしてデジタル情報の普及戦略とつながるメディアや公共経済とわたしたちの関わりを問うこと」である。今回は、STREET 3.0において『Dead Drops』(2010-)がSTREET 2.0として展示される。
4. テーマ「ストリートとGoogle Map」
アーティスト:Simon Weckert(サイモン・ウェッカート)
キュレーター:緑川雄太郎
サイモン・ウェッカートはデジタルワールドに関心を寄せている。それは、「現在の社会的観点が反映される電子工学やコードに関するあらゆるもの」だ。今回はSTREET 3.0においてSTREET 2.0として『Google Maps Hacks』(2020)が展示される。
5. テーマ「アートワールドとアルゴリズム」
アーティスト:AQV-EIKKKM
キュレーター:沓名美和、緑川雄太郎
今回が初展示となるAQV-EIKKKMは、データとアートの関係を考察し、アートの価値を問うアーティスト。アートの価値決定におけるキャピタリズムやデモクラシー、コンティンジェンシーの役割を読み解くインスタレーションを発表予定。独自開発アルゴリズムが、アーティストたちの相関関係に内在する評価を紐解き、可視化する。データを通じてアートワールドはどう見えるのだろうか。
<STREET3.0関連展>
6.テーマ「道を外した書」
会場:ICHION CONTEMPORARY B2(大阪府大阪市北区野崎町9-10)
アーティスト:井上有一、山本尚志、ハシグチリンタロウ、グウ ナカヤマ、日野公彦
キュレーター:沓名美和
本展はストリートとアートの関係を再考する展覧会として立ち上がった「STREET3.0:ストリートはどこにあるのか」と連携する展覧会。既存の書の領域を超え、具体美術と同時代の重要なアートとして国際的に認知されている井上有一と、彼に続きさらなる挑戦的な表現を模索する4名の現代書家を取り上げ、視覚表現として進化を続ける書道、その「道」がどこへ向かっているのかを探る。
<STREET3.0関連展>
7. テーマ「新しい道をつくる」
アーティスト:石谷岳寛 + Chim↑Pom from Smappa!Group
キュレーター:緑川雄太郎
STREET 3.0の関連展として、石谷岳寛 + Chim↑Pom from Smappa!Groupによる展覧会『Artchive of Street』を開催。2022年に森美術館で開催された回顧展『ハッピースプリング』における『道』のドキュメント映像を石谷岳寛が手がける。合わせて、キタコレビル(2017)、国立台湾美術館(2017-18)での『道』の記録などを通して、彼らが築いてきた『道』の軌跡を辿る。
※この関連展は2025年日本国際博覧会の後援はお願いしておりません
【リサーチプロジェクト「後継者問題(仮)」】
https://www.osaka-kansai.art/exhibiton/program/kokeisyamondai
会場:kioku手芸館たんす(大阪市西成区山王1丁目11-5 元・鈴木タンス店)
アーティスト:西尾美也、NISHINARI YOSHIO
西尾美也
1982年奈良県生まれ。美術家。東京藝術大学美術学部先端芸術表現科准教授。装いの行為とコミュニケーションの関係性に着目したプロジェクトを国内外で展開。ファッションブランド「NISHINARI YOSHIO」を手がける。近年は「学び合いとしてのアート」をテーマに、様々なアートプロジェクトやキュレトリアルワークを通して、アートが社会に果たす役割について実践的に探究している。共著に『ケアとアートの教室』(2022年、左右社)など。
NISHINARI YOSHIO
美術家の西尾美也が、西成区山王にある創造活動拠点「kioku手芸館たんす」に集まる地域の高齢女性たちとの共同制作により、2018年に立ち上げたファッションブランド。地域の女性たちによる予想を裏切るアレンジや発想の飛躍、西尾が考えるイメージとの齟齬など、予期せぬズレをコンセプトの一つに、作業着=日常を生きるための服を提案している。「NISHINARI YOSHIO」の洋服は、メンバーが西成に暮らす身近な人を想定し、その人のためのジャケットやパンツをデザインするというお題から作られたもの。「たんす」に集まる不要になった生地を活用し、1点ごとに布違いで制作していることも特徴のひとつである。これまでに阪急メンズ大阪(2018)、あべのハルカス(2019)、西武池袋本店(2022)、仙台フォーラス(2022)などの商業施設での展示販売のほか、大阪関西国際芸術祭(2022)、せんだいメディアテーク主催「最後のファッション」(2022)で写真展を実施するなど、アートとファッションの領域を横断しながら新たな表現領域を開拓している。
【釜ヶ崎アーツセンターあかんかな構想】
https://www.osaka-kansai.art/exhibiton/program/kamagei-program
会場:ゲストハウスとカフェと庭・釜ヶ崎芸術大学(大阪府大阪市西成区太子2丁目3−3)、船場エクセルビル 6F(大阪府大阪市中央区久太郎町3丁目2−11)
アーティスト:釜ヶ崎の人々、釜ヶ崎芸術大学運営者たち・関わった人々、旅人など
釜ヶ崎芸術大学
2012年より大阪市西成区釜ヶ崎にて開講。NPO法人こえとことばとこころの部屋(ココルーム)が運営する。釜ヶ崎の街を大学にみたて「学び合いたい人がいれば、そこが大学」として、地域のさまざまな施設を会場に、天文学、美学、合唱など、年間約80〜100講座を開催する。近年は釜ヶ崎に暮らす人たちの高齢化により、記憶や記録に注力しながら「であいと表現の場」として活動する。近隣の高校や中学校への出張講座や大阪大学との協働講座も実施。2019年、ペシャワール会で井戸を掘ってきた蓮岡氏の協力を得て、釜ヶ崎の元日雇い労働者に教わりながら、こどもや旅人、難民など700人とスコップで井戸を掘った。JR・南海電車の新今宮駅前のあいりん労働福祉センターの建て替えに伴い、この場所に、「釜ヶ崎アーツセンター」を妄想している。
展覧会・公演など:ヨコハマトリエンナーレ2014、アーツ前橋「表現の森」(2016)、鳥の演劇祭(2016)、大岡信ことば館「釜芸がやって来た!」(2017)、るんびにい美術館「えぇ街やで。ここは〜釜ヶ崎芸術大学の日々」(2018)、さいたま国際芸術祭(2019)、大阪関西国際芸術祭(2022)など。
【プロダクション・ゾミア】
会場:花園北(大阪市西成区花園北2-13)、日の出湯はなれ こいさん路地 長屋(大阪市西成区山王2-7-8)
アーティスト:キム・ジェミニ、常木理早
キム・ジェミニ
海運会社を退職後、ロンドンで都市論とアートの実践を学ぶ。 韓国の仁川に戻ると、地域社会と関わる機会を得て、自身にとって最も身近なテーマについて研究を始めた。朝鮮戦争、郊外での生活、そして農業。 韓国だけでなく、日本やベトナムなど、広く知られていない戦争の物語をつなぎ合わせることを目指し、地元の活動に積極的に参加している。 彼の最近の芸術的研究は、アジアの国々における植民地以後の産業、つまり機械工場との貿易に焦点をあてている。このテーマは、郊外に住む彼の個人的な経験と共鳴している。
常木理早
1982年群馬県生まれ。ロンドン芸術大学チェルシー・カレッジにて絵画を学び、2009年グラスゴー芸術大学にてMFA修了。農業や劇場あるいは電車内といった特定の環境下における道具とそこから 導かれる動作に着想を得て、日常に溢れている一見関連のないモノとイメージを組み合わせて立体 作品やインスタレーションを制作している。主な展覧会に、「黄金町バザール」(2019/ 2020/ 2021、 神奈川)、「Causality and synchronicity」(2019、Then Container、東京)、「OUT OF BOUNDS」( 2019、Bloc Projects、イギリス)など。
- ■展覧会情報
Study:大阪関西国際芸術祭 vol.3 開催概要
芸術祭全体会期:2023年12月23日(土)~12月28日(木)
▼芸術祭展覧会
会期:2023年12月23日(土)~12月28日(木)
会場:ルクア イーレ、船場エクセルビル、中之島エリア、西成エリア、など大阪市内各所(決定次第、情報公開していきます)
▼アート & クリエイティブフェア
プレビュー:2023年12月22日(金)13:00〜19:00
一般公開:12月23日(土)11:00〜19:00、12月24日(日)11:00〜16:00
会場:グランフロント⼤阪北館B2F コングレコンベンションセンター
▼クリエイティブビジネスコンテスト「StARTs UPs(スターツアップス)」
ファイナリスト・ピッチ:12月23日(土)(午後予定)
会場:グランフロント大阪北館B2F コングレコンベンションセンター
■入場料
価格:一般:3,000円(前売り:2,500円)
学生:2,000円(前売り:1,500円)※要学生証提示
中学生以下、無料
※障がい者手帳をお持ちの方と付き添いの方1名まで無料
共通パス1枚で会期中、全会場(展覧会、アート&クリエイティブフェア)に何度でも入場可能。
【関連リンク】
https://www.osaka-kansai.art
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